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幕間 ひとりぼっちの狼と望月の出会い②

 そして、郁は、コロニーを駆けた。  何か――この『状況』をつくった元凶がいるはずなのだ。  そして、コロニーの中心部で、郁は物語の顛末を知ることになる。  紅蓮の髪の少女――アネモネが、見た目にそぐわない怪力で、幼い亜人種を締めあげ――ぐしゃっと潰れる嫌な音がした。 「おいっ!」  郁は、迷わず、少女の肩を掴んだ。  しかし、少女の瞳は焦点があっていない。  郁は、そのまま、少女を泥濘に突き落とした。  ぼーっとした焦点のあわない瞳が無感情に郁を見上げた。 「どうして、お前はこんな真似をする……お前は、お前は……望月の大切な友達だっただろう!?」  望月、という名前に少女の紅蓮の瞳に僅かな光が差す。 「も、ちづき……う、ぐッ」  少女が頭を抱えて、のたうつ。 「もう、いやあ……歌、やめてっ、その歌やだあ……わたしを見て、笑わないで、いやっ、いやあああぁああ!」  少女が泥濘の中で、激しく苦しみだした。  錯乱状態に陥っているようだ。 「お前には望月がいるだろう! 大切なものを失ったらだめだ! しっかりしろ!」  郁は、少女を叱咤した。  郁の怒りを無感情に見ていた少女だが――。  その紅蓮の瞳に、いつもの光が戻った。 「あ、なた……だれ……」 「誰でもない。望月とここは俺がどうにかするから。だから、もう行け」 「……もちを助けてくれる、の?」 「ああ、約束する」 「そっかぁ……」  少女がふにゃっとした笑みを浮かべ、そのまま、郁を見ずにのろのろとどこかに行ってしまった。 「ただ、ひとつだけ。お前が望月に手を出すのなら、そのときは俺がお前を殺す」  郁の言葉が、聞こえているのか、聞こえていないのか。  アネモネはそのまま、姿を消してしまった。

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