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(三)新たな快楽の扉

 クラストはマスカレードマスクを装着して、地下室に続く階段の前に立った。  ミンジャと名乗った少年を仕入れてから五日が経った。  時々外に出たいと訴えてくることはあるものの、抵抗らしい抵抗をしないミンジャに、調教時以外の吊るしを解いてやったのは三日目のことだった。同時に目隠しも外した。鳶色の澄んだ美しい瞳はさぞや貴族にウケることだろう。ようやく拝めた愛くるしいミンジャの面立ちに、クラストは掘り出し物を発見したような気分になった。  階段を下りて地下室に入る。  手足を拘束する桎梏(しっこく)を鎖で柵に繋いではいるものの、自由な格好を取れるだけの広さのある檻だ。動き回ることもあるかと思いきや、連日の調教で疲れているのだろう。ミンジャは檻の中で身体を横たえて眠っているところだった。  地下室の片隅にある道具置き場に向かう。  嗜虐性や被虐性を高めるグッズが多々収納されている道具置き場ではあったが、今回の調教では使用する予定そのものがなかった。念の為にミンジャの状態をオークショニアに伝えたが、方針転換はないとのこと。ニップルリングやペニスリング、或いは首輪や貞操帯など、ミンジャに似合いそうなグッズが多々あるだけに勿体ないと思うも、オークショニアの意向は絶対だ。クラストは足元に積まれている手桶をひとつ取り上げた。  少年の調教はペットの飼育に等しい。日に三度の食事に、日に八度の排泄管理。健康管理も兼ねた夜のシャワー。クラストのように貴族を相手とするブローカーは、少年の身体をただ弄んで終わりにする訳にはいかないのだ。  小金持ちを相手とする性奴隷(ラブドール)のブローカーは大量に仕入れて安く売るなどといったこともしているようだが、彼らが手掛けた性奴隷(ラブドール)たちは皆一様に衛生状態や栄養状態がよろしくなく、直ぐに消耗され尽くして捨てられるのが結末(オチ)だった。対して、闇オークションに参加する顧客たちは、長く使える性奴隷(ラブドール)を欲した。そうである以上、粗悪な商品を出す訳にはいかない。クラストがミンジャの衛生状態や栄養状態に気を配っているのはだからもあった。 「ミンジャ、入るよ」  檻の中のミンジャに声をかけると、浅い眠りであったようだ。う……ん。と、小さな呻き声を上げた身体がもそりと動く。クラストは手桶を片手に檻の中に入って行った。軽く身体を揺すって起こしてやると、瞼を擦りながらミンジャが起き上がる。  手足がある程度自由になるようになっても、ミンジャがクラストのマスカレードマスクに手をかけてくることはなかった。まだ恐れがあるのだろう。興味がある様子を見せはするものの、そこまでだった。それもその筈だ。池で水浴びをしていたところを捕らえられ、説明もないままに性的な調教を施される生活を送っているのだ。迂闊なことをすれば、どういった扱いをされるかわからないと思っていても不思議ではない。  無論、クラストとしては、そういった真似をミンジャがしようものなら、特大級のお灸を据えてやるつもりでいる。 「排泄の時間だよ、ミンジャ」  起き抜けのぼんやりとした顔が、瞬間、羞恥に染まる。クラストはミンジャに手桶を差し出した。出しておかねば漏らすだけとわかっているからだろう。気恥ずかしそうな素振りをみせながらも、ミンジャが手桶に跨ってゆく。 「あの……お願いです。そんなに間近で見ないで……」 「これも躾の一環だよ、ミンジャ。私の目の前できちんと出すのだね」  日に八回も手桶に跨がせているにも関わらず羞恥心を失わないミンジャに、クラストは陶然とした眼差しを向けた。  性奴隷(ラブドール)は大胆であればいいというものではないのだ。  顧客が見たいのは、恥じらいながらも性に溺れる奴隷の姿である。何をしても羞恥を覚えない少年が、商品としての価値を低めに設定されるのはそういった背景からだ。  その点、ミンジャは上質な性奴隷(ラブドール)の資質を備えていた。抵抗を覚えながらも快楽に抗えずに屈してしまうところもそうであったし、恥じらいを覚えながら排泄をするところにしてもそうだ。これは好事家には堪らない商品だろう。ブローカーとして何十人もの少年を闇オークションに送り出してきたクラストは、ミンジャの性奴隷(ラブドール)としての素質に期待をかけているからこそ、排泄行為も間近で鑑賞してやることに決めていた。 「どうだい、ミンジャ。出そうかい」 「出ます……でも、恥ずかしい……」  ちょろちょろと尿を吐き出すミンジャの性器はまだまだ未熟なようにも映るが、もう十六と聞いている。これでもう成熟しきった身体であるのだろう。クラストはうっとりとミンジャの排泄行為を見守った。開いた脚の中央にくっきりと姿を現している性器はとてもエロティックだ。 「終わり……ました……」  排泄を終えたミンジャの陰部を、クラストは丁寧に処理をしてやった。柔らかい布で陰部を拭いてやり、特製の保湿クリームを塗り込む。落ち着かない様子のミンジャの姿が愛くるしい。手桶を片付けたクラストは、再び檻の中に入って行った。 「さあ、ミンジャ。ご褒美の時間だよ」  ミンジャをいつも通りの姿勢に吊るし、左手でミンジャの腰を引き寄せる。ぴくりと肩を揺らしはするものの、抵抗はない。クラストはミンジャの耳を舐ってやりながら、右手を双丘の谷間に差し入れた。ふわりと薫るミンジャの体臭。皮脂の臭いを覆い隠す甘い香りは、シャワーの際に塗り込んだジャスミンオイルの匂いだ。  クラストはゆっくりと指を菊座へと忍ばせていった。  クラストの愛撫を自然に受け入れていたミンジャであったが、いざアナルを調教されるとなると緊張するようだ。身体を硬くすると、そこを、どうするの……と、不安げな表情でクラストを見上げてくる。 「これを受け入れられるようにするのだよ。これから時間をかけてね」  クラストは自らの股間をミンジャの腿に擦り付けた。びく、と、ミンジャの身体が震える。とはいえ、恐怖心だけに捉われている訳でもなければ、全く関心がない訳でもなさそうだ。頬を赤くしたミンジャに、「ここが使えることは知っているかい」クラストは口を引き絞ったミンジャの蕾をなぞりながら尋ねた。 「なんとなく……そうなんじゃないかとは、思ったり、してました……」 「君は察しのいい子だね、ミンジャ。そういう子は嫌いではないよ」  クラストはミンジャに口付けてやった。  それまで生活していた環境から一変。他に誰とも会わない生活を送っているミンジャが、頼れる相手クラスト以外にいないのだ。だから、だろう。自分を監禁し調教している筈のクラストに甘えるような態度をみせたりもする。  今にしてもそうだ。しなを作ってクラストに寄り添いながら、口唇を貪っているミンジャに抵抗の色はない。  すかっかり身も心も預けきったような態度。とはいえ、これはミンジャだけに限らない。  ここに連れてこられた少年たちの三割はそうだ。他に話をする相手がいないからだろう。クラストを信頼出来る大人と認識して振る舞うようになる。だから、クラストはそうした少年たちの扱い方を心得ていた。甘く囁きかけて、可愛がってやればいい。そう、優しい愛撫の分だけ彼らは自分が大事にされていると思い込むようになってゆく。  ――んっ。んぅ……  じっくりとミンジャの口唇を味わったクラストは、早速とミンジャの背後に回り込んだ。無言でいるミンジャの顔は目に入らないが、きっと緊張したままであるのだろう。手に触れている肌がいつもより硬い。  クラストはミンジャの腿を大きく開かせた。そして、腰を自分の方へと突き出させた。 「ああ、可愛いね。ミンジャのここは。こんなにぎゅうっと口を絞って」  耳元近くで語りかけてやりながら、指の腹で菊座をゆるゆると撫でてゆく。身体に力が入り過ぎているのだろう。蕾が口を開く気配はない。  クラストは身を屈めた。  ミンジャの菊座に顔を寄せて、ふうっと息を吹きかけてやる。ひゃっ。と、ミンジャが声を上げるも、敢えて無視を決め込む。とはいえ、見られていることに対しては興奮をしているようだ。ややあって、ミンジャの菊座が収斂を始める。  ならば問題はあるまい。  クラストはおもむろに、先程塗り込んだばかりのオイルの匂いが立ち上る蕾に舌を這わせていった。

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