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幕間 ひとりぼっちの狼と望月の出会い①
――別日のこと。
あの日のことは忘れられなかったが、頭から排他しようと努めていた。
郁が、墓参りを終え、名残り惜しそうにしていると――。
「わー、すごい!」
少女のはしゃぎ声がした。
例の紅蓮の少女であった。
(また会ってしまった……)
郁は、肩を落として、あわてて、木の陰に隠れた。
すると、ふよふよとシャボン玉が、漂ってきて、パチンと目の前で弾けた。
「えへへ、きれいでしょ。これ、シャボン玉って言ってね。石鹸水とストローでこうやってふうって吹くと……」
例の鈍感うさぎが、ストローに口を運び、ふうっと息を吹き込んだ。
すると、きれいなシャボン玉が、いくつもこちらにふよふよと運ばれてくる。
うさぎの言うとおり、シャボン玉は、きれいだった。
アネモネの花畑を映しながら、七色に輝いている。
――おにいちゃん、シャボン玉で遊びたいの
よくもえぎもそう言って、郁とシャボン玉で遊ぶことをせがんだ。
性格は、まるで似ていないけれど、妹と顔だけのみならず、嗜好が似ていることに、苦い感情がこみあげた。
そして、夢から覚めるようにぱちん、と目の前からシャボン玉が弾けた。
「アネモネもやってごらん?」
得意げな顔のうさぎを見て、現実に引き戻される。
あいつは、もえぎじゃない。
ふたりの楽しげなはしゃぎ声に、背を向けながら、郁はそう断じた。
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