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1章4

4  目覚めるとくすんだ灰色の天井が見えた。 「いっそ、夢だったらいいのに」 “望月の日常“である生活の空間を見ながらそうひとりごちる。  あの嵐の晩――。  次に目覚めたとき、望月は、郁の暮らす市街地の廃墟に連れてこられた。  望月が癇癪を起そうが、あの狼は、「もうお前に帰る場所はないだろう」の一辺倒だ。  そして、自分の手元に望月を置いた。 「あれ、プティ・アネモネ……?」  望月は、気がついた。  あの白い箱のような空間も、プティ・アネモネと名乗る少女も消えていた。 「消えた……あれは、夢だった……?」  そのとき、頭に鈍痛がした。  あの出来事以来、望月は、慢性的な頭痛に悩まされるようになった。  望月は、ベッドの上で蹲った。  そのとき、扉が開き――家主が帰ってきた。  郁だ。 「また、いつもの頭痛か」  興味なさそうにそう言い、錠剤のシートを投げて渡す。 「……いらない。僕はお前の施しなんて受けな……ぐうっ」  郁が、距離を詰め、望月のなだらかな頬を掴んだ。 「何のためにお前を生かしたと思う? 俺に歯向かうことと労力をかけさせることは許さない」  そう言い捨てると、手を離す。 「……お前は、僕の故郷を滅ぼした仇だ。お前の物になんてならない」  郁が、皮肉そうに顔を歪める。 「ああ。俺がお前の故郷を滅ぼした。好きなだけ恨めばいい。だが、お前が俺の所有物だという事実は変わらない」 (いつか、絶対に、郁を殺す――仲間の仇をうつために!)  望月は、郁への憎しみを再確認した。  そして、ふたりは、互いに引かず、それぞれの目を見た。  アレキサンドライトと赤の瞳が、睨みあう。

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