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第15話「やっと見つけた」

事件の事情聴取なども終わり 無事に末頭下さんも捕まり 普段通りの日常に戻り始めた頃。 シュポッ 柴山くんからメッセージが届く。 柴山[ 佑一さん、次の休みっていつですか?] 佑一『えっと…次の休みは…来週の火曜日と水曜日だよっ…と!』 シュポッ 返信早っ! 柴山[一緒です! ] シュポッ 柴山[もし良かったら、俺とデートしてもらえませんか?] デデデデデデデートだってええええええええ!!!!!! 第15話 「やっと見つけた」 そんなこんなで、今に至る。 朝6:30分、夢見合致ユメミガチ駅改札前。 ピピッ 俺は改札を通り、 駅前のコンビニでおにぎりを買って食べながら 柴山くんの到着を待とうとしていた… …はずだったが! 改札を通ってすぐ気づいてしまった。 正面奥の柱に立っている スーパーイケメンな俺の彼氏の存在に!!! 溢れ出るイケメンオーラに 周囲の人々も釘付けになっていた。 女性1「ねー!!あの人超格好良くない?」 でしょ?格好良いでしょ? あの人俺の彼氏なんよ。 女性2「一人かなぁ、どうする?声かけちゃう?」 ごめんな、一人じゃないんよ。 なんてったって俺の彼氏なんよ。 俺は心の中でついついドヤッてしまった。 すると柴山くんが、 俺の存在に気づき笑顔になる。 俺と柴山くんの間に居た女性1さんと女性2さんは、 その笑顔に悩殺されてしまう。 そして俺もその後ろで もれなく悩殺されてしまう。 はぅ…好き…。 柴山「佑一さん!」 柴山くんが笑顔で駆け寄ってくる。 まるで飼い主を見つけた柴犬のようなかわいさや… 俺は心の中で手を合わせる。 柴山「おはようございます!」 『おはよう柴っ…健太くん!』 俺はいつもの癖で柴山くんと呼んでしまいそうになるところを、今日はデートなんだから絶対健太くん呼びするぞと意気込んで名前を呼び直す。 柴山「ははっ!別に無理しなくても良いですよ!俺もまだ敬語抜けないし…一緒にゆっくり慣れていきましょう。」 トスッ! 俺のハートに矢が刺さる。 『う…うん。そうだね…ははっ…。』 あぁ、駄目だ…好きだ…好きすぎる…。 女性1「あのぅ…」 さっきのお姉さんが柴山くんに いきなり声をかけてきた。 あ、さっきのお姉さん。…まさか!?! 柴山「???はい。」 女性2「私たちぃ~二人で来てるんですけどぉ~お兄さんたちもお二人ですかぁ~?」 きたぁぁぁ!色仕掛け!! 俺が一番苦手なタイプの人たちだったぁ!!! 説明しよう!俺、寺川佑一は中途半端なぶりっ子だったり色目を使ったりする女性が大の苦手なのだ! でも…くそう!このお姉さんたち良くみたら二人ともめっちゃ美人さんじゃんか… それに比べて俺は… ズキッ あぁ、せっかく忘れてたのに…。 柴山「はい!二人です!」 柴山くんは爽やか笑顔で答える。 女性1さんと女性2さんがはしゃぎだす。 俺は、なんか急に辛くなってしまい目を反らしてしまった。 …そんな時だった、 柴山くんが俺の身体をグイッと引き寄せる。 柴山「俺の大切な人との初デートなので!」 柴山くんは、 満面の笑みで堂々とそう言いきってくれた。 どうしよう…嬉しい。 顔がにやける…。 予想値にしなかった柴山くんの言葉に、 女性1さんと女性2さんは呆気を取られて立ち尽くしてしまう。 柴山「それでは、失礼します。さ、佑一さん行きましょう!」 柴山くんは、それはまぁ自然に俺の手を恋人繋ぎで繋ぐとテーマパークの入り口に向けて歩き始めた。 テーマパークと駅を繋ぐ橋を歩いてる時、 柴山くんがいきなり俺の耳元に囁いてきた。 柴山「佑一さん…もしかして嫉妬してくれました?」 くぅぁぁぁぁぁぁぁあ!! こ…この男はぁぁぁぁぁぁあ!!!!! こういうことサラッとするんだから! ………。 『そりゃ…するよ…。』 俺は素直に気持ちを溢す。 すると、さっきまで少し余裕な表情を浮かべていた柴山くんの顔が赤くなる。 …まって、これはチャンスかもしれない。 俺はグイッと繋いだ手を引き少しだけ背伸びをして柴山くんの耳元で囁く。 『もしかして、嫉妬されて嬉しかった?』 柴山くんはやられた…と悔しそうな顔をする。 俺はさっきの仕返しと言わんばかりに盛大なドヤ顔をかます。 柴山くんが照れ隠しなのか 俺の髪の毛をわしゃわしゃしてきたから 俺も反撃して柴山くんの頭をわしゃわしゃした。 あぁ、もうすでにめっちゃ楽しい。 開園待ちの列に並んだ俺たちは、 開園までの間に持参したマップを広げ まず最初にどこに行こうか話し合う。 『健太くん、これ乗りたいとか、ここ行きたいとか何かある?』 実はこのデート…俺にはひとつ…どうしても悩んでることがあった。 それは… 俺が… このテーマパーク 【ティロニー・ワンダフルランド】の元、 年パスホルダーであったという事実を柴山くんに隠すか否か…ということだ。 いや、だって、せっかく柴山くんが色々考えに考え抜いて決めてくれた初デート場所が、実はめっちゃ通い慣れた場所でした~って流石に言えなくない? いや、俺としては昔からずっとティロニーでデートすることが人生の夢トップ3に入ってたくらい本当に嬉しいお誘いだったのだけれども!いつかは絶対柴山くんと来たいと思ってたから、この時が来ることは覚悟してきたけれども! …でもまぁ、なるようになるか。 なんてったって俺は幾度となく妄想の中で このデートのリハーサルをしてきたからね! どんな選択肢が来ても切り抜けて見せる! 柴山「実は俺…ずっと秋田にいたんで、ここ来るのはじめてで何があるのかあまり分かってないんです。一応来る前に本買ったりして最低限は色々調べてきたんですけど。」 俺の数多の妄想デートリハーサルが早速破綻した。 は、は、は、初めてだってえええええ!!! 流石にそのルートでの妄想はしてなかった! くそう!俺としたことが! いや、でも! そんなんもう俺がリードするしかないじゃん! 俺が大好きな場所、初めてのティロニー! 絶対楽しんでもらいたい!!! てか、ちゃんと本を買って予習してるの偉いし尊い!!!好き!!! ガシャッ 俺の中の枷が外れる音がした。 『健太くん…』 「どうしました?」 『今日は俺が健太くんに最高に楽しい時間を届けるから、任せてもらっても良いかな?』 俺は無意識に鼻息をフンッと出してしまう。 柴山くんは嬉しそうな顔で 「はい!お願いします!」 と俺の提案を了承してくれた。 俺は最速で持てる知識を駆使して今日のデートプランを練り上げる。 カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ…チーーーン!!! よし、このプランで行こう! 待ってて柴山くん! 俺のいままでの知識と経験をフル活用して 最高に楽しい1日にしてみせるから! アナウンス「間もなく開園致します。」 柴山「あ!もう開きますね!」 『うん!今日は思いっきし楽しもう!』 開園時間になりチケットを入場口にかざす。 ヨーーーーッポンッ! 入場確認音が俺の心を沸き立たせる。 柴山「入り口から、すごいですね!」 目の前に広がるのは江戸時代を沸騰させるような城下町。 町の奥には、このテーマパークのシンボル 《シバテリア城》が見える。 俺は今までの知識や経験をフル活用するが、 だからといって俺が今まで一人で来ていた時のような周り方はしない…ちゃんと、ティロニーはじめましてさんに負荷がかからない周り方にするから安心して柴山くん。 普段の俺ならまずここで抽選所にいきショーの抽選をした後、キャラクターの着ぐるみたちと1日中遊び倒すのだが… 今回は… 『健太くん、お土産屋さんでカチューシャか帽子買わない?』 そう、デートの醍醐味と言えばこれ! 初手でカチューシャか帽子を買う!!! ※さっき思い出した。 俺は念のため持参していたウルフィーのカチューシャを鞄の更に奥にしまう。 「良いですね!買いましょうか!」 俺たちは早速、城下町最大のお土産処 《ナンデモソロウミセ》に入る。 壁一面に並ぶカチューシャや帽子や 棚に並ぶぬいぐるみの数々。 そして文房具や雑貨などの様々なグッズに沢山のお菓子。 入るだけでこのワクワク感…あぁっ最っ高っ! 『健太くん!どれにしよっか?』 俺は壁一面に並ぶカチューシャから柴山くんへと視線を移す。 すると、俺の目に飛び込んで来たのは 目をキラキラと輝かせる少年のような柴山くんの顔。 俺はポケットからスマートフォンを 取り出しその横顔を写真に納めた。 「あ、いま撮りました?」 『撮りました。』 「変な顔してなかったですか?」 『それはまぁ、立派なお顔立ちでした。』 「ふふっ…なんですかそれ!…でもせっかくなら。」 柴山くんはグイッと俺を抱き寄せ、もう片方の手でスマートフォンを取り出し自撮り撮影をする。 パシャッ 「俺は一緒に撮りたいです。」 『お…俺も…。』 俺はまたもや柴山くんに一本取られてしまった。 そして再びカチューシャを選び始める。 『あ!これ!』 俺はアルディーンのシバ耳カチューシャを手に取る。 『健太くん絶対似合うと思う!…ほら!!』 俺は柴山くんの頭にそのカチューシャをつける。 いや、まじで似合う。 この世界で一番シバ耳が似合う人なんじゃないか? 「じゃあこれにします!」 『え!ほんとに?自分で押しつけといてなんだけど、他につけたいやつとかなかった?大丈夫?』 「俺は、佑一さんが選んでくれたやつをつけたかったんで…」 『そ…そっか…へへ…なんか…嬉しいな…』 「なので、佑一さんはこっちで!」 『へ?』 柴山くんはカモミールのカチューシャを手にとり、俺の頭につける。 「ペアルックですね!」 『/////////そう…だね……嬉しい…。』 「俺も嬉しいです!じゃあお会計行きましょうか!」 俺は一度カチューシャを外しレジのスタッフさんに渡す。 すると、柴山くんもスタッフさんにアルディーンのカチューシャを渡す。 「あ、お会計一緒で!」 『え!?』 「俺に払わせて下さい。」 『いやいやいや!いい!いいって!むしろここは年上の俺が払うって!』 「年上とか年下とか関係ないですよ。 だって俺たち付き合ってるんですから。 だから…ここは俺にかっこつけさせてください。」 柴山くんは俺の頭を一回ポンッとする。 …うぅ…格好いい…。 確かに柴山くんは、会ってからずっと… 年下って感じがしないんだよなぁ、 時折年相応な反応も見せてくれるけど…普段からしっかりしててリードしてくれて、大人な男性って感じがして、だから俺もついつい甘えてしまう…。 「お待たせしました!」 柴山くんは再び俺の頭にカモミールのカチューシャをつけてくれる。 「うん!かわいい!」 『あ…ありがとう…ございます…』 「ふふっ…なんで敬語なんですか…      ………どういたしまして。」 あぁ、俺いま本当に幸せだ。 その後、俺たちは 色んなアトラクションを乗り倒した。 『うぅ…《野犬と美犬》めっちゃ良かった……ズビッ…』 俺は鼻水を垂らしながら泣いていた。 「すごい綺麗でしたね。最後の盆踊りのシーン。俺もグッと来ちゃいました。」 そういいながら柴山くんがスマートにポケットティッシュを渡してくれる。 『ありがとう……チーーーン!』 俺は柴山くんのポケットティッシュを受け取ると盛大に鼻をかむ。 「………………。」 優しい表情で柴山くんが見つめてくる。 『ん?どした?』 「いや…ほんとかわいいなって思って…」 /////////////// 照れすぎて言葉が何も出なくなってしまった俺は、柴山くんの手を握る。 すると柴山くんは俺の指先の間に太くて長い指を滑り込ませてしっかりと握り返してくれた。 そのまましばらく歩いていると、 俺が一番大好きなエリアの入り口が見えてきた。 『あ!健太くん!ちょっと寄ってもいい?』 「もちろん。行きましょうか。」 『ありがと!』 俺が一番大好きなエリアこと、 《絵巻街エマキタウン》 なんとここには、俺の最推しキャラクターの狼のウルフィーがたまに遊びに来るのだ! 俺は、ウルフィーいたら良いな~♪と エリアの奥まで目を凝らす。 『あ!!!いたっ!!!!』 俺の視界は推しの姿を捉えた。 柴山「え?何か居るんですか?」 『あ、うん!俺が昔からずっと好きなキャラクターがいて……その…会いに行ってもいい?』 柴山「会いましょう!」 『うん!ありがとう!』 わーーーーーーウルフィーだぁぁぁぁあ!! 久しぶりに見かけたぁぁぁぁあ! 嬉しい!!嬉しすぎる!!! 段々と近くなる推しに俺の心臓は高鳴る。 そんな時だった… 女性スタッフ「あれ?寺川くん?」 聞き覚えのある声が聞こえた! 『え!!!コゲちゃん!?わー!!!久しぶりー!!!』 コゲ「やっぱ寺川くんだー!!久しぶりー!最近見ないから心配してたんだよー!元気してた?」 『してたしてたー!コゲちゃんも元気してた?』 コゲ「お陰様で!」 柴山「あの、佑一さん。この方は?」 『あ!この子はコゲちゃん!俺が年パスで通ってた時に仲良く…して…もらってた…スタッフさん…』 やっべぇぇぇぇぇぇえ 流れで通ってた事言っちゃったぁぁぁぁあ! 柴山「あ!そうだったんですね!柴山っていいます。佑一さんがお世話になってます。」 あれ?気にしてない?良かったぁ! コゲ「あら、ご丁寧にどうも~!コゲです~!」 柴山くんとコゲちゃんが同じ画角にいて挨拶してる、なんか嬉しい。 コゲ「てかまって!え、もしかして寺川くんの彼氏?」 柴山「はい!佑一さんと お付き合いさせてもらってます!」 正直に直ぐ様答える柴山くんにコゲちゃんは圧倒されてしまう。 コゲ「…………ちょっと寺川くん、よくこんな出来たイケメン落とせたね。」 『いや、俺も本当に謎でしょうがないのよ。未だに夢だと思ってる節あるからね。』 柴山「夢にしないでくださいよ!」 俺たちが3人で談笑していると。 後ろから温かなモフモフにギュッとされる! ウルフィーが来たぁぁぁぁぁあ! 俺が舞い上がると同時に柴山くんが真顔になる。 『ウルフィー久しぶりー!元気してたー?』 ウルフィーもジェスチャーで 元気してた!そっちは?と聞いてくれる。 『俺も元気元気~!』 最近来てなかったじゃん!ってジェスチャーで伝えてくるウルフィー。 『あー、いま年パスもう持ってないからさー!でも、今日久しぶりに会えて嬉しいよー!』 ウルフィーとキャッキャウフフしていると 柴山くんがいきなり俺の腕を引っぱって柴山くんの胸元へと抱き寄せた。 『け、健太くん!?』 柴山「俺の!佑一さんなんで、    そろそろ返してもらえますか?」 ズッキューーーン!!!!! 柴山くんめちゃくちゃ焼きもち妬いてくれてるやんけ!!! そしたら、ウルフィーも柴山くんの反応が面白かったようでからかうように、 再び俺の腕を引き抱き寄せた。 負けじと柴山くんも俺を奪い返す。 え、まって、この状況なに? こんな幸せな状況あっていいの? 彼氏と推しが俺を奪い合ってるんだけど…。 あぁ…ほんと…生きてて良かった…。 するとコゲちゃんが笑いながら止めにはいる。 コゲ「はいはいはいはい!そろそろおしまい!寺川くんもうそろそろ限界来ちゃいそうだから、ハイ写真撮るよー!カメラカメラ!」 俺はホワホワしながら、 スマートフォンのカメラを起動してコゲちゃんに写真を撮ってもらう。 まって、まじでどういうポーズよこれ。 俺の両腕にそれぞれ柴山くんとウルフィーがしがみついてるんだけど、まじでこれどういうことよ。一生の宝物にしよ。あと即効ロック画面にしよ。 俺はウルフィーにありがとうのハグをする。 柴山くんも渋々ウルフィーと握手を交わす。 そんな姿をコゲちゃんは全て写真に残していてくれた。ありがとうコゲちゃん! 俺たちはウルフィーとコゲちゃんをお見送りしたあと、絵巻街を出て《ガンマンクラッシュタウン》のカレー屋さんへと向かった。 カレー屋さんにつくと 天井から垂れ下がる大きなメニュー表を見て、何を頼むか選び始める。 柴山「佑一さんは、決まってますか?」 『うん!俺はいつもの《オナカスイタヨカレー》の甘口・大盛りにしようかな!柴山くんはどれにする?』 柴山「じゃあ、俺も同じやつと…」 『と?!?!』 柴山「俺この見た目通り、大食いなんですよ!」 『かわいい』 柴山「え?!かわいい?」 『あ、ごめん口に出ちゃってた。気にしないで。独り言だから!それで、もう一つはどれにしようかね~、俺のオススメは《モウイッソゼンブノセチャオカレー》かな!』 柴山「じゃあそれにします!」 柴山くんが嬉しそうに答える。 『辛さはどうする?甘口・中辛・辛口があるけど。』 柴山「じゃあどっちも甘口で!」 『お!一緒だ!へへっ!なんか嬉しい!』 柴山「俺もです!」 『飲み物どうしよっか!』 柴山「俺は烏龍茶にします。」 『うい!じゃあ頼んじゃおうか!……あ、ここアプリのスタンプ貯めれるところだからさ、俺先に行ってもいい?』 柴山「はい、どうぞ!」 『ありがとう!』 俺は柴山くんの前に入れてもらう。 スタッフ「お次の方どうぞ~!」 『えっと、オナカスイタヨカレーの甘口の大盛りのセットを2つと、モウイッソゼンブノセチャオカレーの甘口大盛り単品で1つお願いします!』 スタッフ「オナカスイタヨカレーの甘口大盛りのセットがおふたつと、モウイッソゼンブノセチャオカレーの甘口大盛りが単品でおひとつですね。セットのお飲み物はどうされますか?」 『2つとも烏龍茶でお願いします!』 スタッフ「かしこまりました。そうしましたら3点で3180円になります。」 『バーコード決済でお願いします!』 柴山「あれ?佑一さんスタンプは?」 スタッフ「???」 『あぁ!大丈夫です!支払いお願いします。』 スタッフ「かしこまりました。バーコード決済にてご頂戴致しました。レシート奥のカウンターでお見せください。」 『ありがとうございます!』 俺は柴山くんの腕を引き前のカウンターに レシートを見せる。 柴山「あ、えっと佑一さん?」 『健太くんごめんね!スタンプっていうのは嘘でした~!』 柴山「え!?!」 『今回は俺がご馳走したかったからさ、嘘ついちゃってごめんね!』 柴山「え!いや、でも!」 『俺にも格好つけさせてくれや!俺だって健太くん甘やかしたいもん。』 その言葉を聞いたあとの柴山くんは 少し幼くなったように見えた。 無邪気な笑顔で 「じゃあ、甘えます!ありがとうございます!」 と俺のことを後ろから抱きしめた。 カウンタースタッフ「…あ、あの~お、お待たせいたしました~。」 邪魔しちゃってすみませんと言いたげな表情で申し訳なさそうにカウンタースタッフのお姉さんが、カレーが乗ったトレイを俺たちの前に置く。 俺たちはすぐに離れる。 『ああ!すみません!ありがとうございます!』 カウンタースタッフ「いえいえ、食器類はそちらからお取り下さい。」 『はい!ありがとうございます!』 俺たちはカレーが乗ったトレイを手に取ると、空いている席を探し始めた。 柴山「やっぱり混んでますね。」 『多分だけどね、あっちの奧いったら席空いてると思うよ………ほら!空いてた!』 柴山「ほんとだ!…すげぇ…」 俺は自然と鼻高々くなってしまった。 席に座ると 荷物を肩から下ろし、おしぼりで手を拭く。 『じゃあ食べますか!いただきます!』 柴山「いただきます!」 俺はスプーンでご飯をひと掬いするとカレーのルーの中に一度沈めそのまま口の中へと運ぶ。 『んんんんんうまぁぁぁぁあ!!!!! これだよ!これ!あー…ティロニー来たって感じする~!』 オープン当初から変わらないこの甘さ、この味…小さい頃連れてきてもらったら絶対に食べてたよなぁ…懐かしい…まさに思い出の味。 柴山「うわっ!うまっ!」 柴山くんの言葉遣い段々砕けてきてる…嬉しいな。 柴山くんはガツガツとカレーを食べ進めていく。 『柴山くん一口大きいね!』 柴山「そうですかね?昔からこうなので自分では良くわかんないんですけど。」 『俺、口大きい人好きなんだよね~!あと、こんな感じで美味しそうにご飯食べてくれる人!』 柴山くんは更に大きな一口でカレーを食べ進める。 かわいい…。 柴山「…佑一さん…」 『ん?どした?』 柴山「ひとつだけ…お願いしてもいいですか…?」 『ひとつなんて言わんで何個でもいいよ!』 柴山「あの………     あーんって      してもらってもいいですか?」 『ええ!?!いいけど…でもみんなに見られちゃうよ?』 柴山「俺は気にしません!むしろ見せつけてやりたいくらいです!…でも佑一さんが嫌なら…」 『い、嫌じゃないよ!…むしろ…嬉しい。』 俺の言葉を聞いた柴山くんは 嬉しそうに静かに少し俯きながら微笑む。 柴山「よかった……実は…ずっと憧れていて…。」 柴山くんの耳が赤くなる。 俺は、スプーンにお米とカレーを乗せると、柴山くんの前に持っていく。 『じゃあ……はい、あーん!』 柴山「あーん…」 パクッと柴山くんは俺のスプーンからカレーを食べる。 柴山「…うまい…。…ありがとうございます。夢がひとつ叶いました。」 『こんなんでよければ…いつでもするよ…。』 ヤバイ…そんなにストレートに言われると 流石に恥ずかしい…。 柴山「それじゃあ佑一さんも…はい、あーん。」 柴山くんは自分のカレーをスプーンに掬うと俺の前に差し出す。 ゴクリ。 『あ…あーん…』 パクッ…まって…冷静に考えていま…俺たち自然とか、か、か、か間接キスしてる!? 『お…美味しい。』 柴山「良かった!」 幸せだなぁ。 俺、本当に柴山くんの彼氏になれたんだなぁ。 柴山くんが美味しそうにカレーを頬張る姿を見て、 この先もずっとあなたの幸せそうな顔を、 あなたの隣で見ていけたらいいな。 と心の中で願っていた。 カレーを食べ終えた俺たちは再び色々なアトラクションを乗り終え、間もなく開催される夜のパレードをパレードルートで待っていた。 『あー!たくさん乗ったねー!』 柴山「ですね!どのアトラクションもすごく楽しかったです!」 『健太くんはどのアトラクション好きだった?』 柴山「全部好きだったんですが、《誘惑のキッチン・ルーム》が好きでしたね!」 《誘惑のキッチン・ルーム》 世界中の料理が集まる魔法のキッチン・ルーム。そこに勤める多種多様のイヌ科の動物たちが、僕ら観客に次々と出される魅力的な料理の誘惑に負けずに歌を歌っておもてなしをするというなんとも健気なアトラクションなのだ。 『分かる!キッチン・ルームは俺も昔よく来てた時、落ち込んだ時とか何度も入ったもん。オヒナの歌う《アナタノ・ザッコクマイ》が好きすぎて…』 柴山「あの、メインテーマの元気をくれる曲ですかね?」 『そうそう!辛くてもあなたは一人ぼっちじゃないって、そう言ってくれるあの歌詞に何度も救けられたなぁ…懐かし。』 柴山「……………。」 テッテテー♪テテテテテッテテー♪ ヨーッポンポンポンポン♪ 辺りの街灯が消え、パレードの音楽が周りのスピーカーから大音量で流れ出す。 俺は柴山くんの服の裾を引っ張り 『はじまる!はじまるよ!』と既に大興奮状態に陥っていた。 パレードがはじまると 様々なキャラクターやフロート、ダンサーのみなさんが俺たちの前を煌びやかに通りすぎていく。 キャラクターの何人かは、俺に気付くと あれ?!あれ!?久しぶりじゃーん!! っとジェスチャーをしながら手を振ってくれる。優しすぎる!俺も全力でそれにジェスチャーで応える。 そして、 『あ、健太くん!アルディーンとカモミール来た!!!』 気付くかなぁ? 俺はこっち側を向いているアルディーンに手を振る。カモミールは反対側を向いていた。 すると、 アルディーンが俺たちに気がつき 柴山くんのカチューシャを指差して 俺とお揃いだ!とジェスチャーで伝えてくる!柴山くんも嬉しそうに右手の親指をグッとしてアルディーンに応える。 すると、アルディーンが反対側を向いているカモミールを連れてきてくれて二人で構ってくれた。なんというファンサービスだ。 アルディーンがカモミールのほっぺにキスをすると、カモミールが恥ずかしそうにモジモジする。 か、かわいい! そんな時だった、 柴山くんが俺の頬にいきなりキスをしてきた。 なっ!!!!/////////////// 俺は照れてしまい少し俯いてしまう。 チラッと柴山くんの方を見ると 再び柴山くんはアルディーンとカモミールにグッジョブサインを送っている。 アルディーンとカモミールも拍手をした後、グッジョブサインを返してくれていた。 フロートが通りすぎると、 柴山くんが俺の耳元で囁く。 柴山「俺たちも負けてられないですね。」 エッッッッッッッ その顔と声色はずるいってぇ…。 パレードが終わると俺たちは、 最後に写真を取るために 淡い緑色にライトアップされた 《シバテリア城》の前に来ていた。 『いやー本当に楽しかった!!!連れてきてくれて本当にありがとうね!!!』 柴山「俺もすごく楽しかったです!」 『健太くんも楽しめたなら良かった~!でも大丈夫?疲れてない?わりと俺、振り回しちゃってた気がするから…』 初心者に無理のないペースと言いながらも わりかし動き回らせすぎたと自己反省会に入る。 柴山「そんなこと全くないですよ!佑一さんが俺のために周る順番とか考えてくれて…すごく嬉しかったです…それに俺、体力だけは自信あるんで!」 柴山くんは腕まくりをすると 力こぶを作りムキッとする。 『健太くん…ありがとう!!』 柴山「こちらこそ!」 『じゃあこの辺で、撮ろっか!』 俺はシバテリア城正面中央あたりで立ち止まりスマートフォンのカメラのインカメモードを起動する。 『柴山くん寄ってよって~!…この辺かな…いや、この辺かな?』 俺は、俺と柴山くんとお城が綺麗に画角内に収まる構図を探す。 すると柴山くんが、 「貸して」と俺の手からスマートフォンを取ると、もう片方の手でグイッと俺の肩を抱き寄せる。 ぐっ//////////// 柴山「じゃあ撮りますね。チーズ。」 パシャ 写真を撮り終えると、 前にいたお姉さん方が「よかったら写真撮りましょうかー?」と声をかけてくれた。 柴山「本当ですか?ありがとうございます!」 柴山くんはスマートフォンのカメラを起動してお姉さんに手渡す。 お姉さん「もっと寄ってください~!あ、いい感じです!じゃあ撮りますねー!」 柴山「あ!ちょっと待ってください!」 『?????』 柴山「佑一さん、失礼します!」 そういうと柴山くんは俺の身体をヒョイッと抱き上げ、お姫様だっこをする。 きゃーーーっ!と周りから黄色い悲鳴があがる。 『け、健太くん!』 柴山「お姉さんすみません!お願いします!」 お姉さん「あ!ひゃい!じゃあ撮りまぁす…はいポーズ。」 パシャ 柴山くんは俺を優しく下ろすと、 お姉さんにお礼を伝え、スマートフォンを受け取る。 柴山「ありがとうございます。良かったらお姉さんたちも撮りましょうか?」 そう言ってお姉さんたちの写真も撮ってあげていた。 俺は、いま起きた夢のような出来事に 放心状態でいた。 だって今、柴山くんみんなの前で俺を…俺を…お姫様抱っこしたよね…夢じゃないんだよね… 柴山「…さん…      佑一さん!」 『え?!あ、ごめん!ぼーっとしてた!』 柴山「お待たせしました!そろそろ帰りましょうか。」 『あ、うん!そうだね!』 そう言うと柴山くんは俺の手を恋人繋ぎで握り、出口に向かって歩き始める。 俺の少し前を歩く柴山くんの後ろ姿を見ながら、今日あった出来事ひとつひとつを思い出す。 たくさん笑って。 初めて見る君の色んな表情だったり… いままで知らなかったこと 沢山知ることが出来たよ。 意外とカレーは甘口なところや 好きなものに、得意なこと。 苦手なものがあまりないことだったり 本当に色々なことが知れて… 君との距離が更に近くなれたような気がして 俺、本当に嬉しかったんだよ。 だからね…俺… わがままだけど、 ずっと心の中にあるこのモヤモヤを ここでスッキリさせたい。 なんで、あなたがこんなにも 俺のことを好きでいてくれるのか… 知りたい。 聞いたら困らせちゃうかもしれない… でもお願い。どうか俺に教えて。君のこと。 俺は、柴山くんの手を少しグッとすると立ち止まる。 柴山「?…どうしました?」 柴山くんが振り返る。 『健太くんは…』 勇気を出せ俺。 『健太くんは、どうしてこんなにも俺のことを好きで居てくれるの?』 柴山「………………。」 柴山くんは少し驚いたような表情で眼を丸くしている。 『だって…俺たちまだ知り合って2ヶ月ほどだし…なんでこんなにも、こんな俺のこと好きになってくれたのが、本当にまだよく分かってなくて…こんなこと聞いたら困らせちゃうの分かってるんだけど、どうしても知りたくて…』 俺の身体が震える。 すると、柴山くんは優しく微笑んだあと 一度ぎゅっと俺の身体を優しく包み込む。 『健太くん…?』 柴山くんは俺から一度離れると 俺の目を真っ直ぐ見て答える。 柴山「不安にさせてしまってごめんなさい。そりゃいきなりこんなに好意押し付けられたら不安にもなっちゃいますよね。」 『いや、健太くんが謝ることでは本当になくて…ただ、俺自身の問題で…』 柴山 「やっと見つけたんです。」 『…え?』 柴山 「佑一さんは覚えていないかもしれませんが…     実は俺たちずっと昔に        一度会ってるんですよ。」 そう言うと柴山くんは、 自分のポケットから車の鍵を取り出す。 その車の鍵には、 ひとつのマスコットがついていた。 『え…そのマスコットって…』 柴山くんの鍵についていたのは、 綿が詰まってガタイが良くなっている 柴犬のマスコット。 柴山 「…やっと見つけたんです       あなたのことを…。」 第15話「やっと見つけた」

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