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アフターストーリー※成人向け描写あり
いつもの寝室。
ふたりで眠っていた少し窮屈なベッドに、薄ぼけた天井。
望月は、大切なものを扱うように、郁をそこに横たえた。
「も、ち……」
潤んだアレキサンドライトの瞳が、望月を上目遣いに見る。
期待に満ちているような。
怖じているような。
そんな視線だった。
「……キス、してもいい?」
望月の確認に、郁がビクッとした。
それから、「……うん」とこどものような口吻で、認めた。
部屋にはショートケーキと花の匂いが混ざり合い、噎せかえるほどに甘ったるかった。
「郁、かわいい」
そっと郁の頬を撫でた後、唇を重ねる。
「ん……ふっ……あ……んっ……んんっ!」
口唇を甘く啄まれて、郁の呼気が甘く弾む。
望月がちろ、と口唇を舐めるといつもの甘い――郁の味がした。
……最近、キスはするようになった。
思えば、何回も身体を重ねたというのに、キスをしたのは『あの日』が初めてだった。
あられもなく、泣きじゃくる郁を落ち着かせたくてした衝動的なキス。
初めてのキスは、血の味がした。
でも、今のキスはひどく甘い。
酩酊するようなその味と香りに、段々と身体が熱くなるのが分かった。
夢中になって、キスに没頭する。
「ん……は、ふ……っ、ふっ……ふちゅ……ちゅっ……」
郁が長い睫毛を伏せて、キスを受け入れている。
シーツをぎゅっと握った。
明らかに身体は反応している。
だが、郁は未だにキスに抵抗を示す。
それは、罪悪感があるからだろう。
「ごめん、がまん、できない……」
郁の服を脱がしながら、狭い口腔に舌をねじ入れる。
彼の鼓動が早くなるのが薄い皮膚越しに伝わってきた。
「ん……っ、くふ……ふぅ……んっ……んうぅうう……」
意地汚い獣のように、郁の舌を貪る。
すると、おずおずと応えるように、郁が控えめに舌を絡めてきた。
「んんっ、は、ぅ……んっくぅ……も、ち……」
唾液をたっぷりとまとった舌を擦りつけながら、キスの合間に名前を呼ばれた。
「なあに?」
口を離して、笑う。
すると、郁がさらに怖じた顔をした。
それからぺたんこの枕に顔を埋めて行った。
「からだ……あつい……なんとか、して?」
そんないじらしい懇願に望月の胸がきゅうんとした。
「顔、見せて」
「……見せたくない」
「見せないとこのままだけどいいの?」
からかうような物言いに、郁がのろのろと顔をあげた。
郁の美貌は真っ赤だ。
どうやら、フェロモン臭にあてられたらしい。
だが、それは望月とて同じだった。
もう辛抱できない。
剥ぎとるように、郁の衣服を脱がせていく。
「ひ、あっ、もち、そんないきなり……」
「でも、こうしなくちゃ身体、辛いままだよ」
郁がこくん、と頷いた。
以前とは違って、想いが通った今――性的な場面において、郁はひどく幼くて頼りない。
月明りに青白い姿態が浮かび上がる。
きれいな身体のところどころに包帯がまかれており、その様はひどく痛ましい。
望月は、指先で、包帯の上から傷を撫でた。
「ここ、痛くない? 身体、無理してない?」
「……もう大丈夫だから……それより……」
郁が、はふ、とひとつ呼気をこぼして、ちらりと望月を見た。
「欲しくなっちゃった?」
「だから、そういうこと――んっ、むぐっ、んうぅううっ……!」
可愛げのないことを言おうとした口を再び、キスで封じる。
小さな鼻をひくつかせて、ふきゅふきゅと息をしようとしていた。
その様に、ひどく愛おしいという気持ちがこみあげる。
触れてもいないのに、乳首が既にふっくらとしていた。
(ここ触るとかわいい声出すんだよね)
本人に言ったら、絶対に意地でも声を洩らすまいとするだろうから、望月は黙っている。
彼の媚態を期待して、つう、と乳輪の輪郭を指でなぞった。
「ふ、あっ、あぁああああああっ!」
いきなり、郁が、大きな嬌声をあげた。
涙目で、はぁはぁと熱く湿っぽい呼気をこぼしている。
その艶めかしさにドキドキとしつつも、遠慮がちに言う。
「少し、撫でただけだよ?」
「わ、わからないけど……っ、すごく、びんかん、になって……どうして……?」
郁はわけがわからないというように独り言を呟く。
(……やっぱり、かわいい。それにさっきから煽るようなことばっかり言ってる)
「もち……?」
郁だけが状況についていけないようで、戸惑ったように望月を見上げた。
なぜか、普段は冷静なのに、自分のこととなると自己認識が正しくできないのが、この狼の性なのだ。
望月はその理由を知っている。
「怖いことしないから、触ってもいい……」
「もちが、そうしたいなら……」
「ちがうよ、君に気持ち良くなってほしいの」
その言葉に郁がばっと腕で顔を覆った。
言わずもがな、照れているようだ。
「……お前、変わってる。好きにすれば?」
すげない物言いも少しずれた悪口も相変わらずではある。
望月は郁に見つからないように苦笑した。
「じゃあ、好きにする」
煽情的に尖った乳頭に指をひっかける。
「んうっ……」
すると、郁がむずがった。
声量を抑えているが、太腿と太腿を擦り合わせていた。
快楽から逃げようとするのが丸わかりだ。
今度は指の先でそこをかりかりとやさしく引っ掻く。
その責められ方がいっそう、彼が感じ入ると知りながら。
「ん……ひにゃ……あっ、あっ、あぁ、んっ……!」
とうとう、郁は甘い囀りを洩らす。
「それ、だめ……だめ、だからぁ……んあ……はぁっ、はっ……んんっ!」
口では強がりを言っていても、本能は性に正直だ。
下腹で桃色の雄茎がひっそりと勃ちあがり、ピクピクと脈打っていた。
「勃ってる……きもちいいの?」
そこをすり、と撫でる。
すると、郁がたまらなそうに姿態をくねらせた。
「ねえ、きもちいいの?」
とうに答えは知っているのに、どうしても郁の口からその言葉を聞きたい。
ふくり、と芯を持った乳首をこねくります。
郁の目からぽろり、と涙がこぼれおちた。
彼は、はあはあと吐息を乱しながら、消え入りそうな声で言った。
「……きもちいい、すごく……」
素直な本音に満足して、にこーっと微笑んでしまう。
すると、視界が傾いだ。
気づいたら、今度は郁に組み敷かれていた。
美貌には欲情の色があった。
彼はむっと唇を尖らせて言った。
「望ばかり、ずるい……だから、今度は俺の番……」
郁がたっぷりと呼気を含んだ声で囁いてくる。
彼のうなじからショートケーキの香り強く匂った。
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