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最終話「柴犬っていうより、秋田犬じゃん!」

チュンチュン チュンチュン 『んっ…』 カーテンの隙間から射し込む日の光で 俺は目を覚ます。 目を開けた先には、 俺の右手を握り幸せそうに眠る柴山くん。 かわいい顔して眠っちゃって…。 俺は左手で柴山くんの頬を優しく撫でる。 柴山「んんっ……佑一さん…?…」 柴山くんが寝ぼけながらも目を覚ます。 『あ、ごめん。起こしちゃった。』 柴山「大丈夫です…佑一さん…おはよう…。」 『おはよう…健太くん!へへっ』 大好きな人の顔を見て起きれる朝… あー幸せだな。 柴山くんは俺の胸元に顔を埋めると両手と両足で絡みつくように俺の身体を抱き寄せた。 『まだ寝る?』 柴山くんは俺の胸元でコクリと頷く。 起きたての柴山くん 甘えん坊さんなんだなぁー かわいい。 俺は柴山くんの頭に顔を埋めて。 犬吸いならぬ柴健吸いをした。 最終話  「柴犬っていうより、秋田犬じゃん!」 『ありがとうございました~!  またお越しくださいませ~!!』 俺がお客様を見送り終えると、 店内で竹原さんと森さんが小さく拍手をしている。 森「寺川くん絶好調じゃん!」 竹原「今のまとめ買いのお客さんで予算達成で~す!」 『まじですか?!イェーイ!』 森・竹原「「イェーイ!」」 三人で両手ハイタッチをする。 森「それもこれも全部、彼氏くんのお陰かな。」 森さんがそう言うと、 俺は食い気味に答えた。 『いや、そうだと思います!』 森「否定しないんかい~!」 『事実なのでね!』 店内が笑い声で溢れる。 竹原「それにしても、まさか柴山くんが交番勤務のお巡りさんだったなんてね~!」 『いや、俺ほんとに未だにちょっと信じきれてないですからね!』 俺はスマートフォンのロックを解除して、 森さんと竹原さんに待ち受け画面を見せる。 俺の待ち受け画面は 健太くんが交番前で道案内している姿を 激写した写真だ。 ※盗撮は犯罪だから絶対にしちゃあ駄目だぞ!因みに俺はちゃんとアポ取りしてから撮影したからな! 『俺はこの写真を毎日目に焼き付けて、やっとこれは妄想じゃないと認識できはじめてる感じですからね!』 竹原「にしても、本当に格好良いよね柴山くん!」 『あ!駄目ですからね!俺の!健太くんですから!』 竹原「流石にあそこまで一途なところ見せつけられたら、誰も手出せないわよ。100パーセントなびかないからね。」 竹原さんは両手を上げてお手上げポーズをする。 『いや、ほんと、俺の彼氏愛が重たいんですよ~えへへ~』 俺は頭をポリポリかきながらもじもじする。 森「あたしからしたら寺川くんの方が激重だと思うけどね~!」 『ちょっ!それどういうことですか!まぁ!違いありませんけど!!!』 森「違いないんじゃないか~!!」 ひとしきり笑い終えた竹原さんが、 優しい声色で話を進める。 竹原「でも、寺川くん。ちょっと変わったよね。」 『え?!それは良い意味でですか?』 竹原「もちろんもちろん!元々明るかったけど、なんか前よりも良い意味で自分に自信がついてるっていうか、心から笑えてそうだなって。」 客観的に言われた言葉が 俺の中にストンと落ちた。 確かに俺は健太くんに出会って、 健太くんと過ごしていくうちに どんどん自分に自信がついていった気がする。 前までは心のどこかで 《どうせ自分なんか》って 事あるごとに自己肯定感や自分の存在価値を勝手に下げていたけど… 健太くんが毎回 真っ直ぐ思いを伝えてくれて、 俺じゃなきゃ駄目だって 心から思ってくれるから。 俺は彼に必要な人なんだって思えた。 それに自分自身を信じれない不安に襲われた時は、 俺を信じてくれる健太くんを信じようって 思えるようになったのも大きいかもしれない。 俺は、柴山健太くんの世界一好きな人。 スーパーダーリンに愛されるくらいなんだから、 俺ってめっちゃ魅力的なんだな!ってそう思ってる なーんて… そんな感じで日々を過ごせているから こうやっていまも心から笑えているんだろうな。 『それもこれも全部!俺の彼氏! スーパーダーリン柴山健太くんのお陰ってぇやつですね!』 俺は親指を立ててドヤ顔&変なポーズを取る! 竹原「はいはいご馳走様で~す!本当に幸せそうでよかったよ!でも大丈夫?半年くらいだっけ会えなくなっちゃうのって?」 ん???? なんのことだ??? 『え?会えなくなっちゃう?って何のことですか?』 竹原「え?だって柴山くんて今年警察学校卒業して、2月頃から交番勤務になったんだよね?」 『そうです。そうです。』 竹原「ということは、交番勤務3ヶ月やったあと、一度警察学校に最入校するはずよね?」 ………ん? ………………んんん??? 『…え?そ、そ、そ、そうなんですか?』 竹原「うんうん。あたしの弟がそうだったもん。」 『え!?竹原さんの弟さんって警察官だったんですか?!』 竹原「あれ?言ってなかったっけ?」 『初耳です!!!!!』 え、てかまって、え、まてよ。 ん?んんんんんん????? 俺は予想値にしなかった出来事に 頭がパニックになる。 竹原「あれ?…もしかして柴山くんからまだ何も聞いてないの…。」 『………はい…。』 まってまってまってまって さっき竹原さん交番勤務してから3ヶ月経ったら警察学校に戻っちゃうって言ってたよね… 健太くんが交番勤務はじめたってのが確か2月ぐらいだって言ってたと思うから… そうなると警察学校にもどる時期って5月の初めじゃない? …ってもう来週じゃん!!!!! え?…まって!!え!?!え!!!!!!! あからさま落ち込む俺の肩を竹原さんが元気づけるためにバシバシと叩く。 竹原「まぁ!人にもよるかもだけど、大体長くても半年くらいでまた卒業して帰ってくるからさ!さみしいかもしれないけど、会えない時間が二人の愛をもっと深くするって考えればいいじゃない!」 『確かに…うん!確かに!』 今の俺はすこぶる単純だった。 何故かって?健太くんの彼氏だからさ! 俺に元気が戻ってくる。 『だって健太くんはずっと長い間、俺に会えなえなくても耐えてくれてたんですもんね!それなのに俺ときたらたかが半年会えなくなるくらいで、めっちゃ凹んで…片腹痛いわぁ!!!!』 竹原「そうだそうだ~!」 『俺!頑張ります!頑張って健太くんが帰ってくるまでに、もっともっともっと料理だったりお掃除術だったり色々勉強して、最高で最強の彼氏になって健太くんを迎えてみせます!!!』 俺は力こぶを作り決意を固める。 でも健太くんはなんでそのことを 俺に教えてくれないんだろうか… そのことが、 ちょびっとだっけさみしくなってしまった。 その日の夜。 『おっつかれさまでしたー!お先失礼しまーす!』 竹原・森「「お疲れ様~!」」 俺はお店を出るといつも通り 警備室の前で警備のおっちゃんに、お疲れ様でーす!と伝えて従業員出口を出る。 ガチャ。 そう、そして扉を開けると 奥の道路沿いのガードレールに健太くんが腰かけて待って…ない!?!?! え?!あれ?!え?!おらん!?! なぜ?Why????? あれ?今日夕方迎えにくるって連絡来てたよね? 俺は右ポケットからスマートフォンを取り出し、 メッセージアプリを開く。 うん。やっぱり迎えに来てくれるって書いてある。どうしたんだろ、もしかしてなんか事故に巻き込まれたとか!? そう思った瞬間だった。 後ろからワッ!!! っと抱きつかれる。 『ヒィアヤァァァア』 俺はあまりにも驚きすぎて モンスターさながらの鳴き声を上げてしまう。 柴山「ぷふっ!!ごめんなさい!俺ですよ!佑一さん!」 『健太くん!?!あー…ビックリしたぁ…まじ、心臓に悪いからやめて…』 柴山「あははっ!だって佑一さん反応が毎回かわいいからついついイタズラしたくなっちゃうんですよ!」 ぐぬぅ!!!そんな太陽サンサン笑顔で言われちゃうと屈服するしかないんだよ!こっちは!この大型ワンコめ!!かわいいな!好き! 『じゃあ、そんなイタズラッ子にはお仕置きしてやる!うりゃ!!』 俺は健太くんの両脇を全力でくすぐる。 が、微動だにしない健太くん。 それどころか腕を組みだしてドヤ顔だぞ… 『…うっそだろ……くすぐりが効かない…?…そんな…ばかな…そんなやつがこの世にいるってぇのか…?』 すると 健太くんの大きな両手をが俺の両脇を掴む。 マズイ!!!!! そう思ったときには既に手遅れだった。 健太くんの太くて長い指が 俺の腰をくすぐりはじめる。 『アッヒャッヒャッヒャッヒャ…ヒィー…やめて…ちょ…ほんまに…やめて…やめてくれぇ…』 我ながら笑い方が汚い。 そう、俺は健太くんと付き合ってから 猫を被るのをやめたのだ。 ありのままの汚い笑いでも健太くんは 受け入れてくれるから安心しきってしまったのだ。 柴山「ほれっ!ほれっ!さっきまでの威勢はどこにいったんだ?」 柴山くんもまた時折敬語が抜けて 自然体になる瞬間が増えてきていた。 ああ…本当に幸せだ。 健太くんの反撃がひと通り終わり、 涙が出るほど笑っていたら 健太くんが俺の手を力強く 恋人繋ぎで握ってくる。 柴山「じゃあ、そろそろ行きましょうか?」 『うん!そうだね!』 俺も手を強く握り返す。 ……………振り幅ぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!! 健太くんの車に乗り込みいつも通り商業施設の駐車場を出ると、いつもは右側から出るのに今日は何故か左側から出た。 『あれ?どしたの?』 柴山「佑一さんって明日、お仕事お休みでしたよね?」 『うん!休み!』 柴山「ちょっと寄りたいところあるんですけどいいですか?」 ??????? 『…うん…ええけど…』 俺の返事を聞くと健太くんは、 車内に流れる音楽に合わせて鼻唄を歌いはじめる。 フンフーン♪ …これがまた非常にかわいいから困ったものだ。 録音してくれ俺の耳!!! 建ち並ぶ大きなビルの     窓ガラスの内側に光る  蛍光灯の白い明かりや      オレンジ色の窓明かり、   七色に輝く遊園地の観覧車。   暖かな暖色系のレンガ倉庫の灯り。  窓の外に流れる様々な夜の光に、     俺はまた釘付けになっていた。 『あ、まって!   今から行くところ    俺、分かっちゃったかも!』 柴山「フンフーン♪」 健太くんは正面を向いて鼻唄を歌い聞こえないふりをする。 『ちょっ!無視せんといてよぉー!  まぁでも運転中かっ!こりゃ失敬失敬!』 我ながらダルい返しをするようになったと思う。 彼氏に対してこれはどうなんだ佑一よ。 いずれ《カワイイ》→《ヤバイ》に変わったらどうすんだよ!…まじでちょっとだけ気をつけよう…。 俺がそんなことを考えていたら、 耐えれなくなった健太くんは吹き出してしまう。 声を出して盛大に笑ってる。 …あぁ、嬉しいな。 だって俺、   健太くんの笑ってる顔        大好きだから! 健太くんは公園の駐車場につくと、 グイッと俺の方へ身体を寄せて       ハンドルをきる。 そして左手で助手席の左側を抱き       右手でハンドルを動かす。 カァァァァ!!!! これはいつまで経っても慣れませんなぁぁぁ! …格好良い…ポッ////////// 車が停車すると同時に、 柴山「フゥー…着きましたよ。」 と俺の真横にハイパー整った健太くんの顔が目を合わせてくる。 これが目を見ただけで孕むってやつか。 あまりにも俺が健太くんの顔を凝視してたもんだから、健太くんは、ん?って言いながら 俺の唇にキスをした。 柴山「ん?まだ足りない?」 勘弁してくれぇぇぇ!!!!! 足りすぎてんのよ! おつりでちゃうくらい足りすぎてんのよ!!! でも俺はまだキスしてほしいから 『ん!』とあざとく答える。 キッシ………………ごほん。かわいいね!俺! 健太くんはもっかい俺に甘いキスをする。 車から降りた俺たちは、     夜のお散歩をはじめる。 『んー!海風がきもちいー!!!』 柴山「いい風吹いてますね。あ、佑一さん見てください!」 健太くんは海の方を指差す。 『え?なになに?』 柴山「ほら、あれですよあれ!」 『あれって言われても分からんよ…んっ…』 俺が健太くんの方を見た瞬間、 健太くんの唇が俺の唇を塞ぐ。 キスを終えると健太くんは イタズラッ子な顔をして 「引っ掛かった。」と俺を煽る。 …………………。 俺は健太くんのネクタイをガッと掴むと グイッと手前に引き寄せちょっと背伸びをして キスを仕返す。 不意打ちの逆襲に驚いた健太くんの顔は 暗闇でも分かるくらい赤く染まる。 『俺の勝ち』 俺は健太くんに負けないくらいの笑みを浮かべた。 そして俺たちは笑い合うともう一度目を合わせ。 ゆっくりと優しい口づけを交わした。 …てかキスしすぎだろ!俺たち!!!!! 俺たちが夜のお散歩を続けていると。 暗がりに自動販売機を見つける。 『あ!自販機ある!  健太くん!ちょっと飲みもの買っていい?』 柴山「何か買おうか。俺もちょっと喉乾いてきたし。」 『いぇーい!』 俺は自販機に駆け寄る。 『なーににしよっかなぁー……ってまって!!この自販機カモミールティー売ってんだけど!!!めっずらしぃー…』 柴山「佑一さんはカモミールティーですか?」 『うん、そうしよっかな!健太くんは?』 柴山「俺も、カモミールティーかな。」 『おけ!』 俺はカモミールティーのボタンを押すと ICカードのPAPIPOを自販機にかざす。 ピピッ ガコンッ 俺は自販機からカモミールティーのペットボトルを取り出すと健太くんに手渡す。 『はい!どーぞ!』 柴山「え?」 『いつぞやの飲むヨーのお礼!』 ※飲むヨーグルト 俺はブイッとピースサインを出す。 柴山「ありがとうございます、いただきます。」 柴山くんは優しく微笑む。 ピピッ ガコンッ 俺も自分のカモミールティーを買う。 俺たちはカモミールティーを飲みながら 歩き始める。 俺は健太くんの前を、 鼻唄を歌いながら歩いていた。 柴山「佑一さん…あの…」 『ん?』 俺が振り替えると、 健太くんが少し寂しそうな表情をしている。 『どした?』 俺は健太くんの顔を下から覗き込む。 柴山「あの…実は…」 健太くんはそこまで言うと…言葉に詰まってしまった。 きっとあの事だろうと俺は何となく察した。 『健太くん!こっちきて!』 俺は健太くんの腕を引っ張り、走り出す。 柴山「え?!佑一さん?!」 『いいから!いいから!』 『健太くん!ほら!見てみ!』 俺は以前健太くんと一緒に見た、 一本の遅咲きの桜を指差す。 柴山「…あの木って…」 思い出の桜の木、 流石にもう桜は散ってしまい全て葉桜にかわってしまっていたが、 それでも俺にとっては特別な木。 『ねぇ、健太くん…覚えてる?ここで俺が言ったこと。』 柴山「はい…もちろん覚えてます。」 『あの時俺ね、   本当は心の中で  誰か自分のこと、見つけてくれないかな   必要としてくれないかな       ってそう思ってたの。』 柴山くんは、 真っ直ぐ俺のことを見つめながら 俺の言葉を聞いてくれている。 『ずっと自分に自信がなくて、   誰もこんな俺のこと    好きになってくれるわけがない   そう常に思い込んでいて  恋愛なんて俺には無縁なものだって      思ってたんだ   だからこそ、    あの日この場所で  健太くんが俺に   真っ直ぐ思いを伝えてくれた時  本当に心の底から嬉しかったんだ。』 夜風と共に葉桜が舞う。 『 やっと、見つけてくれたって! 』 健太くんが唇を噛み締めているのが分かった。 『それにね、   俺…運命ってものが    本当にあるんだなーとも思ったの。』 柴山「…え…」 『 ずっと昔、     心がボロボロになって  全てを投げ出しそうになってたあの日…   救けてもらってたのは     俺の方だったんだよ           けんたくん…』 俺はちゃんと、    いま伝えるよ。 『 あの時、    握ってくれた小さな手が   《予約》してくれた大きな勇気が         俺にここに居ていいんだよって            ここに居てって    そう言ってくれた気がしたから…  俺、いまここに居ることが出来たんだよ    ありがとうね…けんたくん。』 健太くんは手に持っていたカモミールティーの入ったペットボトルを離すと、 俺の腕を引き 力いっぱい抱きしめてくれた。 柴山  「見つけるのが遅くなって…    何年も待たせちゃってすみません…」 俺が顔を上げると  俺のことを真っ直ぐ見つめる健太くんが   いま、目の前にいるる。 柴山  「 でも…     やっと見つけましたよ 」 目に涙を浮かべながらも  優しく温かなその笑顔は   真っ直ぐな思いを俺に伝えてくれた。 『うん!   健太くん!     俺を見つけてくれてありがとう!』    柴山     「佑一さん。」 柴山     「好きです。」 柴山  「あなたのことが、好きです。      はじめてあった時から。」 柴山  「だから、待っててください。    この桜がまた咲く頃までに    また、あなたを見つけにきます。   その時に、     あの日俺がした《予約》       受け取らせてください。 」  『 うん!!!待ってるよ!!!       …いってらっしゃい! 』     俺は笑顔で敬礼する。    「 行ってきます!!! 」    健太くんも笑顔で敬礼をした。 寒い冬がもうすぐ終わろうとしている、 そんな季節のある日の公園。 俺は、昨年遅咲きだった桜の木の前にいた。 『今年も君は遅咲きなのかね。』 俺は、まだ蕾の桜の木に声をかける。 すると心地よい風が一吹き俺の頬をかすめた。 「こんにちは!オイラ!豆太郎!」 俺のすぐ後ろから声が聞こえた。 俺が振り返るとそこには… 綿が詰まっていて   ガタイが良くなっている     柴犬のマスコット 【豆太郎】を持った健太くんが立っていた。 柴山 「見つけた」 俺は涙をグッと堪えて        笑顔で答える。  『 見つけられちゃった! 』 健太くんは優しく微笑んだあと 立て膝をついて、 ポケットから小さな箱を取り出す。     「 佑一さん 」   「 俺と、結婚してください。  」 健太くんが小箱を開くと、 中には柴犬の形をした指輪が入っていた。 俺は溢れそうになる涙を堪え          最大の笑顔で答える。  『 俺でよければ     よろしくお願いします! 』 俺は健太くんに思いっきり飛びつく。 そして、会えなかった時間を埋めるように 深い口づけを交わした。 遅咲きな桜の蕾が、 今年は一輪だけ花開いていた。 数年後、 俺は健太が持っている豆太郎を凝視する。 柴山「どうした?佑一。」 『いや、豆太郎ってさ…』  『 柴犬っていうより、          秋田犬じゃん!  』 最終話「柴犬っていうより、秋田犬じゃん!」

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