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5章【終焉】-2 散華編
郁は地面に仰臥したままだった。
破壊の焔と瞬く星空。
コロニーは滅びゆくのに、森はいやに静かだった。
――その言葉が聞けて、私、幸せだった……。
――でも、もう遅いんだよ……。
ふと、耳にもえぎの儚い声が過る。
破壊衝動のままに、暴徒と化した亜人種の辿る道はひとつ――。
同族による討伐だ。
郁は、勢いよく起き上がった。
「おれはもえぎのおにいちゃんなんだから……絶対に、もえぎを殺させはしない……」
悲しげなもえぎの声に胸が痛くなる。
「さっきは、間に合わなかったけど、今度こそ、君のことを助けるから……!」
「それに――きっと俺が名前を呼んだら、いつものようにおにいちゃんってもえぎは呼んでくれる……」
「いつもみたいに髪を撫でたら、また元のもえぎの姿に戻るかもしれない……!」
郁は希望的観測を述べた。
いつだって、物語の相場はハッピーエンドだと決まっているのだった。
ヘンゼルとグレーテルも、サンドリヨンも、白雪ひめも、もえぎが読んでいた絵本のラストは決まって、ハッピーエンドだった。
「もえぎ、待ってて……今、行くから……絶対に救うから――そして、ふたりで外の世界に出よう……!」
ドクドクと騒ぐ心臓を鎮めるようにそう誓うと、郁はコロニーに向かって駆けだした。
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