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(二)砂漠の国フッサール王国の料理長フコックの証言
殿下のお話をわたくしめに聞かれたいと申されますか。
確かにわたくしは殿下と親しくさせていただいております。どうも殿下は料理に深い興味をお持ちでいらっしゃるようで、度々厨房に足を運ばれるものですから。そのついでに料理の仕方を教えて欲しいと乞われれば、わたくしといたしましても悪い気はいたしません。他の王族の方々はわたくしどものような仕事には興味を持たれませんので、ついつい嬉しくて応じてしまいます。
ええ、お手伝いもしていただいております。
とはいえ火傷でもなさられて、お身体に傷が残りますと大事です。わたくしの首が飛んでしまいかねませんので、殿下のお手伝いは、ジャガイモの皮むきや食材の荷運び、仕上げの盛り付けといった簡単な作業に限っております。
あまり国王陛下や他のご兄弟に構われないお方ですので、寂しさを感じておられるのでしょう。年齢的にわたくしと国王陛下が近いことも関係しているかも知れませぬ。一介の使用人風情にしては余りあるほど懐いていただいております。
え? アスラン殿下に意中の方はおられるのか、ですか……?
……そういったお話は殿下の口からは訊いたことがございませぬ。と、いうより、考えたこともございませんでした。
殿下のお人柄をどこまで卿がご存じかは存じませぬが、成人したとはいえ、まだまだ稚いお方です。もしかすると恋心というものが、どういったものかすらわかっておられないのではないでしょうか。何せ、女性の使用人にも無邪気にスキンシップを求めるようなお方ですので……。
一番アスラン殿下と親しい女性の使用人ですか。
それでしたら召使いのエルシャではないでしょうか。年齢が近いこともあってか、よく一緒にいるのをお見掛けしております。
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