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第11話「俺だって、男です。」
第11話は、
佑一視点・柴山視点
両サイドの視点でお話が進みますその為、
主軸『』も途中で切り替わります。
その際
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↑などの区切りや、
佑一『』
柴山『』のように『』の前に名前を書いておりますので、よろしくお願い致します。
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『やっと見つけたんだ!』
三日月の夜、天守閣の最上階で
空飛ぶ座布団の上に乗った一匹の柴犬アルディーンが
両手を広げる。
「でも…外の世界は…怖いわ。」
カモミールは少し震えながら答える。
するとアルディーンは優しい声色で答える。
『大丈夫。君が思ってるほど外の世界は怖くない。俺が保証するよ。』
「でも…」
『無理にとは言わない…でも、一歩踏み出して君に見て欲しいんだ!外の世界にはこんなにも綺麗で楽しいものが沢山溢れてるんだって!』
アルディーンの真っ直ぐな瞳と言葉に
カモミールの心が動く。
「信じても…いいの?」
『もちろん。』
アルディーンは再び両手を広げる。
『やっと見つけたんだ!君を!』
第11話 「俺だって、男です。」
ここまでのお話…
俺!寺川佑一!32歳!
いつも妄想ばっかしてるちょっぴり内気な男の子!ある日、スーパーイケメン大型ワンコ系男子の柴山くんに告白されちゃった!
はわわどうしよう!!!
なんでこんな優しくて格好いいひとが俺のこと…トクン。
びっくりしちゃった俺は告白の返事を保留にしてしまって、気持ちを整理するために池袋にまりちゃんとオタ活に来てたんだけど…
はわわ!ハンバーグ食べてたらいきなり柴山くんから今夜会えないかってメッセージが届いちゃったよ~!!!
俺、いったいどうしたらいいの~~~!!!!!
そんなわけで今に至る。
『ま、ま、ま、ま、まりちゃん。ドドドドドどうしよう?』
「どうしたの~?」
『ししししししばっ』
「しば?」
『ししししし柴山くんから、ここここ今夜会えないかって…』
まりちゃんは、ハッとした顔をした後すぐにドヤ顔になり、
「ゆーいちくん…今すぐ行ってきな!」
と、親指を出口に向かってクイッとする。
『まりちゃん……………いやまだ食ってるわ。』
まりちゃんのドヤ顔モードのお陰で冷静になれた俺であった。
柴山くんの思いに応える…とは言ったものの…こんなにも急だと…流石に心の準備が…
…とか考え込んでる場合じゃなかった!
とりあえず返信しないと!
今は…17時か…20時くらいまでには地元まで帰れるか…。
俺は顔を上げ、まりちゃんを見ると
まりちゃんは頷き、再び親指で出口をクイッとする。
ありがとうまりちゃん。
俺は柴山くんに返信する。
佑一[柴山くんお仕事お疲れ様です。
本日20時以降でしたらいつでも大丈夫です。
よろしくお願いします。]
…………なんかすっげぇ仕事先の人に送るような感じで送ってしまった。
シュポ
『返信早っ!』
柴山[ありがとうございます!それでは20時30分頃に迎えに行きますね!]
ペカーーーーーッっと
柴山くんのメッセージが光輝いている!!!
(佑一の幻覚)
む、か、え、に、い、き、ま、す。
迎えに行きます…だってぇぇぇぇえ?
え?俺はBL漫画の主人公かなんかにいつの間にか転生してしまったの?
現実でこんな台詞聞くことあるん?まじ?
…いや、意外と何回か聞いたな。柴山くんなんだかんだ言ってくれてたわ。
佑一[よろしくお願いします。]
…………しか返せなくない?
俺の脳働かないって。こればっかりは不可抗力だって。
まりちゃん「ゆーいちくん、大丈夫そ?」
『…うん…大丈夫。』
そういって俺は右手の親指を上げる。
「応援してるからね!」
『うむ!ありがと!』
ハンバーグとポテトを食べ終えた俺たちは駅に向かい別れのハイタッチをした後、それぞれ帰路についた。
とりあえず帰ったら、即行シャワー浴びないと。こんな汗だくの状態で絶対に会いたくない!
俺は家につくと直ぐにシャワーを浴びて、
自分なりにお洒落な服を引っ張り出し着替えて柴山くんからの連絡を待っていた。
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時は少し遡り、
佑一たちが池袋で食事をしていた頃。
柴山が勤める交番では…
柴山『……………はぁ…。どうすっかなぁ…。』
俺は明日に開催が迫ったアルディーンイベントのチケットを両手で握りしめながら、デスクの上でうなだれていた。
誘うならもう今日しかない。
当日いきなり誘われても佑一さんも困るだろ。
でもなぁー…メッセージで誘うのも何か違うっていうか………せっかくだから直接喜んでる姿が見てぇな…っていうか…はぁ…どうしよ…
熊子守くまごもり「おうおう、また落ち込んでんのか。」
道案内を終えた熊子守さんが戻ってくる。
『そんな…落ち込んでなんかいませんよ。』
「いや、落ち込んでんじゃねぇか。」
淡々と突っ込む熊子守さん。
すると熊子守さんは俺の手に握られたアルディーンのチケットを見て、ある程度のことを察し発破をかけてきた。
「チケット無駄にされたら、うちの嫁さん…悲しむだろうなぁ…」とニヤリと笑いながら言ってきた。
ギクゥッ!
俺の身体が震える。
すると熊子守りさんは、
落ち着いた声色で
「まだ、誘えてねぇのか?」と尋ねてきた。
『…はい…。』
熊子守(…ったく、本当に手がかかるやつだな。しゃーねぇな!)
「あー…えーっと確か最近、楓川あたりに不審者が出てるからパトロール強化してくれって言われてたなぁ…時間帯は…何時だったけなぁー」
!!!!!!
俺が顔を上げると視線の先にニヤ~と笑った熊子守さんと目が合う。
熊子守さんは俺と目が合うと何も言わずに後ろを向いた。
俺はデスクから自分のスマートフォンを取り出し、一度深く深呼吸をして気持ちを落ち着けた後、佑一さんにメッセージを送る。
柴山 [ 佑一さん、今夜会えませんか? ]
………。
ドキドキドキドキドキドキ
頼むっ…頼むっ…
すると、俺が送ったメッセージに既読がついた。
ブブッ
俺のスマートフォンに佑一さんからの返信届く。
佑一[柴山くんお仕事お疲れ様です。
本日20時以降でしたらいつでも大丈夫です。
よろしくお願いします。]
『20時!!あっ…!』
俺はつい声に出してしまう。
しかし熊子守さんは俺は何も聞こえてませんよ~とばかりに分かりやすく口笛を吹いている。…ありがとうございます熊子守さん。
「あぁ、そうだ思い出した確か20時過ぎから22時くらいの目撃情報が多いんだったな。それにしてもどうすっかな警官服だったら疑われるから、私服での覆面パトロールしなきゃなんねぇんだよなー…俺の今日の私服アロハシャツで目立っちまうからなー誰か行ってくれるやつ居ねぇかなー?」
とわざとらしくボヤいている熊子守さん。
『熊子守さん!俺に行かせてください!!』
「おお、柴っ!行ってくれるか!そんじゃ任せた!」
『はい!ありがとうございます!』
「ん?なんのことだー?俺はお礼言われるようなこと何もしてねぇぞー。」
『はい!それでもありがとうございます!』
ったくよぉー。と言いながらも少し嬉しそうな熊子守さんだった。
そして19時半。
俺は私服に着替え、小さな黒ポシェットを肩から胸元にかける。
『それでは、柴山特別巡回に行って参ります!』
俺は熊子守さんに敬礼をする。
すると熊子守さんは、
「忘れもんはねぇか?」と、
自分の胸元、ちょうど俺の胸ポシェットがある位置を人差し指トントンする。
『…はい!』
「んじゃ、よろしくな~」
『はい!』
俺は交番を後にして佑一さんの家へと向かった。
熊子守さんはそんな俺の姿を見送ると
「かぁー!わけぇってのは、いいねぇ!」と言いつつ頭をポリポリとかきながら一息つく。
「こりゃ、バレたら始末書もんだわ。」
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そして、再び佑一の部屋。
俺は正座をしながらスマートフォンを凝視していた。
シュポ
佑一『来た!』
柴山くんからのメッセージが届く。
柴山[佑一さん、こんばんは。
もうご帰宅されているでしょうか?]
俺は直ぐに返信を打つ。
佑一[柴山くん!こんばんは!
うん!もう家だよー!]
シュポ
柴山[良かったです。お約束の時間より少し早くなってしまいましたが、到着しました。いまから大丈夫ですか?]
俺はそのメッセージを確認すると、
立ち上がり引き出しからアルディーンイベントのチケットを2枚取り出す。
誘うなら…今しかない…。
俺は深呼吸をする。
よし!
俺はチケットを鞄にしまいながら、
玄関に行き靴を履く。
すると、お手洗いから出てきた母が
「なーに?どっかいくのー?」と俺に尋ねる。
『うん!ちょっと柴山くんと会ってくる!』
「わかった、気をつけなねー(柴山くん?)」
『はーい、いってきまーす。』
ガチャ
俺がドアを開けると、階段下、道路の前に柴山くんが立っていた。
柴山くんは俺に気づくと優しい笑みを浮かべながら右手を上げフリフリと振っている。
俺の胸はその姿をみてきゅぅうとなり、
気がつけば階段を駆け下りていた。
「佑一さん!」
俺は、勢いそのままに無意識に
柴山くんに抱きついてしまった。
「ゆ、佑一さん!?!?!!!」
俺は柴山くんの服越しでもわかる鍛え上げられた胸筋の間に顔を埋める。
…………………ん?
俺はいま、何をやっているんだ?
……………あ。やっちまった。
俺は自分がしでかしたことに気付いてしまうと同時に身体の血の気がサーッと引いていくのを感じた。
俺は恐る恐る柴山くんの胸から顔を上げると…
そこには右手で自分の口元を押さえ顔を真っ赤にした柴山くんの顔があった。
『あ…え、あ、えっと…これは…その…』
俺が必死に言い訳を考えていると、
柴山くんの両手が俺の頭をぎゅっと強く抱きしめる。
!?!?!?!!
柴山くんの逞しい腕と胸板に俺の顔がすっぽりと収まる。
『し…柴山くん?』
「佑一さん…俺、我慢するのやめますよ…」
『へ?』
それっていったいどういう意味…
「俺だって…男です…。」
!!!!!!!
「いきなりこんなかわいいことされて、我慢できるわけないじゃないですか。」
柴山くんは俺を抱きしめる腕を頭から背中と腰へと移動すると、俺のだと言わんばかりに力いっぱい再び俺を抱きしめた。
し、柴山くん…そんなに強く抱きしめられたら…俺…俺……
カクン。
『……………。』
「…佑一さん?」
『………………。』
柴山くんは抱きしめる力を弱めて俺の顔を確認する。
「佑一さん!?!しっかりして!佑一さん!」
俺は柴山くんの物理的な圧力と俺の中の色々キャパがオーバーするというダブルコンボで気を失った。
ベロン…
頬を舌で舐められた。
ちょ…柴山くんこんなところで…
ベロンベロン
し…柴山くん…
ベロンベロンベロンベロンベロン
『激しすぎるって…柴山くん…!』
目を開けると、自分の部屋の天井と俺の顔をベロンベロンと舐める五男犬チョボの姿が映る。
ベロンベロンベロンベロンベロン
………え?いままでの全部夢?
くっそおおおおおお!!!そういうオチか!そういうオチなのかぁぁあ!!!!
まぁ、そうだよね。柴山くんが俺のこと好きなんてそんなことあるわけないし、あー長い夢だった。俺はチョボを両手で顔から引き剥がし起き上がる。
そして左を向くと、そこには顔を赤らめた柴山くんが座っていた。
…………………え?
え?なんで柴山くんが俺の部屋にいるの…?
あぁ!わかった!これ、まだ夢の中だ~!
もう!まったく手の込んだ夢なんだから~!
ほら佑一起きて~!………俺は手の甲をつねってみる。
『いっっってぇ!!!…え、まって…夢じゃない…?』
「…佑一さん…その…さっき…俺の名前呼んで…」
…………………ぎぃぃぃやぁぁぁぁぁあ!!!!
え、うそ、え、さっきって…え?まってもしかして…あの夢で…名前呼んじゃってた…?…え…詰んだ。
「すみません…聞くつもりはなかったんですけど…あまりにも…その…」
『柴山くん…頼むっ…俺はずかしさでもう限界やから…もろもろ忘れてくれ…頼むぅ…』
「いやです!だってあんなにエ…」
何かとんでもないことを言いかけた柴山くんは俺と目が合うとハッと我に返り、ギリギリのところで踏みとどまった。
ガチャ
部屋の扉が開く
母「あ、ゆう起きた?大丈夫?麦茶持ってきたけど。柴山くんごめんねー散らかっててー!」
柴山「いえいえ、こちらこそ急にお邪魔してしまいすみません。」
『ちょっと、全然話が見えないのですが?』
母「ゆう、柴山くんに感謝しなさいよ。気絶したあなたを抱えて来てくれたんだからね。」
柴山「いや、そもそも俺のせいでもあるんで。本当にすみません。」
柴山くんは両手を膝の上に置き深く頭を下げた。
母「いやいやいや頭上げて柴山くん。柴山くんのせいなわけないでしょ。」
『え、てかまって、なんでお母、自然に柴山くんの名前知ってるの?』
母「え?だって柴山くんっていえば…」
お母は柴山くんの顔を見て何かを察したのか、何故知っているのか言うのをやめた。
『柴山くんっていえば…?』
母「い、いやさっきゆうを運んでもらった時に丁寧に自己紹介してくれたから!ね!」
母は柴山くんにウインクする。
『ふーーーーん。』
母「じゃあごゆっくり~!ほら、チョボおやつあげるからおいで!」
ガチャ
お母はチョボを連れて部屋を出る。
部屋は俺と柴山くんの二人だけになった。
どうしよう…改めてなんか緊張する…。
俺はチラっと柴山くんを見る。
すると柴山くんも同じタイミングで俺のことを見ていた。
俺たちの目が合う。
明日のイベント…誘うなら今しかない。
「『あの!』」
2人の声が重なる。
「佑一さんお先にどうぞ。」
『いや、柴山くん先にお願い!!!』
「………じゃあお言葉に甘えて。」
そういうと柴山くんは脇に置いたポシェットから、2枚のチケットらしき紙を取り出す。
「佑一さん。
明日、俺と一緒にアルディーンの
オーケストラ行ってもらえませんか?」
『…え?』
「俺、佑一さんと一緒に行きたくて。ずっと誘いたたかったんですけど…中々タイミングが合わなくて…。ギリギリになっちゃってすみません。」
柴山くんはチケットの一枚を俺に手渡す。
チケットには
《【アルディーン】35周年記念フィルムオーケストラ 関係者招待状》と書かれている。
「…本当は、チケット自分で取ってお誘いしたかったのですが…すぐに売り切れてしまって取れなくて落ち込んでいたところ職場の上司が譲ってくれて…それで…。色々と格好悪くてすみません。」
『…………。』
嬉しい…。
「…佑一さん?」
嬉しい…嬉しすぎるよ…。
やばい…もう駄目だ…堪えられない。
必死に堪えていた涙があふれ出す。
「佑一さん!!?」
『……くない…』
「え?…」
『…格好悪くなんてないよ……まさか…柴山くんから…誘ってもらえるなんて…思ってなくて…グスッ…俺…本当に嬉しくて……ありがとう……』
涙と一緒に溢れだす言葉たちを柴山くんは
静かに受け止めてくれた。
そして俺も、自分の鞄から
アルディーンのチケットを2枚取り出す。
『俺も…柴山くんと…一緒に行きたかった…』
俺もチケットを柴山くんに手渡す。
柴山くんはチケットを受け取ると。
唇を噛みしめ目を潤ませる。
そして柴山くんは俺の腕をグイッと引き寄せて、その温かな胸へと抱き寄せた。力強い…でも愛に溢れた優しくてあったかいハグ。
「…グスッ…俺、嬉しいです。」
あれ…柴山くん…泣いてる?…
「佑一さん…佑一さん…好きです…大好きです…」
柴山くんは更に俺をぎゅっと抱きしめた。
柴山くんがあまりにも泣くもんだから…
俺の涙、もう引っ込んじゃったよ。
俺は柴山くんの背中を優しくさする。
本当は…
もっとちゃんとした場所で…
もっとロマンチックなところで、
返事したかったけど。
でも…
もういいよね、そんなこと…
俺は柴山くんをぎゅうっと抱きしめる。
『うん。俺も大好き。』
そして俺は、柴山くんから一度離れ
両膝で立て膝をつき
座ってる柴山くんよりも高い目線で
柴山くんの涙で溢れた顔を両手で包む。
柴山くんの潤んだ瞳に俺が映る。
『 柴山健太さん… 』
『 俺と付き合ってください。 』
第11話 「俺だって、男です。」
ー後書きー
第11話「俺だって、男です。」
お読みいただき誠にありがとうございました!
実は今回のサブタイトル、犬善(作者)の好きな小さな仕掛け仕様にしていたのですが…気づいてくださった方はいらっしゃるでしょうか…。もしいらっしゃったら嬉しいです!
今回のお話の中で柴山くんが言った台詞は
「俺だって…男です…。」
なのですが、
サブタイトルは
「俺だって、男です。」
《…》がなくなり、《、》に変わっていたりしています。
つまりこのサブタイトルは、
佑一の最後の心情をあらわしていましたー!
という自己満サブタイトルでした!
引き続きお読みいただけたら嬉しいです!
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