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お留守番 おかえり

差し込む鋭い朝の光が、高級な寝室のシーツを白く照らしていた。 マイトの長い睫毛が微かに震え、ゆっくりと現実の意識が浮上してくる。 「……う、あー……。や、ば、頭が、割れそうだぜ……」 ズキズキと痛むこめかみを押さえながら、マイトは褐色の身体をのそのそと起こそうとした。 だがその瞬間、腰の奥から走った凄絶な痺れと、下腹部にずっしりと残る「種」の余韻に、思わずベッドへ崩れ落ちる。 そして、肉体の感覚が戻ると同時に、昨夜……いや、この三日間の記憶が、怒涛の濁流となって脳内にフラッシュバックした。 ちょ、と、待て。オレ、昨日、なんて言ってたっけ……? 『ディアス……ちんぽ、最高だった……』 『オレ、ディアスのめすおまんこだから……だいしゅきぃぃッ!』 「ありえ、るか……う、嘘だろ……ッ!?」 自分の口から出たとは信じられない、限界まで知性を溶かされた幼児のような淫らな叫び声。あのプライドも、副官としての理性もどこへやら、主人の名前とペニスの単語だけで完全に脳みそを焼き切られていた無様な自分の姿が、鮮明に蘇ってくる。 「おいおいおい、マジかよ……! あんな、ガキみたいな鳴き方……っ。いくら羞恥心を忘れたからって、限度ってものがあるだろ……ッ!!」 マイトは顔を真っ赤に引っくり返し、両手で頭をガシガシと抱え込んだ。 あまりの恥ずかしさにベッドの上でのたうち回りたい衝動に駆られるが、動くたびにナカからとろりと溢れ出る「昨夜の大量の種」が、あれが現実だったことを容赦なく突きつけてくる。 「おや、ずいぶんと賑やかな目覚めだね、マイト」 不意に、部屋の入り口から、鈴の音のように冷酷で美しい声が響いた。 ハッと顔を上げると、そこにはすでに完璧に軍服を着こなし、いつもと変わらぬ優雅さでコーヒーカップを傾ける主人――ディアスの姿があった。アイパッチの奥の黒い左眼が、ベッドの上で頭を抱える愛玩物を、愉しげに、そして深く愛おしげに見つめている。 「昨日あれだけオレを求めて啼き狂っていた『めすおまんこ』が、朝になるとずいぶんと元気に吠えるじゃないか。まだナカのジェルは残っているかい?」 ディアスの意地悪な囁きに、マイトは耳の裏まで真っ赤に染め上げながら、けれど悔しがるどころか、いつものカラッとした野生味のある笑顔で主人を睨みつけた。 「るせぇよ、このクソちんぽ野郎!! あんた、あのジェルに一体何を混ぜやがったんだよ! 三日もガチガチに監禁して焦らした挙げ句、あんなブーストかけられたら、誰だって頭のネジが全部吹き飛ぶわ!」 「おや、クソちんぽ野郎、かい? 夕べはあんなに嬉しそうに、オレのその『クソちんぽ』を貪り尽くして、大好きだと連呼していたというのに。言葉も喋れないほど蕩けていた君は、本当に最高に愛らしかったよ」 「あーーー!! 言うな! 思い出すだけで脳みそが沸騰しそうだわ!」 マイトは叫んで枕に顔を埋めたが、すぐにバッと顔を上げると、ガシガシと金髪を乱暴に掻き鳴らした。 男としてのプライドを完膚なきまでにぶち壊され、知性すら失ってメスとして屈服させられたというのに、その表情には悲壮感など微塵もない。 「……まぁ、でもさぁ」 マイトはへらっと、大雑把に開き直った笑みを浮かべた。蒼い瞳を爛々と輝かせ、己の最奥に残る凄絶な陶酔の余韻を噛み締めるように呟く。 「死ぬほど気持ちよかったな、マジで」 「おや」 「恥ずかしさはヤバいけどさ、あの三日間の生殺しの後に、身体ごと本物のメスにされて、あんたの最高ので中身をズタズタにされるの、脳汁がブチ溢れるくらい極上だったわ。あんな凄いの味わえるなら、頭のネジが何本か飛んでアホになるくらい、安いコストだろ!」 ハハッと屈託なく笑うマイトは、悪態をつきつつも、どこまでも前向きに「おちんぽ中毒の贅沢な犬」としての現状を全肯定してみせた。 その楽観的な精神性と、本能で甘えきっている愛らしい姿に、ディアスの完璧な美貌の裏で、さらに深い独占欲がとろりと溶け出す。 「それでこそオレの可愛い犬だな。……それだけタフなら、今夜もまた、そのお口が『ちんぽ』しか言えなくなるまで、わからせてあげようか?」 ディアスはいつものように冷酷な追撃の言葉をかけるのではなく、一瞬だけ意外そうに目を見張った。限界まで知性を溶かされ、あれほど無様に啼き狂った翌朝だというのに、恥ずかしがりながらも「コスパがいい」とケラケラ笑うマイトの桁外れのタフさに、今度こそ完全に調子を狂わされたのだ。 「じゃあ、わからせてもらうかな!がんばれ、ご主人様」 「……ふっ、あははは、本当に淫乱で飽きさせない犬だよ、オマエは」 「へへ、最高の褒め言葉として受け取っとくわ」 マイトはシーツを体に巻き付けたまま、ずるずるとベッドの上を這い寄ってディアスの膝に頭を預けた。夕べは「ちんぽ」しか言えなかったが、今はもういつもの人懐っこい笑顔で、主人に甘えるように見上げている。 「ほら、そんなにオレが愛おしいなら、その美味そうなコーヒー一口くれよ、ご主人様。喉がガラガラなんだわ」 「甘えん坊な犬だ。夕べあれだけオレの愛液を喉の奥まで注ぎ込まれたというのに、まだ渇いているのかい?」 ディアスは呆れたように息を吐きつつも、その黒い瞳にはドロドロとした深い愛おしさが満ちていた。自らコーヒーを一口含むと、マイトの顎を掬い上げ、その唇を優しく塞ぐ。 「ん……、んぐ……」 苦く、けれど温かい液体が、ディアスの舌を通じてマイトの口内へと流し込まれる。濃厚な大人の抱擁のような口づけの最中、マイトのナカが微かにキュウッと切なく締め付いた。 唇が離れると、ディアスはマイトの口元についた一滴を親指でそっと拭い、スッと昼の「首領」の冷徹な表情へと戻した。 「さあ、もうすぐ昼の執務の時間だ。早くその身体を洗い流して、優秀な『副官』の顔に戻りなさい。昼の間は、オレも君を完璧な右腕として扱ってあげるからね」 「へいへい。昼は真面目な副官、夜はあんた専用のめすおまんこ、か。ギャップで頭がバグりそうだけど……了解、船長」 マイトは腰の激しい痛みに顔をしかめつつも、ベッドから這い出ると、全裸のまま不敵な笑みでビシッと敬礼してみせる。 そのどこまでもへこたれない、けれど完全にディアスの鎖に繋がれた背中を見送りながら、ディアスは夜の帳が降りる時間を、いまから酷く待ち遠しく思うのだった。

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