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5章【終焉】-3 散華編

3 「なに、これ……」  コロニーの光景を目の当たりにして、郁は絶句した。  倒壊した家屋。  炎の渦が、コロニーを包んでいる。  こどもたちが駆けていた広場、大人たちが楽しげに談笑していた広場は、廃墟然としていた。  郁は、衣服の袖で鼻と口を塞いだ。  ぱちぱちと煙の爆ぜる音――焦げの匂いに混じって異臭が漂ってきた。 (この、匂い……濃厚な血の……)  郁が後ずさったところで、なにかが靴が何かを踏みつけていた。  ふと、視線を落とすと――コロニーの住人が地面に転がっていた。  郁の足は太い腕を踏みつけていた。  だが、その腕は、四肢はぐんにゃりと奇妙にねじ曲がっている。  苦悶の表情を浮かべたまま、絶命していた。 (これ……死体……) 「う、ぐッ――」  臓腑がもんどりうち、郁はその場にびちゃびちゃと吐しゃ物をまき散らしていた。  その住人の顔は知っていた。  郁のことを邪険に扱った大人のひとりであった。  しかし、このような凄惨な死を目の前で遂げるとは思っていなかった。 「はっ、はっ、はぁ……!」  郁は全身を汗に濡らし、浅く荒い呼吸を繰り返す。  気づけば、周りに、無数の同胞の死体が転がっている。  また、喉がぐうっと変な音をたてたが、すんでのところで堪えた。 「も、えぎ……」  妹の名を口にする。  上手く言葉にできない感情が、胸中にこみあげる。  この破壊は、暴徒化によるものだけではない気がしたからだ。  生まれたときから、もえぎは子産みの道具として生かされていた。  長い期間コロニーに囚われていた。  もえぎの怨嗟――それほどに彼女の絶望は深かったのだろう。 (でも、今はもえぎを元に戻すことが先決だ……)

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