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4章-2※成人向け描写あり
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郁の華奢な手を牽引する。
もう郁は抗わなかった。
ただ、目元を淡い色に染めて――恥じらって目を伏せている。
……いつものとおり、キスはしなかった。
「いい匂い……食べちゃいたい……」
甘ったるいショートケーキの匂いを垂れ流す白い頸に鼻を埋める。
「んっ」
こそばゆいのか郁が微かに身じろぎをする。
彼の匂いを嗅ぐとまるで、酩酊でもしているように頭がくらくらしてしまう。
熱に浮かされたまま、シャツに手をかけていく。
露わになる白い柔肌。
「やだっ……ここ明かりついて……全部、見られてっ……」
店の中だから、仕方がないというのに、郁は駄々をこねた。
「うん。郁のこと、全部、見てる」
「見るなっ、見ないでっ」
望月の視線に性的なニュアンスを感じたのだろう。
郁が、裸身を腕で隠そうとする。
そんなことをしても、望月の目は美しい身体を観察しているし、いっそう、含羞の仕草すら愛らしいというのに。
この狼は、そんな俗っぽいオスの感情を知らないようだ。
「でも、郁だって期待してるよねぇ?」
ぽそ、と耳に囁きをひとつ落とす。
「え、何……そんなの、するわけ、」
望月は、くすっと喉を鳴らした。
身体を重ねているうちに、性的な場面においては郁を翻弄する手段を覚えてしまった。
「……だって、ここ、触ってないのにツンってしてるよ?」
つう、と乳輪の縁をなぞる。
それだけで郁は、ビクビクと身体を震わせる。
……感じやすい身体なのだ。
「そ、そんなの……ちが、う……俺、そんな、はしたなくないぃ……」
郁がかぶりを振る。
さらさらと澄んだ音をたてて、黒の癖毛がこぼれおちていく。
「ふっ……んぅ……っ……く……ふっ……」
乳輪に沿って指を這わせる。
それだけの愛撫で郁は密やかな吐息を洩らす。
既に、乳頭はふっくらと勃起していた。
そこを指の先でカリカリと引っ掻く。
「ふ……にゃあ……っ……それ……やだぁ……っ!」
郁の目がとろんとする。
まるで、もっととねだられているようで、咥内に溜まった唾液を嚥下する。
「んっ、んっ、んうー……っ、やだって言ってるのに……っ、かりかり、いやだからあっ!」
指先で胸の突起を弾くようにしていると、郁が、むずがるように身体を揺らす。
だが、伝わってくるのは、硬い肉粒の弾力だけだ。
「いやなら、どうしてこんなにいやらしく勃起させてるの?」
きゅっと乳首を摘まむ。
「ひぁあああああああああああああああ……んっ!」
その箇所を摘ままれた途端、郁が、大きく背を反らす。
そして、細いウエストががくっとした。
「ここ……指でシコシコってしてあげる……」
わざと淫らな宣言をすると、郁が横にかぶりを振る。
「んっ、んっ、んんんっ!」
なけなしの意思表示らしい。
だが、そんないじらしい態度をされると――かえって、虐めたくなってしまう。
望月の背が興奮にぞくぞくした。
摘まんだままの乳首をゆっくりと扱いていく。
「あっ、はぅんっ、あう、あぁっ、あ、ぁんっ!」
途端、郁の口から甘ったるい嬌声が迸る。
「ふふっ、気持ち良さそー……郁の顔、とろーってしちゃってる……」
「そ、そんなことないぃ……ひぁうぅうううううっ!?」
今度は指の動きを速めると郁が快感に懊悩する。
望月に身体を弄ばれながら、ふぅふぅと呼気を乱していた。
(もっと、感じさせたい……)
「え、あ……? も、望……?」
くにゅくにゅと指で揉みこむように、敏感な突起を扱きあげる。
「んうー……っ、あ、はぁっ、あぁ、んっ、あ、んっ、なんでっ、んぐっ、これ、やだっ、やだってば……んにゃっ、あぁああああああっ!」
目に見えて、郁がいやらしく乱れている。
白い姿態はかわいらしいピンク色に染まり、全身が発汗していた。
「だめでしょー? 郁? 今は、就業中なんだから、えっちな声出しちゃ……」
「く……ふぅ……んっ、はぁ……っ、だれのせいで……こんな……そもそも、俺、したいなんて言ってない……っ!」
郁が、きっと望月をねめつけてきた。
しかし、アレキサンドライトの瞳は、うっすらと涙の膜が張っており――。
かえって、艶めかしい印象しか与えないのだった。
「郁の癖に生意気」
そういって、ぎゅっと指で思いっきり、乳首を圧迫してやった。
お仕置きのつもりだった。
「ひゃんっ!」
郁の甘ったるい悲鳴が貸本屋に響く。
(俺、こんな……恥ずかしいの、望んでない……こんなところ、望月に見せたいわけじゃあ……誰にも見せたくない……っ)
郁が、カウンターに顔を伏せて、震えている。
うなじが真っ赤だ。
「また、難しいこと考えてるでしょ」
そう指摘すると、郁の華奢な肩がビクッと跳ねた。
どうやら、図星らしい。
「僕に気持ちいいことを教えてくれたのは、郁だよ? 気持ちいいの、愉しいでしょ? ね、郁も愉しんで?」
難解な本を読んだり、望月には理解できないことを知っている郁だが、俗っぽいことに関しては、自ら律しているように見受けられるし、触れたくないような節がある。
そんな郁が本能のままに快楽を貪っているところを見たくて、そんな誘惑をしてみる。
「これ、その手のおもちゃ でしょ。使ってみようよ」
「んえ?」
郁がのろのろと視線をあげると――なぜか、望月の手にピンク色の卵型のプラスチックの機械と女性の膣を模した醜悪な性具が握られていた。
「どうして、そんなものを持って……」
「え? カウンターに置いてあったよ?」
まるで、魔法みたいなタイミングだ。
魔法、という言葉を頭の中で反芻して郁は理解した。
(あの女の仕業か……昨日、来店した際に土産がどうこうって言ってたのを無視したら、こんなの……)
「ほんっとう、さいあく」
あの性悪な魔女の悪趣味な思惑に吐き気がする。
郁は、毒づいた。
「わ、このおもちゃ、ぶるぶるって動くよ……?」
望月が、ピンク色の性具――いわゆる、ローターのスイッチを入れて、驚いたような声をあげた。
見た目こそ小ぶりだが、ぶぶ、という凶悪なモーターの音が、郁の恐怖を煽る。
「これ、きっと気持ちいいと思うよ、だから怖がらないで、ね?」
望月の小さな手が、郁の癖毛をやさしく撫でた。
「……う、うん……」
つい、郁はほだされてしまう。
望月の横暴を恨めしく思いつつも、愛らしい童顔を見ているとつい、行為に甘んじてしまうのが彼の常だった。
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