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第6話「カモミールティー」
※第6話は
佑一視点と柴山視点どちらもあるため、
主軸『』←が途中で切り替わります。
切り替わる時は、主軸『』の前に
佑一『』や柴山『』のように名前を付けるのと、
ーーーーーー←で区切りラインも入れているので、
そちらを踏まえた上でお読みいただけたらと思います。
辺り一面星空の空間に一匹の二足歩行の柴犬が尻餅をついていた。
服はつぎはぎの服を着ている。
その視線の先には、大きな秋田犬のような魔人が腕を組みながら宙に浮かんでいる。
ティーニー「急須の魔人ティーニーさんだぜーい!」
アルディーン『急須の魔人だって!?』
アルディーンの横には、古い急須がひとつ転がっている。
「ティーニーさんはどんな願いだって叶えてあげられるよ!君の名前はアルディーンだったね!長いからアディーでいいかな!いいよね!」
『どんな…願いでも…それは本当かい?』
「ああ!ティーニーさんは嘘はつかない!」
『じゃあ!』
願いを言いかけたアルディーンの口をティーニーは人差し指で押さえる。
「おおっと!そう簡単に願いを叶えてもらえるって思うなよ?こちとら慈善活動じゃないんでね!願いを叶えるにはそれ相応の対価が必要ね!これ常識!リピートアフタミー?」
『モゴモゴモゴモゴ(口を塞がれたままで話せない)』
「こりゃ失敬!塞いだままじゃ話せなーい!はい!これで話せる!はい拍手~!」
ティーニーは人差し指をどけてセルフ拍手をはじめる。
『相応の対価って…俺にはそんな差し出せるような高価なもの…持ってない…。』
「どこのどちらさんが、対価に高価なもの差し出せって言ったのよ!ちょっとマネージャー!マネージャー!」
ティーニーのセルフ小芝居がはじまる。
『じゃあ…俺は何を差し出せば…』
ティーニーはふざけるのを止めて
落ち着いた声色でアルディーンに語りかける。
「別に何かを差し出す必要はないんだ。アディー。」
『でもさっき相応の対価が必要って…』
「そうさ、相応の対価が《必要》さ。でもそれは何かを差し出すことじゃない。俺に見せてほしい。君は願いを叶えるに値するヤツかどうかを!それが俺の言う《対価》ってやつさ。」
『願いを叶えるに値する…って具体的に俺はどうすれば…』
「もう~仕方ないなぁ~ティーニーさん意地悪するのは得意じゃないからト・ク・ベ・ツに!教えてあ~げるっ!
願いは5つまで叶えることが出来る。
そのために必要な《対価》は、
踏み出す《勇気》
他者への《思いやり》
嘘をつかない《実直さ》
心からの《感謝》
そして何より、
自分を《大切》にすること。
それが示された時、自ずとアディーの願いが叶うよ。」
『俺に…出来るかな…?』
「出来るさ!だって君は!…
ブツンッ!
俺はテレビの電源を落とした。
佑一『駄目だ…全然集中出来ない…。』
俺は両膝を抱えてその間に顔を埋める。
第6話 「カモミールティー」
佑一が勤めるアパレル店。
新生活のシーズンということもあり、
店内はたくさんのお客さんでごった返していた。
男性客「すみませーん!サイズ計ってもらってもいいですかー?」
『はーい!ただいまー!』
俺はお客さんの採寸をはじめる。
『じゃあ、お首と肩幅とお袖を計らせていただきますね!』
男性客「お願いします。」
俺はお客さんの首に採寸用メジャーを通す。
『まずお首から失礼します。一瞬下向いていただいて、はい戻して大丈夫です。…実寸39cmですね。次に肩幅失礼します。』
続けて、肩、お袖と採寸を進めていった。
『肩幅48の裄丈83と…お客様のサイズだとLサイズがちょうど良さそうですね!もしよろしければ一度ご試着されてサイズ感の確認されますか?』
男性客「はい!」
『かしこまりました!そうしましたら、こちらへどうぞ。』
女性客「お兄さん!すみません!ちょっといいですか?」
『はい!すぐお伺い致します。少々お待ちくださいませ。』
俺は女性客にそう伝えると。
先ほどの男性客に試着用のシャツを渡す。
『それではこちらで試着をお願いします。またすぐ戻りますので、一度外しますね。もし何かありましたらすぐ呼んでください。』
「はい!ありがとうございます!」
『では、一度失礼致します。』
あーーーーーーーいっそがしい!!!
急に来るじゃん波(ピーク時間の例え)!
まぁ、暇だと色々考えて凹みそうだから、ありがたいんだけど!
俺は先ほど声かけてくれた女性客の元へと向かう。
『お待たせいたしました~!』
そして波が過ぎ、
店内がやっと落ち着きを取り戻した。
『だぁぁぁぁぁぁあ!いそがしかったぁぁぁぁあ!!!』
散らかった店内を片付けながら、お客さんがいないことをいいことに大声を出してしまう。
すると、横から店長の梅宮さんが上機嫌に業務用タブレットを持ってきた。
「寺川くん!おつかれ~!今日はいつも以上に張り切ってたねぇ!なんかあったの?」
梅宮さんのその言葉に俺は昨日の朝の出来事を思い出してしまう。
『…い…いえ…なにも…ははっ…』
取り繕うと思ったが、駄目だこれ。
露骨に落ち込みを醸し出してしまった…。
何かを察した梅宮さんは話題を切り替えるように、俺の目の前にタブレットの画面をズイッとねじ込む。
「ほら、寺川くん見て!予算!予算達成しちゃってるよ!」
『え、まじじゃないっすか。はっや~!』
「今年一のスピードじゃないかな?素晴らしい!いぇーい!」
気さくな梅宮さんは俺に向かってグータッチをするために拳を突き出す。
『おつかれさまです!』
俺はその拳にグータッチをする。良い職場だ。
………はぁ。柴山くん。今日は来ないといいな。なんか、その、今あっても、うまく話せない気がするし…変な態度無意識にとっちゃって…傷つけたくないし…あぁー!!もう!柴山くんは、なんっにも悪くないのに!こう思っちゃうのも本当にやだ。
…いつもは会いたいな。今日きてくれるといいな。って思ってたのに………はぁ…。
そう思っていた矢先。
竹原「寺川くん!柴山くん!柴山くん来たよ!行っといで!」
嬉しそうにニヤニヤしながら竹原さんが俺の肩を揺さぶる。
俺の身体と表情が固まる。
柴山くんの瞳に俺が映る。
柴山「寺川さん!こんにちは!」
『し…柴山さん!こ、こんにちは!…』
「…え?」
俺の言葉を聞いた柴山くんの顔から笑顔が消える。
その顔を見た瞬間、俺の胸がキュッとしめつけられた。
俺なんかいま変なこと言った?それとも態度に出ちゃってた?
『……………』
「……………」
お互い無言になって黙り込んでしまう。
『え、えっと柴山さん。今日はどうしますか?』
恐る恐る柴山くんの顔を見ると。
いままで見たことないような。悲しい表情をした柴山くんがそこにいた。
あぁ…駄目だ…多分俺今日何を言っても彼を傷つけてしまう気がする。ごめん。柴山くん。
その状況に耐えかねた俺は咄嗟に、
『ごめんね!実はさっきまで忙しくて今日まだお昼ごはん食べれてなくて!もうお腹ペコペコで!ちょっとご飯行ってきてもいいかな?』
「あ、はい!も、もちろんです…いってらっしゃい。」
『ありがと!じゃ!竹原さん!後は頼みます!』
明らかに引きずった柴山くんの表情を横目に俺は竹原さんに柴山くんの対応をおまかせすると逃げるように休憩室へ向かった。
「……………。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
柴山『佑一さん…』
俺は佑一さんを引き止めることが出来なかった。
あきらかに普段と様子が違ったのに。
何て声をかければいいか分からなかった。
柴山 さ ん……
…いつもと違うその呼び方に、俺は勝手にショックを受けてしまった。
ただの言い間違いなら気にも止めなかったと思うが、何故か俺はこの呼び方をただの呼び間違いだと思えなかった。佑一さんのあの様子も相まってその一言に今までなかったような壁を…小さな線引きをされたように感じた。
やっぱり昨日の…
あぁーーーっ!やりすぎた!
そらそうだよな!いきなり男から頭触られて、挙げ句の果てには頰をさすられ、告白まがいなことされたんだもんな!
怖えに決まってるよ。…嫌われちまったのかな俺…。
竹原「柴山さん!いや、もういいや!柴山くん!ちょっといい?」
佑一さんの先輩の竹原さんが、休憩室側とは逆の店の隅のテーブルに俺を連行する。そこには森さんが腕を組んで待ち構えて居た。
『えっと…』
竹原「柴山くん!単刀直入に聞くね。寺川くんとなんかあった?」
『え!!!!!』
森「あったのね」
竹原「やっぱり」
『え、いや、えっと』
竹原「詳しく…聞かせてもらえる…?」
竹原さんと森さんの笑顔の圧に屈した俺は、つい。
『はい…。』
と答えてしまう。
それから俺は不本意ではあったが、
佑一さんへ好意を寄せてること、そして昨日の朝起きたことを竹原さんと森さんに伝えた。
俺の話を一通り聞き終えた二人は
きゃあ!!!
と女子高生のように手を合わせきゃぴきゃぴはしゃいでいる。
『あの…この事は、佑一さんには絶対に言わないでいただけますか?…お願いします!』
俺は二人に頭を下げる。
竹原「当たり前じゃないの!こんな面白い状況……こんな真剣な人様の思いをベラベラ話すわけないじゃない!ね!森さん!」
この人いまサラッと面白いって言わなかったか?!
竹原さんと森さんは目を合わせ
「ねー!」っと身体を傾ける。
竹原「でもなるほどね~そういうことか~。」
『どうかしたんですか?』
竹原「いや寺川くん、今日の朝からちょっと様子がおかしくて…無駄に空元気というか、とにかく仕事くださいってひたすらに動きまわっちゃって…ちょっと無理してるようにも見えるから心配だったのよ。」
ああーっ!やっぱそうかぁー…俺のせいで…佑一さん…本当にごめんなさい!!
俺は頭の中で自分の頭を床に深く打ち付けた。
『こんなやつから…言い寄られても…迷惑に決まってますよね…。あぁーやっちまったぁー!ぜってぇ嫌われたぁー!』
竹原・森「「え?」」
『え?…あっ!やべっ!』
俺の心の声がいつの間にか漏れてしまっていた。
竹原さんと森さんはくるっと俺に背を向けると二人でヒソヒソ内緒話をはじめる。
なんだ…何を話してるんだ…まさか俺…出禁!?
竹原さんと森さんは内緒話を終えるとくるっと振り返り、すんげぇ満面の笑みで俺の顔を見てきた。
森「柴山くん、とりあえず今日は帰りなさいな。」
ピッシャーーーーーン!!!!!!
俺の頭の中に雷が落ちる。
『や、やっぱり…出禁…。』
竹原「出禁?…プフッ!違う違う!そんなことするわけないじゃない!」
『へ?』
竹原「寺川くん、きっと今はただ混乱しちゃってるだけだと思うの。彼、優しいでしょ?多分、いま柴山くんと話したらあなたのこともっと傷つけちゃうと思ったからこそ、距離を置いたんだと思うのよ。そんな中
、話してもきっとお互いのためにならないと思うの。」
『たしかに…。』
そうだ。佑一さんはそういう人だ。
俺は一体何をやってるんだ。
勝手に嫌われただの距離置かれただの
被害妄想を並べて…自分のことばっかで…
佑一さんの気持ち…何一つ考えられてないじゃないか…何が警察官になって一生守るだ…佑一さんのこと何一つ守れてないじゃないか…。
竹原「柴山くん。あなたが優しい人だってこと寺川くんはちゃんと分かってる。あなたのことを嫌いになるなんてこと絶対にないからそこだけはちゃんと信じてあげてね。」
『はい…ありがとうございます。』
森「じゃあ後はお姉さんたちに任せて、今日は美味しいものでも買って帰りなさいな!」
『はい!あの…俺が言える立場ではないんですが…』
俺は竹原さんと森さんに深く頭を下げる。
『佑一さんのこと!よろしくお願いします…!!』
竹原・森
「「まかせて。(いま寺川くんのこと下の名前で呼んだ!!!)」」
二人は顔を合わせてキャーっとする!
俺は佑一さんのことを二人に任せて
お店を後にした。
後日ちゃんと佑一さんに謝ろう。
怖がらせてしまってごめんなさい。
と、ちゃんと伝えよう。
もう二度と、
思いを伝えられないで後悔しないために…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
佑一『俺…本っ当に最低だよ…。柴山くんにあんな顔させちゃった…』
俺は休憩室で机に突っ伏しながら、親友のもなに電話をかけていた。
もな「まー、それは寺が悪いわな。」
グサッ!
もなの容赦ない正論が俺のハートにクリティカルヒットする。
でもこうやって忖度なく自分の気持ちを伝えてくれるところが大好きなのだ。
『だよねぇ~…わかってんだ…わかってんだよぉ~』
「確かに柴山の思わせぶりな態度も中々だとは思うけどさ…寺の話聞いてる限り、寺を弄ぶような不誠実な男ってわけでもないんでしょ?」
もなは柴山くんに一度も会ったことないくせに《柴山》と呼び捨てにしている。そういう女なのだ。ずっと親友(心の指ハート)。
『うん…それだけは絶対にない…と思う…』
今までの柴山くんを見てればそんなこと絶対にないって分かってはいるんだけど…今は…俺自身のことですら信じられないクソネガティブモードなのだ。
「まっ、つぎ柴山に会った時にちゃんと話せばいいんじゃね?」
それが出来そうにないから悩んでいたけど…こうもシンプルな答えをサラッと言われてしまうと、結局のところそれしかないよな確かに…。と納得させられてしまうから本当に流石だ。
『上手く話せるかな…?』
「いや、知らんけど。」
『いや、知らんのかい!』
「んふふ」
『…フフッ…あんがとなんか元気出てきた。』
「え?早くね?」
『いや、ほんまに。』
その後ひとしきり明日には忘れちゃうような無駄話をして沢山笑った後、
もなは真剣な声色で一言。背中を押してくれた。
「寺なら大丈夫。」
『うん、あんがと!』
「まっ当たって砕けたら、うちに苺でも食べにおいで。」
『わかった。あ、そんときはピザウィーニーも頼んでね。』
「おけ」
こういう時、ありのままの気持ちを離せて
何があっても絶対的な味方でいてくれる親友がいるって、俺は本当に幸せ者だなぁ。
そう思っていると、受話器越しにもう一人聞き覚えのある声が聞こえてきた。
ママー?だれともしもししてるのー?
ゆーくーん?まおりも、もしもししたーい!
「あ、ごめん、まおりっち来た!一瞬だけかわってもいい?」
『ええよー!』
「ありがと」
まおり「もしもし~!ゆーくーん?」
『おお!まおりっち~!ゆーくんだよー!』
まおり「あのねーきょーねーよーちえんでねー、ねんどつかってねー!まめたろーつくったのー!」
『まめたろー?』
まおり「そー!まめたろー!あとでおしゃしんおくるねー!」
『うん!わかった!楽しみにしてるねー!』
はーい、もうおわり、かわって!
もなの声が聞こえる。
もな「ありがとねー!写真送ってって煩いから電話切ったら送るわ!」
『はいよー!てか、まめたろーってなに?何かのキャラクター?』
「あー、いやこの前さ公園でまおりがお巡りさんに助けてもらった時あるじゃん?」
『あー、あの時ね』
「その時、お巡りさんと一緒にいた犬のことみたいで。」
『…犬なんかいなかったよね?』
「多分、お巡りさんがマスコットかなんか持ってたんじゃないかなーって。」
マスコット?そんなの持ってたかな?
「大きさどれくらい?って聞いたら、これくらいってちょうどマスコットくらいのサイズで言うし、公園とかで柴犬見かける度に、あ!おっきいまめたろー!って言うから多分柴犬のマスコットなんだろうなって。」
『なるほどねー。』
うえええええええん
受話器越しに赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。
「あ!ごめん!かいらも起きちゃったわ!」
『そら大変だ!…ほんとありがとね!色々聞いてくれて!』
「まっ、何かあったら夜中でもなんでもいつでも連絡しておいで。」
『うん、ありがと!』
「じゃ、また。」
『はーい、またねー。』
ティロン♪
シュポッ
電話を切ると直ぐに一枚の写真が送られてきた。まおりっちが満面の笑顔で、てのひらの上にガタイの良い恐らく柴犬であろう形をした粘土作品を持っている写真だ。
…かわえぇ~!癒される~!
そしてこの味のある柴犬…ガタイ良すぎて…柴犬っていうより、秋田犬じゃん…フフッ…
……そういえば昔、俺も家庭科の授業でガタイの良い柴犬のマスコット作ったっけな、確か作ったその日に誰かにあげちゃったけど。名前は確か…うーん、何だっけ?思い出せないけど、懐かしっ!
よしっ!ちょっと元気出てきた!
休憩も終わるし、仕事戻ろ!
『休憩ありがとうございました~!』
俺が休憩から店内に戻ると、
そこに柴山くんの姿はなかった。
ホッ。もなのお陰で大分元気は出てきたが、実際のところ今すぐ会って離せる勇気は無かったから、姿がなくて正直少しホッとしてしまった。
竹原・森「「はーい!おかえりなさーい!」」
『あの…柴山くんは?』
竹原「もう帰ったよ~!」
『そう…ですか…。その…大丈夫でした?』
竹原さんは俺のその一言を聞くと森さんと目を合わせニヤリと笑う。
竹原「いや、もう本当に大変だったー!ねー?森さん!」
森「ほんとに!」
『えええええ…な、なにがあったんですか?』
竹原「それはそれはもう落ち込んじゃって、落ち込んじゃって。」
『ぐっ…俺の…せいですかね…』
森「あら、思い当たる節でも?」
『………はい。』
竹原「じゃあやっぱり、寺川くんの言葉じゃないと、あれは、立ち直れないわねー。」
俺が罪悪感に駆られて再びズーンとなっていると
森「寺川くんは、柴山くんのこと嫌いになっちゃったの?」
『それだけは絶対ないです!!!!!』
俺は反射的に大声を出してしまう。
『…あっ…』
は、恥ずかしい。
竹原さんと森さんは目を合わせると。
安心した表情をしたあと、
俺にカモミールティーのペットボトルを手渡す。
『え?これ…。』
竹原「これ、柴山くんから。」
『え?』
森「帰ったと思ったら数分後、息を切らしながら汗だくで戻ってきて、これ寺川さんに!って。」
『……………』
俺は手に持ったカモミールティーを更にギュッと握りしめる。そしてあふれ出しそうになる涙を必死にこらえる。
だってカモミールティーだよ?そこら辺のコンビニに売ってるものじゃないって…。きっと、必死に色んな所探し回ってくれたんだよなぁ…俺、あんなにひどいことしちゃったのに…優しいなぁ…ほんとに…敵わないなぁ…。
竹原「今度ちゃんとお礼伝えないとね」
『…はいっ。』
第6話「カモミールティー」
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