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禁断症状

ブラックシールドの最深部、船長専用の執務室。 ディアスはデスクに肘をつき、手元のホログラムを眺めながらも、その意識は完全に別のところにあった。 ――四日前。ディアスはあえてマイトに、副官として個人部屋を与えた。 これまで同じ部屋で寝食を共にしていたが、すぐ手の届く場所にマイトがいると、ディアスの方こそついつい我慢がきかず、毎夜のように自分から手を出してしまっていた。 マイトを徹底的に快楽の中毒にさせ、自分の肉体なしでは生きられないように調教していく過程で、ディアス自身もどこかその甘美な泥沼に溺れ、一種の恋愛脳とでも呼ぶべき狂おしい熱に浮かされていた。 だからこそ、一度突き放す必要があった。 「君も今は副官だからね。ちゃんと部屋くらい用意したよ。虜囚ではもうないと、体面も大切にしよう」 「別に、俺不自由してねえよ?」 きょとんとした目を向ける。 「体面だよ。体面。それとも、オレがいないと体が寂しいかい?それなら、君が自らその下品な身体を揺らし、顔を真っ赤にしてオレを求めに来ればよいだろ。いつでも待っているよ」 煽るように、そう宣言して部屋を分けた。 マイトはオレの言葉に、ちょっと意地になったように部屋を出て行った。 あそこまで完璧に仕込んだのだから、早ければその日の夜、遅くとも翌日には、禁断症状に泣き叫ぶ犬のように自ら部屋のドアを叩くはずだと確信していた。しかし、一日目が過ぎ、二日目が過ぎ、三日目が過ぎても……マイトは来なかった。 おや、思いのほか辛抱強い。あるいは、あのガキ並みのプライドがまだ意地を張らせているのかな 昼間の職務中、すれ違うマイトの様子を観察すれば、彼は明らかに落ち着きがなかった。 歩き方はどこかぎこちなく、内側から疼く熱を堪えるように何度も下腹部を押さえては、ディアスと目が合うたびに顔を真っ赤にしてフイっと逸らす。限界なのは一目瞭然だった。 いつもはディアスから触れられ、否応なしに中を満たされていたのに、それがぷつりと途絶えた。内側の粘膜が干からびるほどに焦がれているその甘美な拷問に耐えかねているにもかかわらず、マイトは意地でもディアスの部屋へ足を向けようとしなかった。 さすがのディアスも、4日目となるとその完璧な美貌の裏で、ほんの少しの焦れ狂うような加虐心を燻らせていた。 今夜も来なければ、こちらから部屋へ押し入って、あの生意気な身体を引き裂くようにお仕置きしてやろうか――そう冷酷な算段を立てていた、その時だった。 シュィン、と静かに執室の自動ドアが開いた。 「……あ」 そこに立っていたのは、マイトだった。 軍服のボタンをいくつか掛け違えたまま、酷く荒い息を吐いている。 その褐色を帯びた肌は、耳の裏までこれ以上ないほど真っ赤に熱く火照り、潤んだ瞳は今にも涙が零れ落ちそうだった。 完全に限界だった。四日間、一度も満たされることのなかった狂おしいほどの渇き。 いつもはディアスから甘く強引に手を出してくれていた、あの中毒のような愛撫の時間が奪われた絶望が、ついに海賊の意地を木っ端微塵にぶち壊したのだ。 マイトは繋がれてもいない自分の両手を所在なさげに震わせ、ドアに背中を預けたまま、消え入りそうな声で絞り出した。 「……くそ……っ、なぁ、ディアス……っ。お前、まじで、最悪、だよ……っ」 ディアスはデスクからゆっくりと立ち上がり、底知れない愉悦に満ちた綺麗な笑顔を浮かべた。 「おや、四日もオレを放っておいて、最初の一言がそれかい? 待ちくたびれたよ、マイト。……それで、オレの部屋に何の用だい?」 わざと冷たく突き放すような言葉。 それが、マイトの張り詰めていた理性の糸を完全に切断した。 「……っ、へ……あは、っ、もう……! 用なんか、最初からっ、分かってんだろ……ッ! 四日も、オレのなか、あんたのが入ってねえから……っ、寂しくて、おかしくなりそうなんだよ……っ!」 マイトは自ら衣服のベルトに手をかけ、はだけた布地から覗く肌を真っ赤に染めながら、涙をボロボロと溢れさせた。そしてガタガタと震える膝のまま、ディアスの足元へと縋り付いた。 「ほら、見ろよディアス……! お前がしつけたここ、四日も、ずっと……あんたのを欲しがって、ひくひく蠢いてんだ……っ! お願いだから……早く、オレをめちゃくちゃにしてくれよぉ……ッ!!」 完全に降伏し、潤んだ最奥を自ら晒して愛を乞う、最高に下品で素直なオレの玩具。 ディアスはその無様で淫らな狂態に暗い歓喜を滾らせた。マイトを快楽の奴隷にしていたはずの自分が、再びあの狂おしい熱に侵されていくのを感じながら、床に伏せるマイトの金髪を乱暴に掴み上げて、じっと見据えた。

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