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5章【真相】-4 追憶のアネモネ編

 その晩、潮が約束通り、下女に晩御飯を持ってこさせた。  グラタンとたまねぎのスープだった。  郁ともえぎはグラタンのホワイトソースの濃厚なまろやかさに、驚いた後、顔を見合わせて笑いあった。  久しく会えなかった分、会話が弾んだ。  とりとめのないことを話して――夜はもえぎに絵本を読んでやって、眠りについた。  翌日も、その翌日も――ずっと、屋敷から食事とおやつが届けられた。  郁は、潮に感謝した。  食べ物に困窮しないだけではなく、もえぎと一緒にいる時間が増えた。  もえぎが嬉しそうにしている時間が増えた。  ふたりで洗濯物を干したり、シャボン玉を吹いて遊ぶ。  スケッチブックに、一緒に絵を描いた。  そんな生まれて初めての穏やかな家族の日常が続いていた――。  亡霊となった望月は、ひっそりと兄妹の日常を見て、笑みをこぼした。

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