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「あははは! あなたは本当に眩しいな。美しい。見目の話じゃないぞ。芯の強さのことだ。──運命のつがいが善きオメガとは限らない。確かめてやろうと思ったが、余計な心配だったようだ。からかってすまないな」 「からかっ……え?」 「あなたの家の近くまで送る。詫びだ」  ぽんと肩に手を置かれる。ジウガストの接触に下心は微塵もなく、ユルは触れられても嫌悪を感じない。世話焼きな兄ができたようだと思った。 「ありがとうございます……?」 「会えてよかった。あいつが嫌になったらいつでも私のもとへ来るといい」 「冗談でもやめてください」 「あっはっは」    ■ ■ ■  離れた場所で馬車から降ろしてもらい、ユルはウィアークテに戻った。  裏口からこっそり入り、酒場の様子をうかがう。客席でイザンがオメガたちと楽しそうに飲んでいた。機嫌は良さそうだ。  そろりと踵を返し、二階に上がる。念のため、ポポーの部屋に向かった。  ノックをしても返事はない。無事に出発して、部屋には誰もいないのかもしれなかった。  ユルがドアを開けて部屋の中を覗き込むと、ベッドに誰かいる。 「あ、やほー」  気怠げに寝そべったまま、ポポーは片手を上げてへらりと笑った。頬に殴られた痣があり、口角が切れて血が出ている。服装も乱れたままだった。 「ポポー……!」 「あいつ、僕を抱きたくて難癖つけてただけだったよ。もう終わったから、大丈夫」 「大丈夫じゃないよ! タオルとってくるっ……」  裏の水路で澄んだ水を汲み、清潔なタオルを持って戻った。  濡らして絞ったタオルでポポーの身体を拭きながら、大きな怪我がないか確かめる。骨折などはなさそうだが、強い力で掴まれた痣が柔らかな肌のあちこちに残っていた。 「帰ってくるの早くない? 伝達はうまくいったの? あのくそ野郎に一泡吹かせてやってよね」 「何があったか聞いたら驚くよ。信じないかも」 「ええ?」  楽しそうに詳細を聞きたがるポポーと一緒に笑う。けれど表情とは裏腹に、ユルの心中はさざなみ立っていた。  自分がもっとうまくやれたら──悔しくて拳を握る。 「……ねぇ」  その手へ、ポポーがそっと触れた。 「ここはさ、平和と引き換えにみんながちょっとずつ場所なんだ。これが普通なんだよ。キミが引き起こしたことじゃないから、気にしなくていい」 「そんなの……おかしいよ」 「キミは本当にかわいいねぇ。ちゅーしちゃお」  涙ぐむ頬に手を添えられたかと思うと、額にキスされた。 「僕ね、ちゃんと幸せだよ。こうやって大事な友達にキスできるんだもん。だからそんな顔しないで」 「……うん」  情けなく笑って見せると、ポポーはおかしそうに笑った。

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