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※第41話

 ディアスは、壁に縫い付けたマイトの腕をさらに高く押し上げた。  マイトの荒い呼吸が、ディアスの鎖骨のあたりに乱暴にぶつかる。ディアスはあえてその熱を感じるように、マイトの体を自身の堅牢な胸板に押し付け、微塵の逃げ場も与えない。 「……あぁっ、あぁ……っ、くそッ……ッ!」  マイトは歯を食いしばり、必死に殺意という名のプライドを繋ぎ止めようとしていた。だが、ディアスの指先は、マイトが何を守ろうとしているのかを知り尽くしている。  ディアスは遊ぶように、マイトの脇腹から背筋をなぞり、かつての調教で「悦びのスイッチ」として埋め込まれた感応域を、容赦なく執拗に指先で抉った。 「ッあ゛あ゛あ゛っ……!!」  その瞬間、マイトの瞳から焦点が消えた。  殺意を燃やしていた脳の領域が、真っ白な熱に焼き切られる。  指先が触れるたび、マイトの足腰から力が抜け、ディアスの強固な腕の中に崩れ落ちそうになる。しかし、ディアスは決してマイトを逃がさない。その体を壁に固定したまま、逃げ場のない快楽だけを執拗に、かつ残酷なまでに反復した。 「殺したいんだろ? なのに、君の身体はこんなに正直だ」  ディアスはマイトの耳元で、嘲笑ではなく、熱を孕んだ甘美な囁きを落とす。  マイトは必死に否定しようと首を振る。だが、その動作さえもディアスには「快楽に身をよじる」仕草にしか見えない。  ディアスの指が、マイトの急所を的確に、そして深々と突き立てた。 「ひぁっ! ……あ、や、だめ、あぁっ……!」  マイトの声が、憎悪から甘い蕩けへと、劇的に変質する。  脳内を支配していた「殺害」という目的が、ディアスから与えられる暴力的なほどの快感によって強制終了させられた。かつての自分と今の自分が融合する前に、ディアスという毒がすべてを「所有物」の形へと強制的に再構築していく。  マイトの右手が、ディアスの服を必死で掴み、離すまいと執拗に縋り付いた。  つい先ほどまでスパナを握り締めていたその手は、いまや支配者の体温を貪るだけの、依存にまみれた「メス」の手と化している。 「いい子だ。……殺意も、憎しみも、全部オレに預けてごらん。君のそのいやらしく汚れた卑猥な体は、オレに調教されることしか望んでいない」  ディアスが腰を揺らし、マイトの秘部を軍服越しに強く圧迫する。  マイトの全身が電流に打たれたように跳ね、そのままディアスの腕の中で、甘い溜息と共に力が抜けた。殺意を失ったあとの脳は、ただ心地よい麻痺に浸されている。自分が誰を殺そうとしていたのか、なぜこんなに屈辱を感じているのか、そんな思考すらもディアスの与える絶頂の波に飲み込まれていく。 「ぁあ……っ、ディアス……あぁっ、もっと……っ」  マイトは白目を剥き、よだれを垂らしながら、自分の意思とは裏腹に、その腰をディアスに擦り付けた。  かつての誇り高き首領の残滓は、完全に霧散した。  医療室の冷たい床に、スパナだけが虚しく転がっている。  マイトはもう、抵抗する気力など微塵もなかった。ただディアスの腕の中で、蹂躙される悦びに魂を売り渡し、自分を壊した男に愛を乞うだけの、完璧な「メス」として、その胸に顔を埋め、甘く啼き続けていた。

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