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幕間 ひとりぼっちの狼と望月の出会い①
しかし、運命というのは、皮肉なものである。
郁が墓参りにいく度に、例の二人組に遭遇し、なぜか、その度に郁は身を隠すはめになり、毎回、もどかしいやりとりを見てしまった。
赤い少女の名前は、アネモネ。
白うさぎの名前は、望月。
さらに、アネモネが、おしゃべりだから、望月の趣味嗜好を一通り、覚えてしまった。
アネモネは、望月に恋をしているようだが、望月はまったく気づいていないのも最悪だ。
(うん。やっぱり、コイツはもえぎじゃない)
郁は、聞こえてくる会話を聞きながら、何度目か分からない結論に、至る。
しかし、楽しそうな笑い声につい耳を澄ませてしまう。
(もしも、俺が狼じゃなくて……きれいだったら、あの中に入れたのかな)
たまにそんな夢想をしてしまう。
少なくとも、郁が間に入ったら、アネモネの恋愛問題は解決するはずだ。
「この女は、お前に恋をしているのに、気づいていないのか?」
郁だったら、率直にそう言うだろう。
ふと、口元が緩んでいることに気がついて、自身を律した。
「だが、もえぎを殺した俺にそんな資格はない、」
狼の尻尾が、だらん、と下がる。
アレキサンドライトの瞳は過去を見ていた。
(でも、願うならば――こいつらにはこのまま、平穏に、何事もなく……いて欲しい……気はする……)と心の中では正直にそう思ったりもする。
「帰ろう」
これでは、もえぎの墓参りに来ているのか、望月たちを観察しているのか分からない。
いや、たまたま、ヒトが墓参りをしているところに、あいつらが闖入してくるのが悪い。
郁はそう棚上げし、帰ることにした。
(きっと、俺は明日もここに来るのだろう。昨日も、来ないって決めたのに……)
はあ、とこれ見よがしに盛大なため息をついた。
そんな幸福な時間が永遠に続くのだと郁はこのときは、まだ信じていた。
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