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2章-1※成人向け描写あり
望月は、ただ、郁の美貌を眺めていた。
郁は、いたたまれないように、顔を逸らす。
月明かりに美しいかんばせが浮かびあがっていた。
郁は、努めて、表情を動かさない。
しかし、アレキサンドライトの瞳に怖じがあるのが見える。
普段は青白い頬がうっすらと紅潮している……。
(なんというか……)
やはり、この狼は、いっとう、綺麗だ。
その造形美にうっとりとしてしまう。
だが同時に――。
(壊したい……? この衝動はなんだろう……)
そんな欲望が頭をもたげ、望月は困惑した。
(でも、僕は、こいつに憎しみを抱いている。この感情は正当なものだ)
息は荒くなるばかりで熟考する余裕すらない。
望月は、短絡的にそう結論づけた。
「初めて、か?」
郁が、表情ひとつ動かすことなく問うた。
「あうぅ……」
具体的に何を指しているのか分からない。
望月は、ふーっ……ふーっ……と野性の獣のような呼吸をする。
そっと郁の冷たい手が頬を撫ぜた。
今は、嫌悪の念よりもその手の冷たさがひどく心地良くて、望月は目を細めた。
「……俺がするから……嫌なら目を瞑ってればいい……」
「……見てる」
半ば、意固地になっていたのかもしれない。
即答していた。
郁が、その返答に固まる。
「……そう」
ややあって返ってきたのは、いつもと同じすげない返答だった。
「……前、脱がすから」
ぎこちなく、郁が、手を伸ばす。
そして、ズボンと下着もろともくつろげた。
「やっ……!」
「…………っ……!」
膨張した陰茎が、肉感的にしなりながら、露わになる。
血管が浮き出るほどに膨張しており、先端から蜜汁を粗相していた。
それに蒸れた淫臭がする。
「……フェロモン臭がきつい……俺までおかしくなってしまう……」
郁が、ぽつりとひとりごちた。
「さっさと終わらせるぞ……んっ、んっ……」
郁が、手のひらで竿肌を掴む。
だが、白く華奢な手に、望月のそれは収まりきらなかった。
それが、郁の手の中で熱く脈打っているのが分かる。
「はぁうっ……あっ……だめぇ……っ!」
望月は、腰をぴく、と反応させた。
「すまない。痛かったか? 少し加減して――」
「なんか……っ、腰、ピクピクする……おちんちん、変だよぉ……っ、んんぅー……っ!」
郁は、望月の身体を抱き寄せた。
「今だけ我慢して。ほら、大丈夫だから」
そう言って、郁が握りこんだ竿肌をゆっくりと上下に摩擦し始めた。
「んんっ、くぅううううんっ!」
はちきれんばかりに膨らんだ竿肌を擦られるだけでもたまらないのに、自ら粗相したものが糸を引き、淫らな音をたてる。
何より、敏感なその箇所を愛撫されると頭が真っ白になるような強い快感がある。
「……望月、嫌だったら嫌って言って。そうしたら途中でやめるから……」
抱き寄せた腕越しに、身体の痙攣が伝わるのだろう。
郁が、声量を抑えて囁いてくる。
間近に例の甘い香りがする。
「が、がまん、できないよぅ……」
「……そう」
郁が、とろとろと溢れてくる蜜汁を手に広げると、手の動きを少し早めた。
「……これは、痛くない?」
「ん、だいじょうぶ……なんか、きもちい? んっ、くっ……ふぁ……」
今や、それは硬く張りつめ、物欲しげによだれを垂らしている。
手で擦られる度に、粗相をするのだ。
「はぁ……郁の手で擦られるとっ、ぬぢゅぬぢゅって音して……っ」
淫らがましい水音。
手での直接的な刺激に、望月ははふはふと吐息をこぼす。
あまりにも強い快感にきゅっと目を瞑る。
すると、郁が手を止めた。
「ふ、え? きもちい、のにぃ……?」
望月は、戸惑った。
何かが高まるような感覚があったのに、それを取りあげられることが耐えられなかったからだ。
「その、勃っただろう……だから……」
郁は望月にベッドに座るように促すと、大きく開脚をさせた。
足の間に郁が潜り込む。
すると、雄芯が丸見えだ。
郁が、驚いたようにそこを凝視し、頬を赤らめた。
ふいと視線を逸らす。
「……見すぎ」
知らず知らずのうちに、郁のことを眺めていたらしい。
「……ごめん」
いたたまれずに素直にそう謝る。
「こっちの方が刺激は弱いはずだから……ん……ちゅっ……」
郁の口唇が肉の穂先に触れた。
切っ先に口づけをしたのだ。
「んっ、んっ、んぅううううう~~……っ!」
やわらかい感触が、何度も敏感な亀頭を掠める。
そそりたったものに何度も何度も丁寧にキスをされる。
「舐める、から……ん、あ……っ」
郁がそう言い、ぱかりと口を開く。
赤い口腔の粘膜に、くねる桃色の舌。それに白い真珠のような歯。
ねと、と唾液が糸を引く。
整然とした美貌が、ひどく無防備な恰好を晒している。
(なんか、ドキドキする……これから、何されるんだろ……)
「んっ……はぁ……っ」
ぴちゃ、と濡れた音をたてて、薄い舌がゆっくりと亀頭の丸みに沿って這う。
「ん、やぁ……っ、これ、にゅるにゅるってして……あ、うぅっ……」
唾液をたっぷりとまとった舌が、性感帯を見つけようとくねる。
くぱくぱと開閉を繰り返す鈴口や、包皮の境目、裏筋……と敏感な箇所ばかり舌で責めたてられる。
「ん……ふっ……ぅ……くぅ……んっ……」
郁は、伏し目がちに、舌での奉仕を続けている。
垂れてくる蜜液を丹念に舌で清めていく。
れろ、と竿肌を煽情的に舐めあげる。
「ああうっ、あぁ、あんっ!」
巧みな舌遣いに、望月は、懊悩する。
(これ……熱くて……溶けちゃいそ……)
「こっちの方がマシだと思ったのだけど、つらいか……?」
おずおずと郁が確認してくる。
唇が、唾液で艶やかに光っているが、頓着しない。
「き……きもちい……」
「……それならいい……んっ……あむ……」
郁が、口唇で啄むように、亀頭を挟む。
そして、ちゅうちゅうとそこに甘く吸いついた。
「やぁああああ、んっ、それ、だめえ……っ、腰、ビクッてするぅ……」
「……あと少しだから、我慢して……んっ……ふあ……っ」
何を思ったのか、郁の口唇がずるずると竿肌を呑みこんでいく。
熱く濡れそぼった口腔の粘膜に敏感な竿肌が埋もれるのだ。
「ああっ、あぁあああああんっ! だめっ、だめっ、あつい、あついぃーっ……!」
郁は望月の言葉を無視して、ただ、口腔に質量を収めていく。
(ぬるぬるして……あっつい……これ……舌が絡みついて……っ)
郁の薄い頬はすぐに膨らんでしまう。
もごもごと口を動かして(牙が当たらないように注意して)喉の粘膜で、そそりたったものを扱きあげていく。
「ん……っう……ふ……あ……っ、ん……ちゅ……っ……ちゅっ……ちゅっ……!」
頭蓋を前後に振りながら、口腔全体でそこを擦りあげる。
喉奥のどん詰まり……やわらかいところに先端がはまってしまう。
呼吸を阻害されて苦しいのか、郁が柳眉を潜める。
だが、それだけだった。
あとは、ただ、口淫に耽っている。
「むぅ……っ……ん、ん……っ……はぁっ……ちゅっ……ちゅむっ……ちゅく……っ」
窄めた唇でくびれに吸いつかれ、やわらかな舌が肉の穂先をくすぐる。
「だめ、だめぇ……っ」
望月は、しゃくりあげながら、そう懇願し、やわらかな黒の癖毛に爪をたてた。
ぎゅっと郁の頭蓋をたぐりよせる。
「むぅううううううううううっ!?」
すると、いっそう、喉の奥まで切っ先が突く形になる。
喉のやわらかな粘膜に穂先が擦れて、望月は快楽に呻いた。
「あぁ、あぁんっ、熱いっ、熱いよおっ、なにか、出るっ、出ちゃうっ!」
「んふー……っ、む、ぐっ、むぅっ、んむう!」
郁が驚いたようにくぐもった声をあげる。
瞬間――。
「あっ、あぁっ、あぁああっ!? なんか、びゅっびゅって、出てっ、うそ、なにこれっ!?」
熱い迸りを喉奥に叩きつけていた。
望月に、頭蓋をホールドされている以上、郁に逃げ場はない。
郁は、無言で白濁液を飲み下した。
(これ……フェロモン臭が強い……俺まで、あてられて……っ)
望月は、吐精の余韻で荒い呼吸をしていた。
郁は、すげない仕草で、望月の身体を押した。
「はっ、はぁ……退いてっ……性欲処理は、終わった、か、ら……んっ、ん!?」
郁が離れようとしたので、望月は本能的にその身体を掴んだ。
例の甘い匂いが強くなっている。
段々と理性が削がれていく。
「望月……っ」
郁が、いつものように望月をねめつけている。
しかし、宝石のようなその瞳が艶めかしく濡れていることに気がついてしまった。
薄手のシャツの下……肌はやわらかいのだろうか。
触れたら、どんな反応をするのか。
望月の頭の中では、郁が、嬌態を見せている様子が無意識に再生されていた。
はふ、とひとつ息をつく。
「ねえ、抱かせてよ」
その言葉に郁の肩が跳ねた。
「お前が、僕の故郷を滅ぼしたんだから、僕がそれくらいのことをしてもいいよね」
熱に浮かされながら、それっぽいことを口にしてみる。
激昂した郁に殺されるかもしれないと思いながら。
なぜか、郁はとても傷ついた顔をした。
「……分かった」
……それだけだった。
震えながら、郁がシャツを脱いでいく。
露わになる白磁のような肌。
華奢ながらもうっすらと筋肉のついた姿態。
魅力的な身体を前にしてもう抑えがきかなかった。
ぐっと郁の手を牽引する。
「ん、ぐっ!」
シャツをむしるように剥ぎ取り、スラックスを下着もろとも脱がす。
しなやかな足が露わになる。
郁は恥辱に唇を震わせていたが、一切、抵抗しなかった。
薄い胸板にぺたんこのお腹、細いウエスト。
申し訳ない程度の陰毛に、桃色の小ぶりな雄茎。
(おいしそうな身体……)
無意識に望月は、舌なめずりをしていた。
郁の細い頸に鼻を埋め、くんくんと匂いを嗅ぐ。
あの甘ったるい匂いが頸から強く香っている。
「ここって舐めたら甘いのかな……」
ぺろ、と舌で、首筋を舐める。
すると、舌が痺れそうなくらい甘い砂糖菓子の味がした。
「んくっ、ふぅ……んっ、そこ、舐める、なっ……」
「ん……っ、すごい甘い……いい匂い……僕、これ、すきぃ……」
魅惑的な匂いと甘みに誘われて、何度も、何度も執拗にそこを舐める。
たまゆら、脳裏にある欲望が過る。
――噛んだら、その肉は、甘いのだろうか?
望月は、衝動のままに、口を開き、その頸を噛もうとした。
とっさに、郁が、頸を手で覆う。
「頸は、だめだって言った……」
「やだ、甘いの、ほしい」
「……番に、なりたくない……俺は……お前を縛る気もない……だから、やめて……」
郁が弱々しくそう告げる。
不承不承でその言葉を受け入れる。
でも、あの蕩けるような甘味が忘れられず、舌で、頸を舐めた。
「んんうー……っ」
アレキサンドライトの瞳に涙が浮かぶ。
(なんだろ……これ……相手は、郁なのに……なんか、こうふん、する……)
ふと、胸元に目がいった。
ぽってりとしたピンク色の突起。
あえかな曲線を描く胸元に、ぷっくりとした肉芽がいやに卑猥だ。
望月は、舌を伸ばしてちろちろとそこを舐めた。
「ん、やっ……あ、ふぁっ……あぁ、んっ……そこっ、そこはっ……ん、くぅっ」
途端、郁の声が甘さを帯びる。
いつも、冷めた顔をしている彼らしくない。
顔を真っ赤にして、必死に性感を堪えるような表情をしていた。
気まぐれにそこを噛んでみた。
「ひ、あぁああああっ!?」
郁の華奢な顎がかくん、と仰け反った。
「もしかして、ここ弱いの?」
「そ、そんなことないっ、ん、はっ」
「じゃあ、触られても問題ないでしょ?」
郁は、赤い顔を背けて、無視した。
ぷっくりとした乳首を摘まむ――すると、郁がびくっとした。
「も、望月……っ、ん、ふぁ……あぁ……あぁう……っ!」
そこを指の先でこりこりと弄ると、郁がぞくぞくと何かを我慢しているような顔をした。
「……ここ、硬くなってる……」
「え、あ?」
ひっそりと桃色の雄茎が頭をもたげていた。
小ぶりなそこが、ピクピクと愛らしく自己主張をしていた。
「さ、触らなくて、いいっ、ん、うっ、うぅうううううっ!?」
先ほどの郁の奉仕を思い出しながら、手でそこをこねくりまわす。
どうやら彼の性感帯らしい乳首をつついた。
「やめ、か、感じたくないっ、感じたくないからっ!」
郁がかぶりを振り乱して、こちらのことを拒絶する。
見れば、美貌をぐずぐずにして、あの甘い淫臭をまき散らしていた。
今や、乳首は乳輪からふくりと勃ちあがり、ぽたぽたと蜜汁を漏らしている始末。
白い裸身は淡い色に染まっており、びっしょりと汗をかいていた。
(エロ……誘ってるみたい)
ふと、下半身に視線を落とすと、再び、そこが兆していた。
望月は、本能のままに後孔に、ぐいぐいと肉の穂先を押しつけた。
郁の美貌が、怖じたように強張る。
それから、彼は震える声で待って、と言った。
「そこ、慣らさないと挿入らないから……すぐ、するから……」
この狼は、矜持が高い。
今現在のシチュエーションは、とても耐えがたいだろう。
ぽつりとそう言うと羞恥からか、唇を噛んだ。
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