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3章
3章
「――また、この場所に戻ってきたなんて……」
望月が、呟く。
だが、隣の郁は何も返事をしなかった。
太古の森。
この箱庭にある世界樹が広々と伸び、豊かな森を形成した。
多くの亜人種たちがコロニーを形成し、息を潜めている。
「行くぞ」
郁は、望月の感傷を無視して、さっさと歩いてしまう。
「あ、うん」
あ、と望月は思い至る。
(そっか、僕にはもう帰る場所がないんだ)
そんなことを思って、胸が微かに痛む。
(そして、この狼の物になって――)
はあ、と郁がため息をついた。
「余計なことは考えるな」
まるで、望月の内心を見透かしたような物言いだった。
つい、反発から郁をねめつける。
「……さっさと用事をすませたい」
再び、郁は、ひとりで歩き出してしまった。
望月は、地団駄を踏みたい気持ちを我慢して、郁の後をついていく。
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