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※まな板のコイビト(注 猟奇)

14日間の完全欠損治療から1ヶ月。 ナノマシンで完璧に再生された手足はすっかり肉体に馴染み、マイトはスイートルームの贅沢な絨毯の上で、元気そのものに身体を動かしていた。 まだ仕事には戻らなくていいよとのディアスの言葉に甘え、ディアスの足元に転がり、その革靴に頬をすり寄せたり、直ったばかりの両腕で太ももに抱きついたり。「よしよし」と頭を撫で回されるたびに、マイトは喉を「ゴロゴロ」と鳴らして甘えていた。 完全に濃密な愛玩生活に戻っていた、まさにその時。 ディアスが手袋を外した白く美しい指先で、マイトの滑らかな首筋を愛おしそうになぞりながら、まるで「今日の夕飯は何にしようか」とでも言うような軽やかさで、残酷な言葉を口にした。 「ふふ、すっかり手足も元通りだね、マイト。……じゃ、また切ろうか」 「あ?えぇっ!?」 足元で甘えていたマイトは、あからさまに情けない声を上げて固まった。 蒼い瞳を大きく見開き、首だけを横に振ってディアスを見上げる。 「ちょっと待てッ! ディアス様、今サラッと何つった!? 『また切ろうか』って言った!? 1ヶ月経って身体が馴染んだ途端に!?」 無邪気すぎる狂気の提案 「何だい、そんなに驚いて。また切る約束はしていただろう?」 ディアスは実に愉しげに目を細めると、屈んでマイトの顎をすくい上げた。 その美貌に浮かんでいるのは、虐待や殺意といったドロドロしたものではなく、新しいおもちゃを試したくてたまらない子供のような、圧倒的に無邪気で純粋な笑顔だった。 ディアスはマイトの耳元へ顔を寄せると、甘く、溶けるような声音で信じがたい実験プランを語り始めた。 「今度はね……ポッドの培養液につけてから、再生の『途中』で出して遊びたいんだよね」 「……は?」 マイトは思考が完全にフリーズした。 「だってそうだろう? 完璧に手足が生え揃うのを14日間も待つのは、オレとしても少し退屈だしね。手足が半分だけ生えかけた状態……皮膚や骨がまだ不完全で過敏になっているお前を、途中でカプセルから引き揚げて抱いたら……きっと、たまらなく可愛い顔で泣いてくれると思わないかい?」 「……っ!!」 マイトの背筋を、ドッと冷や汗が駆け抜けた。 培養液の途中で出し……あ、頭おかしいんじゃねぇのこの人ッ!?いや、おかしいのは知ってる。 だいたい再生途中の手足や皮膚なんて、神経が剥き出しで生焼け状態のようなもの。そんな状態でカプセルから出されて触られたら、一体どれほどの狂おしい激痛と過敏な快楽が襲ってくるか、考えただけでも頭のネジが飛びそうだった。 生殺しの恐怖と、抗えない美貌 「おい……おい待てよディアス様ッ! 途中って何だよッ!? 俺を半生の状態で出すってことかよッ!?」 マイトは必死でディアスの膝に腕を乗せ、必死の形相で抗議した。 「そんな生殺しみたいなことされたら……ッ! 激痛と過敏さで、俺の脳ミソ本気で焼き切れるぞッ!? 治りかけの神経弄るとか、絶対一番痛ぇし一番ヤバい奴じゃんッ!!」 「ふふ……大丈夫だよ。脳が焼き切れたら、またナノマシンで脳の回路を繋ぎ直してあげるからね」 「そういう問題じゃねぇよバカ、ナノマシンで全部解決とか、すんな!!」 心底楽しそうに微笑むディアス。 だが、ディアスは抗議するマイトの頭を、手袋を外した温かい手のひらで、優しく、何度も何度も「よしよし」と撫で下ろした。 「お利口だね、マイト。怯えた顔も最高にかわいいよ。……大丈夫、お前がどれだけ半生の状態になろうと、オレが愛おしく抱きしめて、最後は完璧に治してあげるからね」 あ……あぁ……っ! 頭を撫で回す大きな手のひらの温度。 そして、目の前にある息を呑むほど美しく、自分への狂おしい執着に満ちたディアスの笑顔。 その「甘い毒」を直接脳内に注ぎ込まれ、マイトの警戒心はあっさりと溶かされていった。 マイトは深々とため息を吐くと、頭を抱えてガクッと肩を落とした。 シラフの頭で「絶対ヤバい」「絶対痛い」と理解していながらも、結局はこの美貌の暴君のおねだりを拒絶することなんてできやしないのだ。 「……あーもうっ! 分かったよ、分かりましたよッ!!」 マイトは豪快に自分の服の襟ぐりをバッと引っ剥がすと、不機嫌そうなドヤ顔でディアスを見上げた。 「培養液の途中で出して遊ぶなら遊べよッ! その代わりなッ!! 半生の俺が痛くて頭バグって泣き叫んでも、絶対にほおり投げるなよッ!? 途中で出した責任取って、頭がおかしくなるまで俺のこと愛しまくれよなッ!!」 「くははっ! やはり最高の恋人だよ、マイト。ああ、約束しよう。お前が二度と正気に戻れなくなるくらい、たっぷりと愛してあげるよ」 暴君の愉しげな爆笑が部屋いっぱいにに響き渡った。 恐ろしい拷問のような提案すら、主人の無邪気な美しい笑顔とおねだりで、マイトには極上の愛のイベントへと上書きされてしまっていた。

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