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※まな板のコイビト(注 猟奇)
身体をささえられ、寝室へ向かい、マイトは再生したばかりの力強い両腕がディアスの背中に回す。
折れんばかりの力でガッチリとロックされる。さらに両脚もディアスの腰に固く絡みつき、二人まとめて贅沢な絨毯の上へと倒れ込んだ。
マイトはディアスの胸板に体重のすべてを預け、骨が軋むほどの強烈な力でディアスを強く、強く抱きしめた。
「おっと……本当に、容赦のない力強さだね」
ディアスが倒れ込んだ態勢のまま、可笑しそうに胸を揺らして微笑む。
だが、マイトはディアスの首筋に涙とよだれで濡れた顔を強く擦り付けながら、そのまま至近距離でディアスの蒼い瞳を真っ直ぐに睨みつけた。
「なぁ、ディアス様!! 約束通り、完璧に直ったこの腕で抱きしめてやったぞッ!! だからな……もう身体を切るの、絶対に『なし』だ!!」
「……『なし』かい?」
「そうだ、『なし』だッ!!」
マイトはあからさまに口を尖らせ、けれど絶対に譲らないという強い眼差しで言い放った。
「切られたらまた痛ぇ思いしなきゃならねぇし、何より……手足がなかったり半生だったりしたら、こうやってあんたを力一杯抱きしめる時間が減るだろッ!! 俺はあんたの玩具だけどな、あんたを抱きしめ返す権利だけは絶対に譲らねぇからなッ! 解体も切り刻むのも絶対禁止だッ!!」
自分を傷つけられる痛みへの拒否ではなく、「あなたを抱きしめる時間が減るから」というあまりにも身勝手で直球な愛の理由。
それを突きつけられたディアスは見開いた。
そして――こみ上げる愛おしさに耐えかねたように、腹を抱えて低く、熱く爆笑した。
「……フっ! ふはははっ! あははははっ!! 『抱きしめ時間が減るから禁止』か…! 本当に、本当にお前は……どこまでもオレの心を理不尽に奪い去っていく……ッ!」
ディアスはマイトの強烈な抱擁を受け止めたまま、両手を回してマイトの引き締まった背中と腰を強く抱き返した。
白く大きな手のひらが、マイトの金髪を、首筋を、そして完璧に再生した背中の皮膚を、何度も、何度も、壊れ物を慈しむように深く深く「よしよし」と撫で下ろす。
その度にビクビクと跳ねる身体。
「いいだろう、マイト。お前の提案を受け入れよう……お前のその美しい肌に刃を立てるのを『禁止』にしてあげよう」
「へへっ……! 言ったなッ! 撤回すんなよッ!」
「ああ、撤回しないとも。お前がそうやって、自分の意志で、その完璧な両腕でオレを強く抱きしめ続けてくれるのなら……これ以上の至福など、この宇宙のどこにも存在しないのだからね」
ディアスの甘い誓いを聞き、マイトはへにゃりとだらしなく顔を綻ばせると、さらにギチギチと音を立てるほどの力でディアスの首筋に腕を回した。
「んふ……っ、あは……っ! ディアス様……っ! 温かい……っ! やっぱり……ガラス越しじゃなくて、直接あんたを力一杯抱きしめるのが、世界で一番気持ちいいわ……っ!」
「よしよし……本当にお利口な、オレの可愛い恋人だ」
痛みの恐怖も、解体の恐怖も乗り越え、自らの意思で手足を完璧に治させ、主人を自分の腕の中に縛り付けた狂犬。
暴君は自らその強い抱擁の中に甘んじて閉じ込められ、愛しい玩具の頭をどこまでも優しく撫で続ける。
だが、互いを力任せに抱きしめ合うその腕の強さと甘い狂気は、どんな刃よりも深く、永遠に二人の肉体と魂を繋ぎ止め続けるのだった。
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