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※第8話

重力制御が一定でないのか、歩くたびに足裏に伝わる床の震動が不規則で違和感を感じる。 手錠を嵌められた腕をディアスに掴まれ、マイトは連行される。艦内の構造を見る限り、これは通常の宇宙船の範疇を超えていた。 ……化け物じみたサイズだ 船というより、自走する居住コロニーに近い。 全長は10キロ四方に及び、船殻の継ぎ目は視覚的な圧迫感を放っている。 自分の船の百倍以上。センサーに頼らず、裸眼での索敵という傲慢なミスを犯した代償はあまりに大きかった。この鋼鉄の巨鯨に、小舟で体当たりを仕掛けるなど――狂気の沙汰だ。 ああ、俺はとびきりの馬鹿ってわけだ 乾いた笑いを浮かべたくとも、声を出すのもかったるく気を削がれる。 「君は、本当に自分を身代わりにしてもいいくらい部下のことが大事なの? 何をされるか、この艦の『流儀』を理解している?」 ディアスの、まるで慈しむような物言いに、マイトは反吐が出るほどの嫌悪を覚え、眉を強く寄せた。 「ウチは略奪はしても、陵辱は御法度だ。だが、この界隈の『稼業』じゃあ、そんなことは日常茶飯事だってな。……傍目で嫌というほど見てきたから、知識としては十分だ」 「オレは、君を壊したいわけじゃないんだよ。これでも。素直に俺の配下になると誓えば、こんな荒事も必要ないのに」 ディアスは微かに悲哀を滲ませ、言い訳のように囁く。 艦内の通路に浮かぶホログラム・サイン『No.6』の扉前で、彼は指紋認証スキャナーに掌を翳した。生体認証の青白い光が、ディアスの端正な顔を妖しく照らす。 船内通路を歩きながら、マイトは手錠を掛けられた両手を軽く動かした。 拘束具には微弱な電磁ロックが組み込まれているらしく、少しでも力を込めるたび手首へ鈍い痺れが走る。 その腕を掴むディアスは、まるで散歩にでも出掛けるような穏やかな足取りだった。 通路の両脇には幾重にも重なる隔壁、自律整備ドローン、立体ホログラムの航路表示。 視界に入る設備だけでも、自分の旗艦とは比較にならない。 マイトは思わず天井を見上げた。何もかもが規格違いすぎる。 「……まァ、俺は大馬鹿野郎ってわけだ。」 ディアスが静かに問いかける。 「この先で何が待っているのか、本当に分かってる?」 子どもを諭すような優しい口調だった。 その声音が、かえってマイトの神経を逆撫でする。 二人は通路の奥で立ち止まる。 重厚な隔壁には、CAPTURE ROOM-6の文字。 ディアスは認証パネルへ手をかざす。 青い光が掌を走り、電子音と共にロックが解除された。 「……しつけえな。分かってるって言ってンだろ。1度決めた答えは変わらねえ」 「本当に、強情で頭の悪い子だよね」 深く溜息を吐き、ディアスはマイトの腕を乱暴に引いて室内へ踏み込んだ。 扉が開いた瞬間、鼓膜を突き刺したのは、苦悶に似た嬌声と、野獣のような男たちの嘲笑だった。 「ジェイス……ッ!?」 数日前、逃がしたはずの部下――筋肉質な身体は無様に仰け反り、男たちの体液に汚されていた。拡張されたアナルが限界まで引き伸ばされ、内部の肉がめくれ上がるほどに激しく突き上げられている。 「ジェイス!!!早くやめさせろ、 ディアス、テメェ、ブチ殺す!!やめろ、やめさせろッ!!」 マイトは手錠を引きちぎらんばかりに身をよじり、獣のような咆哮をあげた。 名を呼ばれたジェイスは、虚ろな瞳を大きく見開き、首を激しく横に振る。「こないでくれ」と、掠れた声で喘ぎながら懇願する。 「美しい主従愛だよね。ジェイス君だっけ? 君の船長さんは、君の代わりに陵辱されるのを選んだんだ。良かったね」 ディアスは面白がるように、冷徹な微笑をジェイスに向けた。 難なくマイトを羽交い絞めにし、絶望に塗りつぶされた部下の表情を愉しむ。 「ジェイス君は、船長さんの心意気は嬉しくなさそうだけど――君は、彼の身代わりになりたいんだろう?」 背後で、ディアスがマイトのシャツを容赦なく引き裂いた。 電子ロック式のベルトが弾け飛び、パンツが剥ぎ取られる。冷たい艦内の空気が、さらされた肌に突き刺さる。 「ちゃんと……やめさせろ………よ」 噛み殺すような声で、マイトは唸るように吐き捨てた。ディアスは、あろうことかマイトの頭をわしゃわしゃと手荒に撫で、愉悦に満ちた微笑を返す。 「そうだね。男に二言はないよ。さあ、始めようか」

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