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戦闘機デート
警告音がコックピット内にけたたましく鳴り響いた。前方の宙域に、巨大な小惑星群――デブリ帯がその姿を現したのだ。
通常のパイロットなら即座に減速し、迂回ルートを探す場面である。しかし、狂気に染まったハニーエンジェル号は違った。
「おや。道が塞がれているようだが? どうする、マイト。減速してオレの腕の中で啼くことだけに専念するか?」
ディアスがわざとらしく耳元で囁き、同時にマイトの腹部に添えていた指先で、皮下にある玩具のスイッチを最も凶悪な振動パターンへと切り替えた。
「んぎぃいッ!? ぁ、あ、あああッ!」
急激に跳ね上がった内側の快感に、マイトの身体がビチビチと魚のように跳ねる。だが、その手は決して操縦桿を離さない。それどころか、蒼い瞳に戦闘機乗りとしての獰猛な光と、被虐の悦びを入り交じらせてニィッと笑った。
「げ、減速なんか……っ、するわけ、ねぇだろ……ッ! ディアス様に見せたい景色は、この先にあるんだからさぁッ!!」
マイトはスロットルをさらに押し込み、機体ごと小惑星の群れへと突っ込んでいった。
「あははははッ! 行くぜご主人様ッ、しっかり俺に掴まっててくれよぉッ!」
右へ、左へ、上へ、下へ。
機体は常軌を逸した旋回とロールを繰り返し、岩塊の隙間を縫うように突き進む。その度に発生する暴力的なGが、マイトの体内にある玩具をぐりぐりと最も過敏な粘膜に押し付けた。
「ひ、あ゛っ! ぐ、ぅあぁっ! Gで、Gで奥がっ……勝手に、突かれてるみたいでっ……!!」
「素晴らしい操縦だ。だが、腰が浮いているぞ。もっとオレに押し付けろ」
ディアスはマイトの腰を両手でガッチリと掴み、機体の揺れに合わせてわざと彼を自身の硬い大腿に打ち付けるように固定した。
宇宙空間の死と隣り合わせのドッグファイトの中で行われる、容赦のない蹂躙。
極限の集中力で機体を操る「天才パイロット」の脳髄を、最底辺の「雌犬」としての快楽が焼き尽くしていく。マイトの口からはもはや言葉にならない涎と喘ぎ声だけが垂れ流され、コックピットの計器類を照らす光の中で、その顔は完全に快楽にだらしなく蕩けきっていた。
前方、ひと際巨大な二つの小惑星が衝突し、その間に針の穴を通すような僅かな隙間が生まれた。
「……抜けられるか、狂犬。あそこを抜けたら、イかせてやろう」
ディアスの冷たくも甘い命令が下る。
「――ッ!! やる、やるぅッ!! 俺が、ディアス様の専用機だぁああッ!!」
マイトは魂の底から絶叫し、機体を錐揉み回転させながらその極小の隙間へと突入した。
機体の装甲が岩肌を掠め、火花が散る。しかし、ハニーエンジェル号は寸分の狂いもなく、死の回廊を突破した。
そして、小惑星帯を抜けた先――そこには、見渡す限りに広がる息を呑むような星雲の海が広がっていた。
「ふふ、よくやった。ご褒美だ、マイト」
ディアスが首輪を強く引き、腹部の玩具を最大出力で押し上げる。
「あ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁッッ!!!」
マイトは操縦桿を握りしめたまま、全身を弓なりに反らせて特大の絶頂を迎えた。
眩い星雲の光に包まれたコックピットの中で、マイトの身体はビクビクと痙攣し、放心状態のままディアスの胸へと沈み込む。
自動操縦に切り替わった機体は、静かな星の海を滑るように進んでいく。
「はぁ……っ、はぁ……っ、でぃあ、す、さま……っ、景色、きれいでしょ……?」
白目を剥きかけ、だらしなく口端を濡らしたまま、マイトは誇らしげに――そして最高に幸せそうに見上げてくる。
ディアスはその汗ばんだ前髪を優しく撫で上げ、狂気に満ちた自慢の愛犬の額に、深い口づけを落とした。
「ああ。だが、どんな星空よりも、オレの腕の中で啼き叫び、壊れるお前の顔が一番美しいよ、マイト」
「えへへ……っ、俺も、ディアスが一番……だいすき……」
ハニーエンジェル号が母艦ブラック・シールドの格納庫へと帰還し、シューッという排気音と共に重厚なハッチがゆっくりと開かれた。
コックピットの中で、マイトはシートに沈み込んだまま、ピクリとも動けずにいた。
極限の死地を神業で潜り抜ける「極度の緊張」と、逃げ場のない密室で絶え間なく与えられ続けた「致死量の快感」。
相反する二つの極大刺激を同時に叩き込まれたマイトの脳髄は、文字通り完全に焼き切れていた。
「あ……ぅ、あ、あ……ん、へへ……っ」
焦点の合わない蒼い瞳は虚空を彷徨い、だらしなく開いた口元からは、ツーッと透明な涎が糸を引いてこぼれ落ちている。かつて銀河を震え上がらせた「無影の旋風」の面影は微塵もなく、そこにあるのはただ、主人の愛で壊れ果てた肉の人形だった。
「ふむ……。少しばかり、可愛がりすぎたかな?」
自身の乱れた服を優雅に整えながら立ち上がったディアスは、コックピットで白痴のように微笑むマイトを見下ろし、底知れない暗い愉悦に唇を歪めた。
マイトの身体はビクンと大きく跳ね、シートから崩れ落ちるようにしてディアスの足元へ転がり出た。
「ひぅっ!? あ、あ、あ、でぃ、でぃあす、さま……っ、おれ、おれ……っ」
「無理に喋らなくていいよ、マイト。君の頭のネジが、もう一本も残らず吹き飛んでしまったことは見ればわかる」
膝に力が入らず、立ち上がることすらできないマイト。彼は床を這い、すがりつくようにしてディアスのブーツに頬を擦り付けた。脳がショートし、まともな思考が一切できない状態にあっても、彼の本能だけは「ディアスに服従すること」だけを絶対の真理として刻み込んでいるのだ。
格納庫で待機していた整備士やクルーたちは、帰還した船長と副官の姿を目にして息を呑んだ。
あの荒々しく猛々しかったマイト隊長が、完全に正気を失い、恍惚とした表情で船長の足元に縋り付いている。そのあまりにも異常で、甘ったるい狂気に満ちた光景に、クルーたちは恐怖と哀れみが入り交じった視線を向けつつも、慌てて目を逸らし、直立不動で敬礼をした。
「……見ろ、マイト。皆が君を出迎えているぞ。君のその素晴らしい操縦技術と、オレの腕の中で啼き叫んで壊れたその無様な姿を、皆が賞賛してくれている」
「あは……は、っ、んへへっ……みんな、見てる……っ。俺、ディアスっ。すっごく、きもちよかったの……っ」
周囲の視線など、今のマイトにはディアスの愛を証明するスパイスにすぎない。
完全に羞恥心を失い、痴態を晒すことを喜ぶ狂犬の頭を、ディアスは満足げに撫でた。
「えらいぞ、マイト。本当に君は、オレの想定をいつも超えて、どこまでも美しく壊れてくれる」
ディアスは床に這いつくばるマイトを抱き上げると、まるで戦利品を見せつけるかのように、腕の中にすっぽりと収めた。
極度の疲労と快感の余韻で首すら座らないマイトは、ディアスの胸にぐったりと頭を預け、甘ったるい体臭と香水の匂いに包まれて安心しきったように目を閉じる。
「さあ、部屋に戻ろうか。君のその焼き切れた脳みそが、これ以上オレ以外のことを考えられないように……朝までたっぷりと、復習の続きをしてあげるよ」
「……んぅ……っ、はぁい……っ、ディアスだいしゅき……っ」
周囲のクルーたちが畏怖の念に打たれて道を空ける中、ディアスは完全に自身の所有物となった愛犬を抱き抱え、悠然とした足取りで格納庫を後にした。
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