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幕間 ひとりぼっちの狼と望月の出会い②
(次は望月を見つけないと)
郁は、望月を探そうと強く歩みを進めた。
望月が、いるとしたら、あそこだろう。
アネモネの花畑。
そこしか浮かばなかった。
だが、行き違いになったのか、望月の姿はどこにもなかった。
「どこに行ったんだ?」
あのときは、廃屋を探した。
家族で行った小川も。
もえぎがいそうな場所、全部。
それでも、間に合わなかった。
郁は、ぱん、と自身の頬を打擲した。
じんじんと頬が痺れる。
だが、痛みにも、このとき全身を濡らす雨風の冷たさにも頓着しない。
「今度は、必ず、見つけてみせる……」
郁は、泥を跳ね上げながら、駆けていった。
雨風が、体温を奪い、消耗していくのが分かった。
依然として望月がどこにいるのかは不明だ。
郁は、途方に暮れて、森を出ようとした。
そのときだ。
(この臭い……)
炎の焦げ臭さに乗じて――。
鼻が先ほどまでは感じなかった『異物』の臭いを捉えた。
弱いコロニーが滅びたと知れれば、強い眷属の亜人種たちが、死肉を求めてむらがってくる可能性をなぜ、失念していたのだろう。
郁は、急いでコロニーに戻った。
心臓がうるさいほどに鳴っている。
なぜなら、『異物』の匂いに混ざって、花の匂いがしたからだ。
望月の、匂い。
(もしも、望月が強い眷属の亜人種と一緒にいるのだとしたら、)
ごくりと唾を呑む。
最悪の展開を想像したが、まだ、望月の匂いは絶えていない。
それどころか、近づくごとに強く香っている。
まだ、彼は生きている。
『今度こそ』間に合うはずだ、と郁は自分に言い聞かせた。
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