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第26話

いつもの様に、さっさとバイトを終わらせて さっさと帰って、紫月を待とうと思ってたら 突然、ふっ飛ばされた 突然過ぎて、一瞬過ぎて 何が起きたんだか分からなかった 気付いたら、少し離れたとこに、瓦礫が散乱してて 俺みたいに倒れてる人達が居た 「いっ…て~…」 思いっきり、左半身打ったぞ 頭クラクラする 「っ……てぇ~~」 起き上がろうとすると 左胸だか腹だか知らないけど めちゃくちゃ痛い そんでもって、支えてる左腕からも血出てるし 「くっそ…何なんだよ…」 ポタッ… ? なんか、どっかから血が…… って、これ…俺の頭か 俺…どうなってんの? なんとか起き上がって、座ってみると… エライ景色が広がってた なんだ?これ… 少し先にある店の壁が破壊されて その店の前の道路は陥没してて どうなってんの…これ… その辺一帯が壊滅状態だ 隕石でも落ちたのか? あちこちから、呻き声や泣き声や、悲鳴みたいな声が聞こえてきて 色んなとこから人が集まって来た 「君!大丈夫?!」 「えっと…とりあえずは」 「今、救急車来るからね!もう少し、離れた場所まで行けそう?」 「なんとか…」 「よし、行こう!」 「っ…~~っ…」 めちゃくちゃ痛い! とにかく、左半身全部痛い あそこから離れなきゃとは思うけど この人、頑張ってくれてるけど 痛過ぎて、上手く息すら出来なくなってきた 「よし、この辺なら……え?大丈夫?!」 だいじょばない 苦しい 痛くて、苦しくて… 発狂しそうだけど、そんな事したら、益々痛くて苦しいし 「君!しっかり!」 何も言えずに、静かに横になると 助けてくれた人が、めちゃくちゃ焦って、俺に声を掛けてくる 「頑張って!もうすぐ救急車来るから!」 頑張ってるよ けど、唇1つも動かしたくないんだよ 救急車来るなら、このまま、そっとしておいて… 痛みと、苦しさに、じっと堪えてたら 救急車の音が聞こえてきた 良かった 頑張った…俺… 何が起こったのかすら、把握出来てなかった俺は 周りに、どれだけの人が倒れていて どれくらい重症な人が居るかなんて、知りもしなかったし、考える余裕もなかった 次々と聞こえて来る救急車の音は 安堵から、不安へと変わっていく もう、何台もの救急車が来てる筈なのに なんで、俺のとこ…来てくんないんだ? 「あの……」 「ちょっと待ってて!」 重い瞼を上げると 助けてくれた人が、そう言って救急車の方へと走ってった 救急隊の人達…何人も動いてるのが見える なんか……そっちだけ盛り上がってるけど… こっちにも1人…居るんですけど… 「お~…い…」 どんどん暗くなってく このままじゃ俺…気付かれないまま… もっと、大きな声で… 「~~っ…っ?!」 少しでも、大きな声を出そうと、深く息を吸ったら 左胸が、めちゃくちゃ痛い! 大きな声どころか、息止まった ヤバいな 俺…結構ピンチ 頑張れ、俺… 向こうが落ち着いてきたら、きっと気付いてくれる 人1人転がってんだ 誰か1人くらい気付いてくれるさ 頑張って帰らなきゃ 紫月が心配する 俺が居なきゃ きっと、心配して…… そこまで考えて ようやく、スマホの存在を思い出す だけど、その頃には 俺の頭は、すっかりイカれてて スマホで何すればいいんだっけ? 電話? 救急車? 紫月? そんなん考えながら、バッグの中に手を突っ込んで やみくもに、スマホを探してるとこで 俺は、力尽きた 目覚めた時には、既に病院で なんだか、白衣の皆さんに、めちゃくちゃ声を掛けられてた そして、忘れてた痛みが戻って来た 目覚めなきゃ良かったかな…なんて思ってしまう 「白石さん、今痛い所は?ここは、痛いですか?これは?」 絶対、聞かなくても分かってるだろ 俺が忘れてた…そして、気付かなかった痛いとこばかりを触ってくる 今すぐ、また気絶したい 「結構痛み、強いかい?」 「はいっ…あと…少し動くだけで…苦しいです…」 「これからレントゲンの検査をしてみるけど、おそらく君の左の肋骨は折れてるし、肺も損傷してる。けれども、その他にも傷ついてる場所があるかもしれないから、CTの検査もするね」 肋骨…折れてる感じ、めちゃくちゃするわ 肺?だから、苦しいのか 「検査まで時間あるから、先に胸に管を挿れようと思う」 「……え?胸に…管?」 なんでも、胸の中に溜まった血を出すのと その管を挿れてるだけで、損傷した肺が治っていくらしいが… 胸に? 管? 「大丈夫。ちゃんと麻酔使うから」 「ああ…良かったです。起きてると辛くて…」 「ん?あ~…そんな、凄い麻酔じゃなくて、局所麻酔ね」 「え?……局所って…あの…歯医者さんみたいな…」 「そうそう……あ、不安かな?」 「目覚めてから…痛くて…苦しいから…出来れば眠りたいんですけど…」 「そうだなぁ…じゃ、ちゃんとした痛み止めの点滴も1回使おう」 え… だから、痛み止めとかじゃなくて ちゃんとした麻酔…… けど、もう 沢山話すのも、しんどくて プロが言うんだし 俺は、もう…身を委ねた 「っ?!…~~~~っ…」 「痛いかな?もう少しだからね」 痛いかな? ってレベルじゃない! めちゃくちゃ痛い!! 痛い!痛い!痛い! 「白石さん、もう少しで終わりますからね!」 看護師さん! さっき、痛み止めの点滴しま~すって… あれ、ほんと? 実は、痛くする点滴とかじゃない? 「~~~~っ!!」 「よし!…はい、繋げて。白石さん、終わったからね~」 よし!じゃない 全身汗だくだ こんなん、局所麻酔だなんて拷問だ 「ん?あ…結構痛かったね?1番痛いのは、これで終わりだから、安心してな?」 俺の顔を覗き込んだ先生が 多分、涙を滲ませた俺を見て そんな事言ってきた 1番って? ねぇ、先生… 1番って何?! この後、一体何番まであんの?! ふと、散々いじられた左胸を見ると 結構太めの管が入っている キモッ… 常に、なんだかんだされてたのに 一気に皆、退散した 残りの痛い事…誰か教えてくれ そんな事を思いながら ようやく一息つく 1番痛いのを乗り越えたからなのか 痛み止めが本物で、今頃効いてきたのか この、キモい管のお陰なのか なんだか、少し楽になった気がする そこで、ようやく俺は、周りの音が聞こえてきた あちこちから、色んな機械の音がしている そして、時々ヤバそうな音が鳴ると 医者っぽい人が、少し強めの口調で何か言って 誰かがそれを、復唱する そんなのが、ずっと聞こえてる そうか 救急車で運ばれて来たんだもんな 周りも、そういう人達なんだよな 「CTいいって!行ける~?!」 「今、無理~!」 「誰か行ける~?!」 「ここ終わったら、行ける~!」 なんか… めちゃくちゃ忙しそう… シャッ… 「白石さん、CTの検査行きますね!」 「……はい…すいません」 「え?」 俺の検査の事だった なんか、めちゃくちゃ悪い気がしてきた 「あの、俺…もう多分歩いて行けます」 「え?ダメですよ?」 「え?ダメなんですか?あっ!これ入ってるからか~」 「それは入ってても、別に歩いて問題ありません。CTを撮って、他に問題ないって分かるまでは安静です!」 そうですか それは余計な事聞いて、すいませんでした ってか… これは、入ってても歩けるのか 良かった良かった せっかく、少し楽になったのに 検査の台に移され 痛い左腕上げさせられ また、台から戻され 次は、レントゲンですとか… 「はい。お疲れ様でした」 「はぁ…あの…」 痛いは痛いけど 最初の、気絶する程じゃない それよりも… そろそろ限界が近付いている 「何ですか?」 「トイレ行きたいんですけど…検査終わったし、もう歩いていいですか?」 「あ~…先生が、検査結果見ない事には……我慢出来ないようでしたら、しびん持って来ましょうか?」 しびん?! しびんって、あの噂の… あそこに、当ててするっていうやつ? ここで? 羞恥プレーかよ?! 「我慢出来る!」 「……ふふっ…そうですよね?若いから、そんなの嫌よね?先生に早く見てもらえる様に、言ってみるね?」 「っ…お願いしますっ…」 なんか…恥ずかし~っ… 恥ずかしさを回避するのも、恥ずかしいぞ 子供扱いされて、口調まで変わってた! が!それでもいい! 先生! 忙しいでしょうが… とりあえず、トイレいいよ その言葉だけ、お願いします! 「はぁ~~…すっきりした~」 自分の左胸から繋がっている相棒と共に、さっきまで居た部屋に戻ろうとすると 待合室で、泣いてる人達が居た そうだよな 皆が、俺みたいに元気になれるとは限らない 俺と同じ、あそこに居た人達も居るんだろうか ってか…あれは、何だったんだ? 「歩いて大丈夫でしたか?」 「はい…あの~…俺って、なんで吹っ飛ばされたのかとか、分かりますか?」 「私達も、ちゃんとニュースとか見た訳じゃないから…何かが爆発したとしか…」 「爆発…」 ですよね そんな感じだったよ 「白石さん、入院になりますので、どなたかご家族に連絡したいのですが…連絡先教えて貰えますか?」 「……家族は…居ません」 「…ご兄弟とか…おじいちゃん、おばあちゃんとかでも…」 「いえ…誰も……家族は、誰も居ないんです」 結局、荷物用意してくれる人でいいって事になって 紫月の連絡先を教えた 紫月…まだ仕事中だよなぁ ビックリするだろなぁ そんな事考えてたら 先生がやって来て 「さてと、白石さん。CTの結果ですが…」 と、一通り話し終えて じゃあ、入院しますか とか、気楽に考えてたら 「それじゃ、傷の処置をしましょうか」 「え…」 まだ残ってた… 俺は、頭やら、顔やら、腕やら、腹やら 傷の処置をされた 痛いけど そうだね、先生 この相棒を挿れる時の事を思えば、全然我慢出来るよ そうして俺は 残りの『痛い事』を全て堪え 少しの間、眠りに就いていた

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