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(四)ジェンガ族の少年ミンジャの経験

 正面に回り込んできた男が、ミンジャに腰を上げさせると、開いた脚の間に指を這わせてくる。間を置かずに指を挿し入れてきた男に あぅ。と、ミンジャは喘ぎ声を上げた。  爪の手入れがきちんとされている男の指は、ミンジャの想像よりもすんなりと蕾の中に納まった。口を絞った蕾に感じる彼のぬくもりが、ミンジャの菊座を疼かせる。痛くはないかい? 男に尋ねられたミンジャはこくりと頷いた。  男性器を挿入してくることのなかったミンジャの父親は、菊座に指を挿入してくることさえなかった。時々、何かを確かめるように触れてくることはあったが、それだけ。もしかすると、ミンジャの身体が成熟するのを待っていたのかも知れない。今になって菊座を他人に調教されるに至ったミンジャはそう思う。  ――あぅ。あ、ああ、うぅ……  ぬちょりぬちょりと蠢く彼の指が、ミンジャの後ろ孔の入り口を刺激している。  硬い蕾を開かせるように出し入れされる指。時折入り口を掻き混わしては、菊座の中を押してくる。入り口はさておき、身体の中に納まっている部分の感覚はあまりなかった。入り口にしてもそうだ。それが気持ち良い感覚なのかは、ミンジャには正直よくわからない。 「あ、あんまり……強く、しないで……ください」  けれども、何かが変わろうとしているのは間違いなかった。  ミンジャの胸の内は複雑だ。見たこともない美味しい料理を与えられてはいるものの、日がな一日暗い地下室に捕われ、思い出したように身体を『調教』されるばかり。砂漠や森を駆け回っていた日々が懐かしい。地平線の向こうから昇る太陽と月。当たり前の景色がこんなにも恋しく感じられるようになるとは、何日か前のミンジャは思いもしなかった。  きっと、自分が故郷に戻ることはもうないのだ。  自分の運命が大きく歪んでしまったことを覚りつつあったミンジャだったが、同時に、重い甕を背負って森まで水を汲みに行ったり、食事の為に獰猛な獣を追いかけ回したりしないで済むようになったことに安心してもいた。  砂漠の民の置かれている環境は過酷だ。冬になれば氷点下の寒さに晒され、夏になれば五十度を超える暑さに晒される。それがどうだ。地下室とはいえ温かい部屋。ついでに食事までついてくる。しかも肉体労働らしきものは、調教の時間だけ。こんなに安心して休める環境はそうない。  ミンジャを調教している男にしてもそうだ。  マスカレードマスクを装着している男の素顔をミンジャは知らないままだったが、マスクの隙間から覗く双眸は穏やかな光を湛えているように映った。それもまたミンジャを安心させた。ミンジャの父親はいつでも息荒くミンジャに迫るばかりだった。だのに目の前の男は攫ったミンジャを手荒く扱ったりはしない。優しくミンジャに語りかけてきては、自然と身体を開かせてゆく。 「大丈夫だよ、ミンジャ。力を抜いて」  ミンジャは不可解な気持ちでいた。日増しに男として大事なものを失っていっているような気分でいるのに、他人よりも一足先に成長したような気分もある。だのに悲しくはない。むしろ誇らしくさえある。  ミンジャは男に調教されることに、一種の優越感を覚えるようになってしまっていたのだ。  身体を作り変えられてゆくのが、気持ち良くて堪らない。今だってそうだ。父親とは叶わなかった肛門性交(アナルセックス)に、ミンジャは密かな期待をしてしまっている。それはミンジャが、父親との行為に感じていたからこその感慨でもあった。 「あ、の、そこ……」  菊座に潜り込んでいる男の指が、しこりのようなものを探り当てる。とんとんとしこりを叩かれたミンジャは、得も言われぬ感覚を味わった。直接的に触れられていないのにも関わらず、性器に伝わってくる刺激。何だかじれったい。ミンジャは腰を捩った。 「気持ちいいかい、ミンジャ」  男に尋ねられたミンジャは、わからない。と、首を振った。 「その割には、ここは随分と興奮しているようだがね」  彼の膝がミンジャの性器を擦ってくる。ひんっ。陰嚢を押されたミンジャは、我知らず口を衝いて出た女のような声に恥ずかしさを覚えた。耳がかあっと熱くなる。けれども彼はミンジャを否定したりはしなかった。ミンジャの声は可愛いね。そう褒められれば悪い気はしない。ミンジャは犬が尻尾を振るように腰を振った。 「気持ち良くなりたいのかな、ミンジャ」  囁くように言葉を継いできた男に、ミンジャはそうです。と、潤んだ眼差しを向けた。もどかしさを感じている性器をどうにかしたい。けれども、菊座の調教中である今、それを直接的に口にするのは憚られる。どうしよう。ミンジャは悩んだ。  勃起した自らの性器が切なげに汁を垂らしている。  しこりを押されることに気持ち良さを感じているのだろうか。それとも菊座の中を掻き回されることに気持ち良さを感じているのだろうか。ミンジャにはわからなかったが、彼との行為に興奮していることだけは間違いなかった。  きっと、彼が毎回必ずミンジャに射精をさせてくれるからなのだろう。  調教と云われてはいるものの、酷いことをされる訳でもない。優しく射精に導かれる時間に、ミンジャはそこはかとない満足感を覚えてしまっている。 「――い……イキたいです……お願いです、イカせて……ください……」  口ではっきりと云われた訳ではなかったが、男はきちんとミンジャが頼めれば射精をさせてくれた。昨日もそうだった。一昨日もそうだった。先一昨日もそうだった。乳首の調教を続ける男に我慢の限界を感じたミンジャは彼に頼み込まずにいられなかった。もうイきたい。イカせて。と。  だからミンジャはねだった。形振り構わず、男に向かって媚態を晒してねだった。 「どこで()きたいのかな、ミンジャ」 「全部、全部、気持ち良くして」 「今日は初めてだから、特別だよ」  耳を舐りながら指を掻き混ぜ始めた彼が、膝でミンジャの性器を擦ってくる。  気持ちいい。  ミンジャはあぅあぅと鳴き声に近い声を発しながら腰を振った。腰を突き出す度に、菊座に嵌まり込んだ指が更に奥に挿入(はい)り込んでくる。ぐりぐりとしこりを押してくる彼の指。それが自らの菊座の動きによって引き起こされている現象であることを、ミンジャは理解し始めていた。 「こんなに腰を振って。ミンジャは本当にいやらしい子だね。どこを触っても気持ち良くなってしまうのだろう。そういう子が私は大好きだよ」  羞恥を煽る男の言葉に反応して、菊座がじくじくと疼き出す。  すっかりほぐれた蕾の中で、ぬるぬると男の指が動き回っている。その都度感じるじれったさが気持ち良さでもあるのだと、ミンジャはようやく理解出来たような気になった。 「あぅ、ああ、う。俺、いっちゃう。ああ、あ。いい、気持ち、いい。イク。もう、いっちゃう……!」  押し寄せてくる快感に、ミンジャの下半身がぶるぶると震え出す。それでも腰を振ることを止められない。わけがわからなくなったミンジャは、譫言のようにイクイクと繰り返した。  直後、快感が一直線に急上昇する。  ぷしゅと亀頭の先から吹き出てくる白い液体。男の履いているスラックスに染みを作った精液に、ご、ごめんなさい。ミンジャは快感の余裕に浸る間もなく、謝罪の言葉を口にした。 「いいんだよ、ミンジャ。私がしたことでもあるからね」  罪悪感に苛まれるミンジャの髪を、男がやんわりと撫でてくる。けれど――と、言葉を継いだ彼に、少しだけミンジャの鼓動が跳ねあがった。  一度の射精で済ませてくれる男ではないのだ。  動揺するミンジャの目の前で、男がおもむろに立ち上がる。菊座より抜き取られた指にミンジャは安堵をするも、視線の先には盛り上がった股間が置かれている。嗚呼。ミンジャはついにきた瞬間に、どう振舞えばいいのかわからなくなった。彼が何を求めているかは、中途半端に父親と戯れていたミンジャにはわかっている。 「相応の罰は与えないとならないね。今日は奉仕を覚えようか、ミンジャ」  スラックスのホックをはずした男が、ミンジャの性器よりもずっと立派なペニスをミンジャの口元に突き出してくる。  ミンジャは、頷いた。

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