23 / 35
第23話
朝……
今日も、隣に紫月が居る幸せな1日の始まり
背中を向けてしまってた紫月を、後ろから抱き締めると
「ん……」
コロンと、寝返りをして
目を瞑ったまま、俺を抱き寄せた
まだ寝てんのに、無意識でやってんの?
紫月が抱き寄せた俺は、もう目覚めてるよ?
可愛いかったな…昨日の紫月…
胸で、めちゃくちゃ感じて
感じ過ぎてんの、不安になって
それでも、求めてきて
何回からが、未経験だったのかは知らないけど
身体中、敏感になり過ぎて
そんで、それを落ち着かせんのが、俺の歌とか
ほんとに紫月は変わってる
全く詩的センスのない
単調でテキトーな歌なのに
出逢った時からずっと、好きでいてくれる
半分寝ながら聞いた、紫月の子守唄
意味は、サッパリだったけど
紫月みたいに、優しくてあったかい声で
絶対、紫月が自分の声で歌った方が、落ち着くし癒されるだろうに
「……南風?」
つい、背中をナデナデしてたら
紫月を起こしてしまったらしい
「おはよ、紫月」
「おはよう…起きてたの?南風」
「少し前にね。紫月、体の調子は?」
「体の…調子?」
「イクって、結構体に負担かかるじゃん?過去最高回数イッた訳だし」
「え…」
「なんか途中、結構激しく動いたりしてたからさ、今日になってから、どこか…」
「っ…~~~~っ」
まだ少し、寝ぼけてたのか
他人事みたいに、ぽけっと聞いてた紫月が
何かに気付いたみたいになって
急に背中を向けてしまった
「紫月?」
まさか、忘れてたの?
昨日の濃厚な夜を
「~~~~っ」
上から覗いてみたら
背中向けた上に、両手で顔まで隠してる
「紫月ってば~。何も恥ずかしがる事なんかないだろ?こっち向いてよ」
「~~っ…恥ずかしぃ…よ……俺…かなり……~~~~っ…」
「かなり甘えてくれて可愛くて、かなり昂って激しくしてたけど、それのどこに恥じるとこがあるんだよ?」
「~~~~っ…全部忘れてっ…」
紫月…処女ですか?
初めて男に掘られたんですか?
でも、まぁ…
紫月のイメージからは、程遠いもんな
自分自身が受け入れてない自分見せるって、勇気がいるし
その場の勢いがない、冷静な今
そんな気持ちになっても、おかしくないか
「紫月…ほんとに、恥ずかしい事なんかじゃないって」
もう一度、後ろから紫月を抱き締める
「思い出さないでっ…早く忘れてっ…」
「俺、嬉しかったよ?紫月が、そんな風に思っちゃう紫月…俺には見せてくれて。恥ずかしいも…不安も…全部全部…俺にならいいって…だって、それってさ…めちゃくちゃ信頼されてるって言うか…俺になら全部委ねていいって、思ってくれてるって事じゃん?ほんとに、嬉しかったんだよ?」
そう言ったら
ようやく紫月の手が、俺の手の上に重なってきた
「だいたいさ、エッチしてる時なんて、皆おかしくなってんじゃん?俺だって、何カッコつけてんの?って、笑っちゃう様な事、言ったりしてたと思うし…」
「南風は、カッコ良かったもん…思い出しても、全然恥ずかしくなんかないもん……ずるい」
「え……ずるいと言われましても…それは、紫月の主観であって…」
「南風も、いつもと違ってたのに…南風はカッコ良かったもん…南風…凄くカッコ良くて……~~~~っ…」
え?
紫月さん?
顔を覆ってる、その手の中に
俺の手もインしちゃってるんですけど
ってか…
紫月ん中の俺…どうなっちゃってんの?
なんか、めちゃくちゃイケメンな俺、出来上がってない?
「し~づき~。こっち向いて、現実の俺を受け入れた方がいいぞ~」
「………」
ゆっくりと、こっちに向き直った紫月が
ゆっくりと、見上げてきたので
「ほらほら。いつもの南風君だよ~。おふざけ南風君だよ~」
「……南風」
「そ。昨日の南風君はね、たま~にしか出て来ない、紫月の頭ん中の南風君だからね。いつもは、こっちの南風君に戻っちゃうからね」
「……南風……南…っ…~~~~っ」
「え……紫月?」
何故に?
俺を思い出したのか、自分を思い出したのか
何を思い出したのか、分からないけど
真っ赤な顔になった紫月が、俯いてしまって
ベースがカッコいいの人って
こんなんなっちゃうのかね
せっかくの休日
ずっと、こうしてるのもいいんだけど
結構な体力を使った俺は
腹が減っている
「紫月…俺、腹減った」
「腹……っ!…南風、お腹空いてるの?!」
「うん」
「待ってて…急いで朝ごはん作るね!」
「……ぶっ…ぶはっ!はははっ!はははははっ…紫月っ…いきなり、いつもの紫月に戻ってるしっ…」
さっきまでの紫月は、何処行ったよ?
突然、ムクリと起き上がって、もうベッドから出ようとしてる
「だって…」
「うん…朝ごはん食べよ」
大切にされてる
甘やかされてる
だからこそ
甘えてくる紫月が愛おしいんだ
「いっただっきま~す!……うんまっ!すっげぇ旨い!このホットサンド!」
「良かった。いっぱい食べてね」
「紫月は?あんなに動いたんだから、紫月だって腹減ってるだろ?」
「っ…俺…そんなにだった?ほんとに南風…どこか痛くしてない?」
「全然だってば。むしろ興奮したし、超~~気持ち良かった」
「そう…はぁ…良かった」
優しさで出来てる紫月は
どんな状況でも、自分より俺の事を考えている
優しさを貰うと
返したくなる
紫月と居ると…優しくなれる…
「南風、一休みしよ」
朝ごはんの片付け
掃除、洗濯
少しずつ、俺の知らない事を教えてもらいながら、2人でするのは
全然嫌な時間じゃない
「お疲れ様、南風」
「紫月の方がお疲れ様だろ?俺に教えながら、家事するんだから」
「南風と一瞬にする事は、なんだって楽しいよ」
「それは、俺も。紫月となら、何でも頑張れそう」
「うん。俺も、毎日いっぱい元気貰ってる」
「ね、紫月。チョコ食べよ」
「南風も食べるなら、ちょっと食べようかな」
紙袋2袋分
よりどりみどりのチョコ達
お前らも可哀想にな
紫月の口ん中入れると思ってたんだろうが
多分、俺の口ん中入る方が多いぞ
「おお…これは、本格的っぽい抹茶チョコ発見!」
「南風、抹茶チョコ好きなの?」
「結構好き。1番はホワイトチョコで、次がイチゴチョコだけど、抹茶チョコも結構好きだよ」
「……可愛いね」
「え?そうなの?」
何に対しての可愛いか知らないが
そう言ってる紫月の、嬉しそうな顔が
めちゃくちゃ可愛い
「紫月は?1番好きなのは?」
「南風」
「っ…ぶはっ!食い気味に即答してるけど、チョコの話!」
「チョコ…南風が食べてる物は、何でも美味しそうに見えるよ」
「んじゃ、紫月も一緒に食べよ?どれどれ?……んん~~っ!めちゃくちゃ抹茶!紫月、めちゃくちゃ抹茶だかっ…んんっ…」
チョコ食いながら、喋ってる途中の俺に
紫月がキスしてきた
「ほんとだ…ちゃんと抹茶の味する」
「嬉しいけど、いっぱいあんだから、ちゃんと1個食べなよ」
「それは、あんまり美味しそうじゃない。南風の口に入ると、美味しそうに見える」
「っ…~~っ…」
イケメンって
モテる男って
こういうの、自然と言えちゃうのな?
俺は、セックスで散々喘ぐとこ見られるより、恥ずかしい気がするぞ
「南風?」
「はぁ~……贅沢過ぎる~」
「そんなに凄い抹茶チョコなの?」
「違うって。紫月が貰ったチョコをさ、紫月の甘い言葉をBGMに俺が食うって、どんだけだよ?」
「甘い言葉?そんなの言ってないよ?」
無自覚なんだもんなぁ
カッコいいのに
ほんとに不思議そうに、少し首を傾げてるのが
ちょっと可愛いかったりして
「紫月さ…カッコいいと可愛いは、最強過ぎると思うんだが?」
「カッコいいと…可愛い……うん……~~っ…最強…だった…」
え?
あなたの事ですけど?
その感じ…
もしかして、また
昨日のイマジナリー最強南風君、思い浮かべてます?
「紫月、紫月。ちょっと、俺見て?」
「っ…何?」
「あ、目逸らさないで。ちゃんと今の俺を見て?」
そんな風に思ってくれるの、ありがたいけどさ
あんまり、現実の俺と離れてくと
現実の俺、幻滅されちゃうじゃん
「どう?ちゃんと現実のお…んっ…?」
ん?
おや?
至近距離で見てた紫月が、キスしてきた
嬉しいけど、俺の質問のお返事は?
しかも…
激しい訳じゃないけど
なんか…結構…
深いんですけど…
「はっ……んっ……っ…はっ…」
まるで、口中の抹茶チョコ舐め取るみたいに
俺の口に入ったから?
そんなに、俺の口ん中の抹茶チョコ、気に入ったの?
「……はぁ……ごめん…昨日の南風、思い出してたら…今日の南風が、キス出来る距離で見詰めてくるから…」
「え~っと……やっぱ、昨日の俺とは違うな。ガッカリ…には、ならないのかな?」
「ガッカリ?なんで?昨日の南風は、そりゃ…~~っ…凄かったけど…今日の南風は、いつも通りカッコ良くて、可愛いよ?」
「え…」
今日の南風は、普通なんですけど
何ですか?その凄いステータスの通常ベース
紫月じゃないんだぞ?
「?…南風?」
「紫月……最後、いつ視力検査した?」
「え?視力検査?今年の…春?健診で……なんで?」
「その時さ…ちゃんと眼科行けって言われなかった?」
「言われてないけど…?なんで、突然視力の話?」
視力が大丈夫なら
紫月の頭だ
頭良過ぎて
どっか1ヵ所、おかしくなってんだ
でも、まぁ…
「ふっ…紫月も俺も、嬉しくて幸せなら、いっか」
「…うん。よく分からないけど…嬉しくて幸せだよ」
「んじゃ、もう1個…抹茶抹茶チョコ食お~っと」
「じゃあ俺は、抹茶抹茶南風になったチョコ、食べよっと」
俺に会った時、どっかイカれたのかな?
俺の傍に居て、頭悪いのうつってきたのかな?
「んま~~っ!…やっぱ、めちゃくちゃ抹茶だ…んっ……んっんっ…」
でも、いっか
紫月のイマジナリー南風が
現実が、こんなんだって知っても
全然ガッカリしてないんだから
それどころか
嬉しそうに、幸せそうに
俺を味わってくれるんだから
ともだちにシェアしよう!

