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第8話 ※もしかして、見てた?

 クロード様を想像しながら自分でしてしまうなんて……なんとか平静を装いながら普通に仕事をしたけれど、皆におかしく思われないかドキドキだった。  午後にはご主人様へお茶を淹れに行かなければならず、とても緊張したけど特に何事もないような態度。  これが大人というもの?  男性にとっては当たり前の行為だから?  悶々としている最中に膝に乗せられた時はあの時のご主人様を思い出し……思わずアソコに目がいってしまいそうになるのを耐えるのに必死だったのを思い出す。    だって膝に乗ると密着するから。  感触が分かるだけで緊張が走ってしまう。  自分の下半身が反応しないかとか…………ご主人様の膝の上で何を考えているんだろう、俺は。  今までこんな事、考えた事もなかったのに。  でも意識しない方が無理だよね、あんなのを見せられて。  あんな……あんな風に乱れるクロード様…………美し過ぎるし、卑猥過ぎるし、色気駄々洩れだし。    最高だった!!!  そんな煩悩に悩まされながら、今夜もクロード様の横で眠る為の準備を自室でしていた。  上着、あの部屋に置いてきたままだ。  でもあの上着はもう使えない……あの時のご主人様を絶対思い出しちゃうから……!  とにかくそろそろ寝室に向かわないと。  夜着に着替え終わったので気持ちを切り替えて、大好きなご主人様の元へと急いだ。  ――コンコン――  「リックです」  「どうぞ」  はぁ…………緊張する。  扉の前で深呼吸を繰り返し、覚悟を決めてドアノブを握った。  ゆっくりと扉を開くと、いつものように窓際にあるテーブルセットの椅子に腰をかけ、本を片手にこちらに視線を向けているクロード様がいる。  「遅くなって申し訳ございません!」  「全然遅くないよ。 君が来るまでの時間も楽しみだから」  なんて嬉しい事を言ってくれる主人なのだろう。  大好きだ。  この気持ちを伝える事はないけれど、無くす事は出来ないと思う。  想うだけなら自由だよね。  クロード様はゆったりと立ち上がり、こちらに向かって歩み寄ってきた。  そして俺の頬を両手て包み込み、心配そうな表情を向けてくる。  「リック、顔が赤いけど大丈夫? 熱はない?」  「え?! 熱はないと思いますけど……」     そんなに赤かったんだ、俺……すぐに気付いて心配してくれるのが本当に嬉しい。  ご主人様に頬を撫でられると、猫の時のように気持ち良くなって頬ずりしたくなる。    「やっぱりあまり調子が良くないんじゃない? 今日は早く寝よう」  「そんな事は…………わっ!」  突然抱きかかえられ、ベッドへと連れて行かれてしまう。  「自分で歩けますから!」  「ダメだよ。 君に何かあれば私の方が辛いのだから」  ズルい。  そんな事言われたら反論出来なくなるよ……宝物を扱うようにベッドに下ろされて寝かされると、優しく掛布団をかけてくれた。  こんなに大切にされたら、期待する気持ちが湧いてきそうになる。  色んな感情を振り払う為にクロード様に背を向けた。  いつもはクロード様が俺を抱きしめながら寝ているんだけど、今日そんな事をしようものなら絶対自分の下半身が反応してしまいそうだから無理。  「リック、吐きそう?」  「え! いや、大丈夫です!」  「じゃあ、どうしてそっちを向いているの? いつもはこちらを向いてくれるのに」  「それは……その…………」  言えない、自慰をしているクロード様を見てしまったなんて。  悶々とする俺をご主人様の長い腕が優しく包み込み、後ろから抱きしめた。  「リック……可愛いリック、こっちを向いて。 それとも私に言えない何かがあるの?」  「そ、そんな事は……」  「ふふっ。 意地悪言ってごめんね。 分かってるよ、リックが動揺しているの」  え……?  どうして俺が動揺しているのが分かっているの?  クロード様の言っている意味が分からず、目を丸くして固まってしまった俺。  何かがおかしいと、恐る恐る後ろへ振り返る。  夜の闇の中で月明りに照らされた金色の髪が煌めき、ルビーのような赤い瞳が怪しく光っていた。  まさか――――  「今日、私の寝室を覗いていたね?」  「?!!」  「いやらしいな――こっそり私のシてる姿を覗き見していたなんて」  「なっ……! な、あ、う……っ」  寝室を覗いていたのを知っていたなんて!!  あまりの驚きに言葉が出てこない俺は、ご主人様の腕の中で震える事しか出来なかった。  どうしてバレていたんだろう……そしてどうして分かっていてクロード様は…………そこまで考えて、一つの答えを導き出した。  「まさか、分かっていて見せていた……?」  「ふふ、上着を忘れていったから取りに来るかなって」  「クロード様!!」  「シ――ッ。 私のを見た後、自分でシた?」  「………………」  「そっか――自分でシたんだ。 んふふっ」  俺はもはや返す言葉がなくなって、黙ってしまう。  きっと何を言っても墓穴を掘ってしまうに違いないから。  クロード様から何を言われるか背中を向けて耐えていると、突然うなじに柔らかい感触がして、背筋が粟立つ。    ちゅっ。    「ひゃっ! な、なに……っ!」  「真っ赤になっちゃて可愛いなと思って。 自分でどうやったの?」  「そ、そんな事言うわけ……!」  「ここは触った?」  ご主人様の大きな手が上着の中に入り込み、俺の胸の先端をキュッとつまんだ。  「んんっ、や、やめっ」  「可愛い。 可愛い声、もっと聞きたい」  次は指で先端を転がし始め、爪で引っかいたり押し潰してくる。  「ひぅっ! やあ……ぁ……っ」  「リック、可愛いよ。 気持ちいい?」  「わからな……いぃぃ……っ」  そんなところ、自分で弄った事がないから。  突然の刺激に先端がジンジンしてくる……最近シャツに擦れてなんだか変な感じがしていたけれど、こんなんじゃシャツが着られなくなっちゃう……!  次第に先を弄っていた手は胸全体を揉みしだき、クロード様はうなじから耳へと舌を這わせていった。  ダメ……初めて与えられる快感に何も考えられない。  「あ、だめぇ、みみ……やらぁ……!」  ダメって言ってもご主人様が止まる事はなく、舌によってぐじゅぐじゅと耳穴を犯され、頤(おとがい)はだらしなく開いたまま。  与えられる快楽に頭は真っ白になっていく。  そしてその刺激は下半身の疼きへと変わっていった。  知らず知らずのうちに足を擦り合わせているのをクロード様は見逃さず、すぐに指摘してくる。  「ココ、凄い事になってる……私に触ってほしそうだ」  すっかり勃ちきった俺の熱棒を夜着の中から解放し、先走る先端を指で弄られると自然と快楽を享受しようしてしまっていた。  「ふふっ、腰動いちゃってる。 可愛いなぁ」  「え? ちがっ!」  「大丈夫、私に全て任せるんだ」  さっきまで散々犯していた耳元で、俺を誘惑する甘美な囁きをしてきた。  そんな事を言われたら……大好きなご主人の甘言にすっかり身をゆだねてしまう。  本当なら俺がご主人様にご奉仕する立場なのに。  俺ばかり気持ちよくさせられて、いいはずがないのに。  あんまり気持ちがいいから頭も体も心もすっかりクロード様に支配され、抗う事が出来ない。  「あ、う、クロード、さまぁ……さわってぇ……っ」  「リック、それは反則……!」  俺の昂りをクロード様の大きな手が、上下に扱いていく。    「あっ、あぁ! は、あぅっ、あっ、あっ!」  「リック……リック…………」  気持ちぃ。  気持ちいい。  ご主人様の手はどんどん激しくなっていき、俺の溜まっていた熱を押し上げていった。  「あぁ! もう、だめぇっ……イクッ……~~!!」  目の前の景色が真っ白に弾け、頭の芯が痺れていく。  背中はのけ反り、快楽を噛みしめるように全身の痙攣が止まらない。  「あ…………ぁあ……」  「上手にイけたね」  クロード様はそう言いながら、俺の頭にキスを繰り返した。   大好きなご主人様の手で果てる事が出来て、とても幸せだ……でもご主人様を……気持ちよくしていない。  ボーっとする頭の中でその事だけが心残りだった。  でもダメだ、意識を保っていられない――。  「ごめ、なさ……ぃ……クロード、様…………」  「リック?」  大好きな声が俺を呼んでいるのに、瞼を開いていられなかった。  明日また頑張るから。  優しく俺を撫でる手に頬擦りをしながら、幸せな気持ちで意識を手放したのだった。

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