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水曜日が来た。
衣装を着て、カサエラを除くみんなと聖堂へ向かう。
鮮やかな採光に澄んだ空気とオルガンの響き。喉から放つ音が空間に広がっていく心地よさ。やっぱり歌が好きだと思った。歌っている間は余計なことを考えずに済むし、何かが発散されるのか頭がすっきりする。
でも、ディミタルとのデュオより楽しいと思う瞬間はない。
無意識のうちに客席を探してしまう。
午後のお披露目にも珍しく出席しようとした。けれど扉の隙間から覗き見て、部屋にディミタルがいないとわかった途端に気が変わって抜け出した。
マム院長も司祭も、ヒートの一件から薬の服用に関しては厳しくなったが、脱走は相変わらず見逃してくれるようだった。
音楽室でピアノ椅子に座り、鍵盤を撫でる。
「あの日から……魂が欠けたみたいだ。ううん、自分の魂が欠けていることに気付いてしまった」
ディミタルは魂の欠けのことを『親友と生き別れたよう』と言っていた。
ユルはそれよりもぴったりな言葉を知ってしまっている。──運命のつがい。
その言葉を彼に教えたら、その通りだと共感してくれるだろうか。
「ディミタル様、ピアノ弾けているかな」
ピアノを弾くディミタルは満たされた顔をしていた。家では禁止されていると言っていたが、どうかのびのびと暮らしていてほしい。彼の安息ばかり気にしてしまう。
「それとも、カサエラの花嫁衣装の用意で忙しいかな」
側室とは運命のつがいごっこだと、カサエラは言っていた。
もうすぐカサエラがディミタルのところへ嫁ぐ。そうしたら二人は、欠けた魂を補い合うのだろう。
「……っ」
自分の頭に浮かんだものをとっさに振り払う。
さまざまな感情が胸に渦巻いて苦しい。
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