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第14話
そんな中、セシルはレイズナーの前にグラスを置くとブランデーを注いだ。
「……なんですか、セシル」
「取替だ。立場の取替する仲だ、酒もたまには取替てもいいだろう?」
ブランデーは嫌いな味だとは言い出せないレイズナーは一気に飲み干した。
「お前酒場だとあからさまに機嫌悪いからなぁ。二人になると人が近寄ってこねぇ」
「……すみません」
「お前、酒あんまり好きじゃねぇよな?っていうか酒嫌いだろ」
セシルがそう言うとレイズナーは無表情になって、それから頷いた。
「ええ。俺は酒、好きじゃないです。とても嫌いですね」
流石鋭い観察力をもっているとレイズナーはセシルを見た。
「……実はいうと俺もあんまり酒の味は好きじゃねぇんだよな」
こんなに楽しそうに笑顔で飲むセシルの口から意外な言葉が出てきて、レイズナーは面食らった。
「何故セシルはなんで酒を飲むんですか」
「酒は好きじゃねぇが、酒場は好きなんだよ」
セシルはレイズナーの肩を組んで、笑った。
「ここに来れば、みんな無礼講!!……酒に酔ったせいにして、何してもここなら許されるんだ。そんなの最高じゃねぇか」
酒のせいにすれば何でも許される、ならば普段出来ないことを人前でしても許されるのだろうか。
レイズナーはフッと笑ったと思ったら、セシルの唇と重なった。
その瞬間を見ていた酒場の者たちは固まった。
「セシル、俺はあんたが好きです」
「……」
堂々と口説いてくるレイズナーにセシルは笑って答えた。
「あっははは……。レイズナーはそんなに俺が好きなのか」
セシルは笑って相手をしているものの、内心焦っていた。
酒場では何をしても許されると言ったのはセシルなのだから、この場をなんとか収める責任があった。
「ええ。俺はあんたに惚れてます」
「あーはいはい、俺もレイズナーが好きだって」
抱きしめてくるレイズナーの背中をセシルは子供をあやすように優しく叩いた。
「キャプテン、……レイズナーのヤツ酔ったみたいッスね」
「いつもならずっとシラフなのに」
レイズナーを心配して近寄ってきた仲間がセシルの手に触れようとしてきた。
「俺のセシルに近付かないでください」
レイズナーはその手を取って、立ち上がった。
「レイズナーのヤツ、そうとう酔ってますね」
「あー、俺がブランデー飲ませたからかもなぁ……」
レイズナーは銀貨を数枚カウンターに置くと、セシルを抱えて酒場を出ていった。
「えっ、えっ、キャプテン?!おい、どこ行くんだよレイズナー!!」
こうなったら抵抗せずにそのまま流されたほうがいいかと感じたセシルは笑顔で仲間に手を振った。
「程々にしてお前らも船に戻れよー」
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