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第18話

ご飯を食べ終わった後には、二人でソファーに並んで座った。 柴田が聞きたいことがあったからであり、片手にはビールもある。 「で、話って何?まぁ、大体検討はついてるけどな」 「あぁ。お前、ウチの医院のCMに出てただろ?知らなかったし、驚いたよ」 「……うん。ごめん、また勝手なことして」 光輝はこちらを見ていないが、しゅんとした表情で項垂れているのが分かる。 「いや……」 「でも、俺は何とかしたかったんだ。ピンチになってる龍二さんを、助けたかったから……」 「うん……ありがとう。それは分かってるよ」 「俺も、少しは色々出れるようになったから、良い意味での医院の宣伝になればと思って。事務所の方から、会長には許可もらってたんだよ。龍二さんには内緒にしてくれって頼んで」 「そうだったのか……」 医院のことは光輝のおかげで何とかなったのだから、柴田は怒る気にはなれなかった。 「でも本当に悪かったと思ってる。黙ってあんなことして……」 光輝は少し肩を竦めた。 「そうだよなぁ。マジで驚いたからな。トーク番組では俺に施術受けたなんて暴露してたし……」 「ご、ごめん!」 光輝が焦ったように焦るので、柴田は思わずプッと吹き出した。 「大丈夫だよ。驚いたのは本当だけど、怒っちゃいないから」 「ほ、本当に?」 身を乗り出して光輝が聞いてくる。 「あぁ。結果的に医院も持ち直したし」 「それなら良かった」 心からホッとした様子の光輝の頭を、柴田はポンポンと軽く叩いた。 「何だよ、子供扱いするなよ」 「はは、お前は弟みたいなもんだからな。お前のおかげだよ。ありがとう」 「龍二さん……」 光輝が顔を近づけて、唇を重ねてきた。 「ん……」 不意をつかれた柴田は、手に持っていた缶のビールを床にこぼしてしまった。 「わ、悪い……」 突然のキスを怒ることも忘れ、ついビールをこぼしたことを詫びた。 こぼれたビールに目を向ける柴田の頬に手を添えて、光輝は顔の向きを変えさせる。 「そんなのいいから……」 光輝はまた柴田に唇を重ねてきたが、今度は柴田も驚いたりしない。 何故か、拒否する気も起きなかった。 そして、光輝とのキスに溺れる。 『キスって……こんなに気持ち良かったっけ……』 あらゆる男たちとキスをしてきた。 けれど、これほどまでに気持ちの良いキスは初めてだ。 柴田は、光輝とのキスを止められなくなった。 思わずキスを深くしようとすると、光輝の舌が柴田の唇をこじ開けて口内に侵入してきた。 「ん……」 柴田の口から甘い声が漏れる。 互いの舌が触れ合うと、蕩けそうになった。もう、何も考えられなくなりそうなほどに。 『こんなつもりじゃ、なかったんだけどな……』 そうだ、今日はこんなことをしに来たわけじゃないのに……。 どうしてこうなるんだと思いながらも、柴田は悪くないとも感じていた。 頭の中が混乱しそうになりながらも、光輝からのキスを受けた。 すると、光輝の唇が離れていった。 「こっち、来て」 光輝の腕に引っ張られたと思ったら、柴田の体をより近くに寄せて光輝の膝に跨らせてきた。 「これで、もっと近くなっただろ?」 そう言って微笑み抱きしめてくる光輝に、柴田はされるがままになった。 伝わってくる彼の体温が心地よいと思う反面、何だか夢心地から醒めたような、我に返ったような気持ちになる。 「は、離してくれ……」 腕を動かして光輝から逃れようとしたが、かえって強く抱きしめられてしまう。 「ヤダ。何でだよ」 「それは……俺の心臓が、持たないから……」 目を逸らしながら言うと、光輝は顔を真っ赤にした。 「……」 無言で柴田の体を解放してくれる。一体、どうしたのだろうか。 「な、なんだよ……」  「龍二さん……そんなこと言うなよ……」 光輝が溜息を吐いたので、柴田は少し不安になってしまった。 「ますますアンタをめちゃくちゃにしたくなるだろ?」 「バ、バカなこと言うなよ」 とても恥ずかしくなり、気分が落ち着かない。   そんな柴田の体勢を立て直させて、光輝は両手で柴田の頬を挟む。 それによって、自然と光輝と視線が絡む。 「好きだよ。やっぱり、食事したりするだけなんて無理……」 「お、俺には……妻がいるし……」 事実仮面夫婦だとはいえ、妻帯者だ。 今後は勝手なことはできないだろう。 「何だよ。もう既に、こうしてるっつーのに。そんなこと言うなよ」 光輝が少しムッとした様子で抗議する。 「アンタの……アンタの気持ちはどうなの?」 「は!?」 真剣な目で聞いてくる光輝に、柴田はタジタジになった。 「俺のこと、好き?」 「そ、それは……」 言い淀みつつ、光輝から目を逸らすと、「目、逸らすなよ」と言いながら鼻先にチュっと彼の唇が触れた。 その瞬間、柴田の中で何かが弾けた。

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