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別荘

 長きにわたる辺境での戦闘と、ディアスの私室という名の檻。マイトにとって、ブラックシールドの帰港は、久方ぶりに吸う外の空気のようなもので、少し浮かれていた。  艦が巨大な宇宙港へと停泊し、重厚なハッチが開かれる。初めて目にするこの星の風景は、マイトの故郷とは違う、冷たくも洗練された美しさを湛えていた。 「ここはオレの根城だ。君を連れて行く場所は、あそこに見える岬の頂上だよ」  ディアスは、街にいこうとしている様子のマイトを見つけ、マイトの腰を引き寄せ、耳元で密やかに告げた。その声には、公の場では決して見せない、所有者特有の甘い響きが含まれている。 「あ?俺はゆっくりしようかと……別荘、か」  マイトは周囲の喧騒と、ディアスの香りにつつまれ少しだけ眩暈を覚えた。 しかし、ディアスはマイトの微かな戸惑いを見逃さない。彼は人目を気にすることなく、マイトの顎を指先でくいと持ち上げ、その瞳を覗き込んだ。 「そう。一週間の休暇だ。……艦のブリッジを離れて、オレと二人きりで過ごそう」  ディアスはいつもの冷酷な船長の仮面を被りつつ、その瞳の奥には、マイトを逃がさず、独占し続けるための濃厚な欲望を灯していた。彼はマイトの首筋にそっと唇を寄せ、甘く囁く。 「……いいかい、マイト。この一週間、オレの別荘でゆっくりと過ごすんだ。……君が望むなら、どんなわがままも聞いてあげる。……もちろん、私のベッドの上で、君がオレをどれほど求めているかを見せてくれるのならね」  マイトの自由を許さない、甘く、しかし決定的な支配を告げる言葉。 マイトはディアスの腕の中で、拒絶すべきか、あるいはこの甘美な誘惑に沈むべきか、思考が揺らぐのを感じた。 「……本当に、休暇なんだろうな。アンタ、また俺を……」 「何の話だい? ……君が疲れているなら、それは何よりも私が癒してあげたいんだよ。さあ、行こう。もちろん、君がオレの別荘で、淫らに時間を過ごしたいなら、それだけでも構わないよ。今から楽しみで仕方がないんだ」  ディアスはマイトの抗う言葉を遮り、エスコートするように彼を艦外へと連れ出した。  一週間の休暇。 それはマイトにとって、戦艦という枷から解放される時間だと思っていたが、ディアスという絶対的な支配者は解放するつもりはないようだ。  マイトはディアスに引かれるままに、未知の土地へと足を踏み入れた。

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