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残り火
品評会で大勢の視線に晒され、頭のネジが盛大にぶち飛んでから数日が過ぎた。
ブラック・シールドの艦内、艦橋や通路を歩くクルーたちの目が、以前とは少しだけ違って見える気がする。気のせいかもしれないが、すれ違いざまに自分を見る整備士や部下たちの視線が、どこか意味深で熱を帯びているように感じられてしまうのだ。
「くそっ……。あのとき、大勢の前であんなに啼きまくったせいか? ッ、自意識、かじょ…!」
タイトな軍服のズボンを穿いた下半身は、そんな他人の視線を想像するだけで、じわじわと熱を帯びて勝手に疼き出す。
かつては戦闘の興奮だけでギンギンに研ぎ澄まされていた神経が、今や「大勢に見られる背徳感」と「主人の熱に溺れた記憶」によって、完全に別の方向へとバグり切っていた。
午前中の作戦確認や艦内の巡回をどうにかこうにか終えたマイトは、書類の束を抱えたまま、ふと時計を見た。まだ昼過ぎだというのに、下腹部の奥――あの品評会でたっぷり仕込まれた感覚の残響が、ズキズキと脈打ちするように主張している。
「やべぇ、マジで頭おかしくなりそうだ……。夜まで待ねぇとやばいってのに、もう脳みそがトロトロじゃねぇか……っ」
我慢の限界を迎えたマイトは、抱えていた書類の束を近くの通路の自動ラックに放り投げると、足早に――いや、ほとんど駆け足でディアスの執務室へと向かった。
重厚な自動ドアの前に立った瞬間、センサーがマイトの熱気を察知したのか、扉がスッと音もなく開いた。
いつもなら、優秀な副官としてノックをしてから静かに入るところだが、今のマイトにそんな理性的で上品な真似はできない。
「はぁ、はぁ……っ……おい、ディアス!」
ガタッと激しくドアを開け放ち、マイトは執務室に転がり込んだ。
デスクの向こうで優雅にホログラムの艦隊図を眺めていたディアスが、ピタリと動きを止めて顔を上げる。その冷徹で美しい黒曜石の瞳が、荒い息を吐き、頬を真っ赤に染めたマイトを捉えた。
「おや、マイト。午前中の巡回はまだ終わっていないはずだがね。勤務の最中に、オレの部屋へ何の用だい?」
ディアスが冷たく、しかしどこか底意地の悪い笑みを浮かべて問いかける。きっと理由なんて言わずもがな。
その端正な顔立ちと、かすかに漂う優雅な香水の匂いが、マイトの理性のタガをさらに盛大にブッ飛ばした。
「勤務なんて知るかよ……っ! 昼間から、こんな時間から、お前のせいで俺の頭も身体もめちゃくちゃなんだよ!」
マイトは書類棚に背中を預け、ハァハァと荒い息を吐きながら、自分の革ベルトに手をかけた。
カチャリと金具を外す音が、静かな執務室にいやらしいほど大きく響く。
「なぁ、ディアス……。昨日も一昨日もたっぷり可愛がってもらったってのに、なんかもうダメだ。昼間なのに、外歩いてるだけで他の野郎どもが俺のカラダ見てるような気がして、勝手にビクビク疼いてやがる……!」
「――ふむ。他の男の視線が気になると? あの品評会で衆目に晒された快感が、すっかり君の神経に染み付いてしまったようだな」
ディアスはふっと艶やかに微笑むと、デスクからスッと立ち上がった。その滑らかな足取りで、狂犬の元へとゆっくり歩み寄る。
「当たり前だろ……ッ! あんな大勢の前で、お前の玩具だって叫んで、めちゃくちゃに突かれまくった記憶が、脳ミソから消えねぇんだよ! 夜まで待とうと思ったけど、もう無理だ。……なぁ、ご主人様、俺のこのトチ狂ったカラダ、今すぐここでぐちゃぐちゃにしてくれよ!」
マイトは恥ずかしがるどころか、蒼い瞳を爛々と歓喜に輝かせ、自ら軍服のズボンと下着をまとめて足首まで下ろした。
昼下がりの明るい陽射しが差し込む執務室の床に、すでにぐっしょりと濡れそぼった結合部を晒したまま、マイトは尻尾を振る大型犬のように嬉しそうに腰を突き出す。
「ほら見ろよ、ディアス! 執務室の鍵はちゃんと閉めたから誰も来ねぇよ……! 真昼間から、副官がサボってご主人様におねだりしてんだぞ、たっぷりお仕置してくれよ!」
プライドも羞恥心もすべてを笑い飛ばし、ただディアスの熱だけに溺れたくて尻を振るマイトの姿に、ディアスの黒い左眼が獰猛な光を帯びて歪んだ。
「本当に、救いようのない可愛い犬だね。いいだろう、昼間の勤務をサボった極上のご褒美と特別授業だ……今すぐ、その頭の芯までオレの形に染め上げてあげよう、マイト」
冷徹な支配者の仮面を脱ぎ捨てたディアスが、狂気に満ちた熱を孕みながら、自らの手で愛犬の身体を力強く抱き寄せた。
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