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第31話

ん? すっげぇ寝た 今、何時だ? 久しぶりに、紫月のベッドで、紫月と眠ったら 爆睡してたわ そろそろ朝か? スマホを見たら まだ1:00を過ぎたとこだった 全然夜中じゃん 夕方もそうだったけど、紫月ってすげぇ癒し威力 なんか、バッチシ目が覚めたので そっと起き上がって、壁にもたれかかる ずっと右向きか、仰向けかの2択なので、ちょっと座って休憩 そう言えば、まだ小さかった頃 たまに1人の夜があって 子供だったのに、なんかこうして、夜中に起きてた事あったっけ 寂しかったのかな 怖かったのかな 腹空き過ぎてたのかな 真っ暗過ぎる世界は 自分が起きてるのか、寝てるのか 分からなくなる 現実なのか、夢なのか 今、何処に居るのか 何をしてたのか 此処に居ていいのか どっちに向かえばいいのか…… 「ねぇ……ねぇ……」 これは…… 「ねぇ……お兄ちゃん…」 夢? 俺は今、眠ってるのか? 「替わって?」 「何を」 小さな女の子だ まだ…4、5歳? 「お母さんとはぐれちゃったの…」 「俺には、何も出来ない」 「お父さんのとこ行く…替わって?」 「俺と替わっても、お父さんのとこには行けないよ」 「替わって……痛いのやだよ……ひとりぼっち…寂しいよ……怖いよ…」 「っ?!」 女の子の顔が… 血まみれになっていく 顔だけじゃない 頭も…腕も… 足が…変な方向向いてて… 「お父さん…泣いてる……ねぇ…替わって?」 「っ…無理」 「なんで?……おりこうさんにしてたよ?…いいこでいるよ?…なんで?…ねぇ…替わって」 「~~っ?!」 「~~っ?!……っ……はっ……はっ……はぁっ…」 「……南風?」 いつものパターンの夢 いつも通り、替わってと言われて 最後になんか、物凄く怖い目に遭う夢 だけど、今日のはめちゃくちゃ怖かった なんか…リアルだった 「っ…はっ…はぁっ…」 「南風?…何処?!…南風!」 「…はぁっ……はぁ~~……紫月…ここ。大丈夫」 「南風!起きてたの?!大丈夫?!」 ビックリして起きた紫月が、めちゃくちゃ心配して探してるから 紫月の手を取ると すぐに紫月が、抱き締めてくれた 「もう大丈夫…」 「何?痛くなった?苦しくなったの?」 「ううん……ちょっと怖い夢見ただけ」 「夢……でも、南風…震えてる」 そうして紫月が、俺の背中全部があったかくなる様に 何度も何度も、角度を変えて抱き締めてくれる 俺の体は、誤作動でも起こしたかの様に 時々プルプルと震えては止まっていた 「ははっ…いい歳して…」 「南風…大丈夫だよ…大丈夫だからね…」 「……ん…ありがと」 笑われてもおかしくないのに ほんとにほんとに、心配してくれてる 紫月のあったかさが 体に広がってく 「紫月…もう大丈夫。ありがと」 「南風…電気点けて大丈夫?」 「大丈夫だよ」 ピッ…と、電気を点けた紫月が 紫月が怖い夢見たの?って顔して、こっち見てた 「ふっ…なんちゅ~顔してんの?」 「南風…怖い夢…今日だけ?」 「ん~~…ここんとこ、結構見るかなぁ」 「~~っ…俺…起こしに来て良かったのに…一緒に寝ようって、来ても良かったのに…」 「俺、何歳だよ?」 「何歳だって…おじいちゃんになってたって…南風が怖い時は、俺が傍に居たいよ…」 おじいちゃんって… なんちゅ~先の話を… 「ありがと。でも、目覚めたら夢だって分かって、怖くなくなるからさ。ビックリさせてごめん」 「~~っ…また…首…締められる夢?」 そう言って、また抱き締めてきた そうだった 紫月、あれ見たんだった 「違うよ…あの夢じゃない」 「苦しくなるのじゃない?」 「うん……なんか…替わってって言われる夢」 「替わって?何に?ダメだよ?」 「…ふっ…何にか聞いてないのに、ダメなの?」 「ダメだよ。南風以外なんて要らないんだから」 俺以外なんて… 要らない… 「でもさ……俺は…」 夢の中の事で 目覚めたら、あんまり覚えてなくて だから、ちゃんと考えない様にしていた 「南風?」 知らない人達だと思ってた でも、俺は知ってる ちゃんと会った事のない、あの人達は あの時、同じ場所に倒れてた人達で 俺と違って、助からなかった人達で…… 「世の中が、理不尽で不平等な事なんて、分かりきってたけどさ…」 「え?」 「どうして?って…なんで?って思うよな…だって、俺より全然頑張って生きて、俺より全然誰かの役に立って…なんで…選ばれるのが俺?って思うよな…」 悲しむ人も、俺には紫月くらいしか居ないのに 沢山の人に、愛されたり、感謝されたり そんな人が… なんで選ばれないの?って、思うよな… 「……俺…南風が爆発に巻き込まれたって知って…凄く怖かったから…南風から電話もらってるのに…凄く怖かったから…遺された人達が、どんなに辛い気持ちなのか、少しは分かるよ」 「うん…」 「だけど、それでも思ったよ。死ぬのが、南風じゃなくて良かったって」 「っ……そ…かな…」 「間違ってるかもしれないけど…知らない。他の誰が悲しんでも…南風を失わなくて良かった…生き残れたのが、南風で良かった…」 「~~っ…」 理不尽で不平等で 俺のせいなんかじゃなくて だけど、それでも どこかで思ってたんだ どの人よりも価値のない自分が、残って良かったのかな… 「誰に恨まれたって…誰に替えてって言われたって…俺は全力で断るから…南風の居ない世界なんて…要らないから…」 「~~っ…紫月っ…俺達だけ…喜んでいいのかな…」 「いいのかなんて知らない…でも、嬉しいもん。南風を今…こうして抱き締められて…嬉しいもん」 「~~っ…嬉しいっ…俺も……~~っ…紫月っ…紫月っ…」 いいんだよって、言って欲しかったのかな どこかで勝手に膨らませた罪悪感が あの夢を見させてたのかな 紫月は、いいのかなんて知らないって言った だけど、嬉しいんだって言ってくれた 俺も、分かんないよ 良かったって、心から思えないよ でも、嬉しいのはほんとで、一緒で… 「南風っ…ダメだから…絶対…何処にも行かないで…」 「うんっ…紫月と居たいっ…」 「どんなに可哀想な子でも…ダメだよ?呪いかけられたら…一緒に受けるから」 「呪い?…ははっ…なんか…怖い事言ってる…」 「南風…布団入ろう?」 気付いたら、紫月の背中にある俺の手は、結構冷えてて そうだよな 布団から出て、座ったまま寝てたんだもんな 布団と、紫月の体温に包まれたら あったかくて…逆に寒さを感じる 「南風…寒い?」 「ん…すぐに、あったまる」 「南風…ごめんね…俺が別々に寝ようって言ったから…俺のとこ来ずらかったんだね…」 「違う……怖かったんだ…ちゃんと考えるのが怖くて…夢だからって、さっさと忘れる事にしてた。漠然とした不安が、きっと夢になってたんだ」 うっすらとあった罪悪感が テレビで知った情報を元に ちゃんと会った事もない人物造り上げて、責めてくるんだから 夢って凄い 「南風…明日…土曜日で休みだから…」 「うん?」 「一緒にベッド見に行こ?」 「ベッド?……なんの?」 「ダブルベッド。どんな時も、安心して一緒に眠れる様に」 「え…?」 「一緒に寝るんだよ。どんな時も。南風が怖い時は、俺がすぐに見付けて助けるから」 「っ……~~~~っ…紫月っ…」 あの夢の最後… ビックリして起きて いつも、ちゃんと覚えてなかった最後が 何故だか今、思い出せる 替わってって言った最後… 急に、一気に近付いて来る人達 それは、怖い顔なんかじゃなくて 悲しくて…辛くて…寂しそうな… それに、吸い込まれそうになって… 替わってしまいそうな感覚が、怖かったんだ 「南風…南風には分かるかな…」 「?」 「俺にとって、南風の居ない世界はね……そこに、綺麗な物があっても、美味しい物があっても、それだけなんだ」 「…それだけ?」 「綺麗も、美味しいも分かるのに…俺の中の何も動かないんだ。綺麗な物を見る前と同じ。美味しい物を食べる前と、何も変わらないんだ」 よく…分からない 感じないんじゃなく… 変わらない? 「何をしても、何処に居ても、何も変わらないってね…周りと同じ世界じゃないってね……生きてる実感が…分からなくなる事があるんだよ」 「紫月…」 「南風はね…その世界を変えてくれたんだ。何をしてても…何処に居ても…南風と一緒なら、どんな些細な事でも、俺の中が動くんだ。不思議だよね?どんな遠い国に行っても、どんな難しい事しても、全然だったのに…南風が、ただ居るだけでね…俺の世界は、生きてるんだよ」 紫月の、よく分からない話は よく分からないのに 初めて、なんか納得した ああ… 紫月が、俺なんかを好きになってくれた理由って、これなんだ 全然、恵まれた環境だろうに 紫月も、ずっと1人だったんだ 俺は、明日、どう生きるか考える日々だった 紫月は、そんな心配なんかないのに 生きてるかどうか、分からなくなる不安の中に居たんだ 「紫月…俺は…紫月が生きてくのに…凄く必要?」 「必要だよっ……俺の生きる世界を作ってくれるのは、南風なんだからっ…南風が居ないとっ…また、あの世界になるんだからっ…」 俺には、理解出来ないけど きっと、凄く怖かったんだ 紫月…ずっとずっと怖かったんだ それを救ってあげられるのが、俺… 「……じゃあ…絶対、紫月の傍で生きてなきゃな」 「そうだよっ…南風っ…居なくなちゃったら…呪うからっ…」 「え?俺、死んだのに呪うの?」 「死んだとか言わないで!」 「え…ごめん」 「どんな手段使ったって、南風に気持ち届けるからっ…南風に伝わったら、南風っ…迎えに来てくれる?」 ぎゅっと紫月が、抱き締めてきた 俺が怪我をしてから こんなに強く抱き締めてきたの、初めてだ 「迎えに来ない」 「っ?!」 「そうならない様に、少しでも長く、紫月の傍に居る。約束する」 「~~っ…ほんとだよ?約束って言ったからね?」 「うん……そうだな…もう、すげぇジジイになってさ…2人で、そろそろさ…どっちが先かの~とか、話してる未来までさ…ずっと紫月の傍に居る」 「~~~~っ…南風っ…」 紫月にとっての俺が そんなにも、大きな存在だなんて、思ってもみなかった 紫月の愛情は溢れ出てるから、全然疑わないけど 変わってる俺を、変わってる紫月が、好きになってくれたってのも 時間と共に、納得してきたけど あんなの聞いたら 怖がってる場合じゃない 俺らしくもなく、お人好しに、人生譲ろうとか思ってる場合じゃない これからは 一生紫月の傍で生きる事に、全力を注ぐ 例え、どんなに沢山の人が泣いたって 紫月を泣かせる訳には、いかないんだから

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