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第六章 羽化 1
夏休みまであと半月というある日、真が敬にプリントを見せた。
「授業参観と、保護者面談……?」
「来週だって。こういう時って、僕らはどうしたら良いんだろうねぇ?」
真が、いつもののんびりとした調子で言った。
「瞬のクラスは?」
「同じ日だってさ」
「それなら、俺と涼で行くよ。暁に頼んでも良いけど……」
「ううん、お願いします」
二人一度に休むとまた教師に何を言われるか分からないが、まぁ正直に家族のことだと言えばいいか、と敬は考えた。
「よし、じゃぁそうしような。……で、瞬はどこ行ったんだ?」
「ごはん」
真がさらりと言ったが、敬には意味が分からず聞き返した。
「は?」
「だから、ご飯、食べに食堂に行ってるよ」
時計を見ると針は午後の四時を指している。夕食の時間にはまだかなり早い。
「ものすごくお腹が空いたから、おばちゃんに言って早めに食事を出してもらえるか聞きに行くって」
「一人で?」
「ううん、涼も一緒」
なるほど、それで涼の姿も見えなかったのかと合点がいった。
「そんなに腹が減るなんて珍しいな。割と食は細い方だったのに」
「うーん、でも最近凄いんだよ。学校の給食もものすごく食べるみたい。瞬のクラスの子が言ってた」
「最近って?」
「一週間ぐらい前からかなぁ」
そう聞いて敬は首を傾げた。
「こっちじゃそれほどでもなかったけど」
「うん、ここの食堂ではセーブしてたみたいだけど、我慢できなくなっちゃったみたいだねぇ」
真がそう言ったとき、涼が帰ってきた。
「いやー、あれは凄いぞ」
しきりに感心している。
「おい、瞬は?」
「食堂のおばちゃんに交渉して、食事の準備の手伝いをしたら、早めに飯を食べても良いって約束取り付けてたぜ。あの食欲は本物だ」
「本物って……」
「いや、でかくなるために無理矢理詰め込んでるかと思ったんだが、どうもホントに腹を減らしてるらしい。なぁ、敬」
「うん?」
「今月、金に余裕あるか?」
「うん、だいじょうぶ。どうして?」
「あの分じゃ、こっちでも食料を準備しておいてやった方が良いなと思って」
「あぁ、なるほど。確かにそうだな」
瞬にひもじい思いはさせたくない。食べたいだけ食べさせてやりたい。
「とりあえず米と……後は、でかくなるためにはタンパク質とカルシウム?」
「野菜もたくさん入れたいところだけど、うちの財布じゃちと苦しいかなぁ」
涼は、あれこれと思いつくままにメモを取り、最後に言った。
「よし、んじゃ、明日帰りに買ってくる……あ」
何かを思いついて慌てる。
「炊飯器! 無いけどどうすれば良いんだ? 炊飯器買う余裕はないぞ」
「あー……そうか」
二人とも肝心なことに思い至って、がっくりと肩を落とした。電化製品まで買う余裕はない。
すると、真が明るい声で笑って言った。
「大丈夫だよ。鍋とかフライパンで炊けるよ」
「え? 米って炊飯器なくても」
「炊けるのか?」
「うん、調理実習でやったよ。ちょっと火加減が難しかったけど、ちゃんと食べられるものが出来たよ」
真が、可愛らしく胸を張って言った。
「授業のことちゃーんと覚えてるよ。任せて!」
「助かったよ……マコ、ありがとう」
「えへへ」
敬が真の頭をぐりぐりと撫でた。
*
今日は、年少二人の授業参観日だ。真は朝からそわそわ落ち着かない。
瞬はと言うと……。
「まだ食堂か?」
「うん」
瞬の食欲はすごかった。無理をしているのでないことは敬にもすぐ分かった。最初は、腹をこわすんじゃないか、どこか悪いんじゃないかと心配したが、その後の瞬の様子を見てくどくど言うのをやめた。どうも食堂の方から所長へ話が行ったらしく、食事の増量が認められたと聞いた。瞬の異常な食欲は、所長も監視しているというわけだ。
部屋に買い置いてある米も、順調に一日五合ずつ消費されてゆく。
「太りもせず、腹もこわさず。あの食い物は一体どこに消えてるんだろうな」
涼は呆れ顔で言う。
「ねー、今日はどっちが僕の方に来てくれるの?」
瞬のことはそっちのけで、真が目を輝かして言った。
「今日の午後の授業だよ」
「あぁ、マコの方は俺が行くよ」
涼が言った。
「マコは学校で何かやらかしてないか? 懺悔したいことがあるならいまのうちに聞いておくぞ」
「なにもありませんよーだ」
目の前でおどける小さな鼻をつまむと、真はけらけらと笑って難を逃れた。
「おーい、そろそろ学校に行く時間だぞ」
敬が声を掛けた。
「瞬の鞄持って、下で拾って行ってやれよ」
「うん、そうする。それじゃ行ってくるね。今日はよろしくねー!」
「はい、行ってらっしゃい」
明るい声と共に真が駆けてゆく。敬と涼は知らず知らず笑顔になった。
「まったく、マコには救われるな」
「あぁ」
「今日、本当に良いのか、お前に押しつけて」
「押しつけられた訳じゃないぞ」
「いやまぁ、そうだけど」
「いいんだ、ちょうど学校の瞬の様子を知りたかったところだから」
「そうか、じゃ、頼むな」
「あぁ……って、お前何二度寝してるんだよ」
てっきり出かける準備をしているのかと思いきや、涼は敷きっぱなしだった布団に潜り込もうとしていた。
「今日はサボりだろ」
「授業参観は、ご・ご・か・ら・だ!」
「えー」
「えー、じゃないだろ、午前中だけでもガッコ行くぞ」
「敬だけ行けよー」
「先生に心証よくしておこうっつったのは誰だよ!」
「えー」
「えーじゃねぇ!」
敬は涼を引きずり出すと、そのまま涼を引きずって出かけようとする。
「待て待て、制服! 着替え!」
「早くしろ!」
*
学校から小学校へ直行したので、詰め襟姿の敬は、母親達に交じって非常に目立っていた。母親達もだが、クラスの子供達からの視線も痛い。
――戻って着替えてから来れば良かったかな。
苦笑しつつ、敬は教室を見回した。
昔、まだ家出する前には確か小学校へ通っていたことはあったはずだが、ほとんど記憶はない。机、椅子、ロッカー。すべての物が小さく、ミニチュアのように見える。子供達はささやかなイベントに少々興奮気味のようで、特有の高い声が教室に充満していた。
そんな中、敬は瞬を見つけた。
教室の一番窓際、後ろから三番目の席にじっと座っている。教科書とノート、筆記具を揃え、頬杖をついて窓の外を見つめている。教室の中のことには全く関心がないようで、他の児童と戯れることも話をすることもない。果たして今から授業参観だと言うことも分かっているかどうか。
同じクラスの少女達が、ちらりちらりと瞬と敬に視線を送っている。早くも二人が関係者だと見抜いたのだろう。
だがそれでも瞬は、全く他へ関心を払うことはなかった。
やがて授業が始まった。算数だ。
教師の問いに、児童達は張り切って手を挙げる。皆、親に良いところを見せようと一生懸命だ。
――かわいいなぁ。
他の親たちも一様に微笑んで子供達を見ている。そんな中瞬は――、瞬だけは静かに座って教師を見つめている。
よそ見をすることもなく、しっかり前を見据えて教師の話を聞いている。
だが授業の前にあった、瞬を取り巻く壁は授業中のこのときでも消えることはなかった。瞬だけが別の世界にいる。
「それでは、この問題の答えは分かりますか? 分かる人は手を挙げてください」
今度は少々難しい質問だったようだ。ちらほらと自信なさげに上がる手が数本。
そんな中、教師は瞬を指した。
「山田君、分かりますか?」
そのとき敬はなぜか教室の空気がピンと張り詰めたのを感じた。
瞬が静かに立ち上がって解を述べる。そして静かに座る。教師が小さく息を吐いた。
「はい正解です。良くできました」
瞬は笑わなかった。
*
「山田瞬の、兄です。今日は代理で来ました。」
「初めまして、担任の大津です。どうぞおかけください」
敬は一番最後だった。大抵の母親が、十分程度で面談を終えて帰って行く。その顔には皆安堵の表情が浮かんでいた。
敬が通されると、教室の一番前に小さな机と椅子が向かい合わせで並べられていた。
向こう側に、ひょろりと背の高い男が立っていた。算数の時間に見事な手腕でクラスをまとめていたのが、瞬の担任だった。
眼鏡の奥に思慮深い光がある。暁を後十年分ほど成長させたような雰囲気がある。子供達にとって、良い兄貴分な先生なのだろう。
「失礼ですが、瞬君とお兄さんは……」
「血のつながりはありません」
「そうですか。あ、不躾にすみません」
「いえ。はっきり聞いてくださったほうがありがたいです」
そう言って敬は作り笑いを向けた。
「僕たちは、施設でたまたま同室になったんですが、ずっと面倒を見ている内に兄弟同然になりました」
「なるほど。三組の山田真君もですか?」
「はい、そうです」
大津は話の出方を窺っていたのだろう。家族関係を聞いたところで、書類を敬の前に並べた。
「これは瞬君が転入してきてからの成績と所見です」
「はい」
「成績は非常に優秀です」
「優秀……ですか」
「ご存じありませんでしたか?」
「成績の話はあまり出たことがなかったので……正直びっくりしています」
「瞬君は大変な努力家です。空き時間にはいつも何かしら本を広げています。辞書や事典の類が中心のようですね」
学校へ通い始める前は、真と瞬と二人で参考書を頼りに独学で勉強していたのを敬は思い出していた。学校という場で、瞬は勉強の幅を広げる術を見つけたらしい。
「そうでしたか」
「えぇ、体育の授業では、運動神経の良さも存分に発揮しています」
大津の話では、瞬の学校生活は良いことづくめだ。だが敬は大津の声に少し陰りがあるのを感じていた。
「先生」
「はい」
「気になることがおありなんですね?」
単刀直入に問うと、大津は眼鏡の奥で目をしばたたかせた。
「……お兄さんは、なぜそう思われるんですか?」
質問に質問で返されたがそれには答えず、敬は大津をじっと見つめた。大津は、ふっと息を継いだ。
「お話しようかどうしようか、ずっと迷っていました」
「問題ですか?」
「いいえ、些細な……表面上は些細なことなんです」
大津は、広げられた書類をまとめてクリップで留め、敬を見た。
「実は先日、クラス内でちょっとした小競り合いがありました。瞬君に対してクラスの男児がちょっかいを出したんですね。ちょうど私が居合わせまして、双方の言い分を聞くことになったんですが、相手側は瞬君に『無視された』『わざと聞こえないふりをする』と言うんです。ところが、瞬君は彼らがその場にいたことすら気づいていなかったようでして」
そしてくすりと笑った。
「女の子達には、瞬君が魅力的に映るのでしょうね。いつも『クラスの男子はガキばっかり!』なんて嘆いていましたから。それがまた男の子には面白くない」
「それでどう……」
「これまた瞬君がまったく相手にしないので、喧嘩にすらならずに終わりました。けれど――」
言い差すと、大津はふと、真剣な顔になった。
「今は些細な小競り合いでも、これが抜けない棘になって、大きないじめにつながることもあります。今はその心配はありませんが……」
年齢が上がって、高学年、中学高校と進むにつれ、事は大きくなるかもしれない。大津は暗にそう言っていた。
「瞬君は……そうですね、上手く言えないんですが……他者に全く興味を示さない、と言えばいいのかな。先ほどの授業でもご覧になって、お気づきになったかもしれませんね」
敬が感じた壁を、大津も感じていたのだ。
「彼は大変真面目です。授業では教師の言葉は一言一句漏らすまいとしています。けれど、授業に参加はしていません。まるで、テレビの講義を聴いているようだ」
教師の言葉に咎めるような響きはない。逆に戸惑っているようにすら聞こえる。
「瞬君は他の児童と純粋に遊ぶ、戯れることをしません。あれくらいの年の子供、特に男の子はまだとても幼いです。女の子の方が早熟ですね。そんな中で、瞬君だけが別の次元にいるのです」
「別……?」
「瞬君は、いつもどこか他の所を見ています。クラスメイトも、教師も、全く目に入っていません」
敬には、瞬が見つめている先に何があるのか、すぐに分かった。瞬が必死に手を伸ばし、守ろうとしている者。
「お兄さんには、お心当たりがあるようですね」
敬は頷いた。話すべきかどうか躊躇ったが、やがて口を切った。
「瞬には兄が居ます。僕たちにとっては弟です。もちろん血のつながりはありませんが……。瞬は早く大きくなって……守りたいと……思っているんでしょう。とても病弱な子なので……」
「病弱、ですか? 本当に?」
敬ははっと顔を上げた。大津の顔が、真正面から敬を見つめている。
「大人を見くびってはいけませんよ」
大津の口調は、保護者対教師ではなく、庇護すべき少年に対するものに変わっていた。
「その子は虐待を受けていますね?」
そう決めつけられて敬は返答に窮した。
こんな大人など適当にあしらってしまえばいい。ひどい勘違いだと鼻で笑ってやればいい。
「ちが……」
「瞬君にも、真君にも、そしてあなたにも、傷らしきものは見受けられませんね。体育の授業中も見ていましたが、瞬君も真君も、服の下に傷跡は無かった」
敬の返事がないのを良いことに、大津は話し続ける。
「その子が一人で虐待を引き受けているのではありませんか?」
「違います……違う!」
敬が叫んだ。
「落ち着いて、お兄さん」
大津が穏やかに言った。
「落ち着いて」
「虐待は、ありません」
「お兄さん――」
「それを認めたら、知られたら、あいつが、悠が、もっと酷い目に……」
そう口に出した途端、恐ろしい情景が現れては消えた。思わず敬は顔を覆った。
「安心して下さい。まだ誰にも知られていないし、私は君たちの味方ですよ」
大津の言葉にも敬はただ首を振るばかりだ。
「君――」
そのとき教室の扉が大きく開け放たれた。
「敬!」
声の主は涼だった。
「お前何されたんだ!?」
「リ、涼? どうして――」
「何泣いてるんだよ! あんた、こいつに何言ったんだ!」
大津に猛然と食って掛かる涼を、敬が後ろから慌てて止めた。
「何でもないって!」
「何でもないことないだろうが! あんまり遅いから覗きに来てみたら、お前泣いてたじゃねぇか」
「いいから、座れッ!!」
敬が怒鳴って、涼を無理矢理椅子に座らせた。小さな椅子が悲鳴を上げる。
「涼」
「何だよ」
「すまない」
「は?」
「所長の……」
敬が言い差すと、涼は目を見開いて、瞬の担任を見た。
「あんた――」
「ちょ、涼、や……」
「るせぇ。おまえは黙ってろ。あんた、なんで――」
「瞬君の言動を見ていれば、分かりますよ」
大津は、穏やかに言った。
「彼は、あまりに必死だ。必死すぎて見ていられないくらいにね。さて……」
大津は改めて書類をまとめると、敬に差し出して言った。
「これで今日の面談は終わりです。ありがとうございました」
「先生、こ――」
「あんた、これからどうするんだ」
敬の言葉に重ねるように、涼が言った。
「心配しないで。ヘタに動くことはしませんよ。でも早めに手を打った方が良いでしょうね」
「やめとけ」
「なぜですか? その悠君のためにも、出来るだけ早く対処すべきだと思いますよ」
大津は穏やかな笑顔で言う。が、涼は硬い表情のまま言った。
「違う、あんたのために言うんだ。俺たちに構うな」
「そう脅されているんですか?」
「あれは、虐待なんて生易しいものじゃない。あんたは、所長の恐ろしさを知らない」
大津は涼の顔をじっと見つめていたが、
「それは追々考えることにしましょう」
と言っただけだった。
*
「お帰りなさい!」
「……おかえり」
敬と涼が部屋に帰ると、二人が出迎えた。
真は少しはにかんだような笑顔で、瞬はまるで興味がなさそうな顔でいる。
「ただいま」
先ほどの面談の最低な気持ちを引きずらないよう、敬は口元に力を込めて笑った。帰り道で涼に面談のあらましを話して聞かせたが、子供達にはとりあえず何も知らせずにおこうと決めたのだった。
「ね、どうだった? 先生のお話」
真が聞くと、涼が笑って言った。
「おまえ、注意力散漫だって」
「えー。そんなことないよぅ」
「毎日毎日必ず一つは忘れ物してきてますって言われたぞ」
「うぅ、それは……否定できません」
「だから、ちゃんと前日に準備をして、出かける前にもう一度確認をするようにって」
「はぁい」
「でも、それ以外の事はすごく褒められた。明るくて親切で、とてもよく出来た弟さんですね、だってさ」
涼が言うと、途端に真が満面の笑みを浮かべた。
「えへへ、良かった。あ、瞬の方はどう――」
「敬」
瞬が小さな声で敬を呼んだ。ここのところ、ほとんど視線を合わせることがなかった瞬だが、今日はまっすぐに敬を見つめている。
「何か、言われた?」
「うん? いや特には……」
「本当に?」
珍しく瞬が食い下がった。
「なんだなんだ、知られちゃまずいことでもあったのか?」
敬が茶化して言うと瞬が少し頬を染めてそっぽを向く。
「そんなんじゃ、無いけど……」
「先生、お前のことものすごく褒めてたぞ。成績優秀だし、真面目だし、しっかり者で女の子達からも人気があって」
「……」
そんな褒め言葉も、瞬の心には余り響かないらしい。疑わしそうに敬を見つめるだけだ。
「信じないのか?」
敬が笑うと、ようやく瞬がほっと表情を緩めた。
「敬が」
「うん?」
「僕の不出来で責められたら……イヤだったから……」
「瞬」
「ごめん、今日は、ありがとう」
そう言って瞬は二人に頭を下げた。慌てて真もそれに倣う。
敬は不覚にも、ぐっと言葉に詰まってしまった。さっきの涙がまた溢れそうになる。
いつも、瞬はそうだった。表面上はつっけんどんになっても、中身は以前と同じ、優しくて生真面目で、愛情に溢れた瞬のままだ。
「他人と関わりを持て」なんて、言葉で言うのは簡単だ。でも、自分たちにはそうできない理由が多すぎる。今のままで良い。瞬が、真が、このまままっすぐに成長してくれるのなら、何も変える必要などない。
「ふたりとも、俺たちの自慢、の、弟だよ」
変に引っかかったような声になってしまった。後ろで涼がぷっと吹き出した。
「笑うな!」
「違う違う、そうじゃなくて、お前泣きすぎ」
そう言って、タオルを投げて寄越した。
「最近のお前はマコより泣くよなぁ」
「しかたないだろっ! みんなが泣かせに来るから……」
「えー僕たちのせいー?」
「うるせぇっ!」
そんな敬を見て、真と瞬は、少し面映ゆそうに顔を見合わせて笑った。久しぶりの、瞬の笑顔だった。
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