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展示
重厚な執務室の自動扉が、静かに滑るように開いた。
足音とともに足を踏み入れたのは、銀河の裏社会で「生体市場(マーケット)」を牛耳る巨悪、マフィアの親玉である男だった。
大柄な体躯を高級な毛皮のコートで包み、ギラついた欲望を湛えた目つきで部屋の中を見回す。
男の視線は、やがて窓際の大理石の花瓶台へと引き寄せられた。
「――ほう」
男は思わず感嘆の声を漏らし、足を止めた。
そこに鎮座していたのは、一切の衣服を纏わず、全身の急所を鎖で一網打尽に繋がれたマイトだった。
乳首、ペニス、アナル、そして口内の舌に打たれたピアス同士が鎖で引き合い、身じろぎするだけで肉体の芯がえぐられるような背徳の拘束。
重みで口を閉じることもできず、だらしなく開いた口元からは熱を帯びた吐息とよだれが滴りおち、蒼い瞳は快感と屈辱に潤んでいる。
かつては「無影の旋風」と恐れられた宇宙海賊エブラハム・ロジャーの若き首領。
その気高さの欠片すら残さず、徹底的に調教し尽くされた「生きた肉人形」の姿がそこにあった。
マフィアの親玉は、ねっとりとした欲情と称賛の色を浮かべながら、ディアスへと振り返った。
「素晴らしい……実に素晴らしいな、ディア殿。我が輩も数々の美しい奴隷や美術品を見てきたが、これほどの傑作は滅多にお目にかかれない」
男は感嘆するように拍手を軽く叩き、マイトの足元へと近づいてじろじろと値踏みするように眺め回した。
「元・宇宙海賊の首領を、ここまで完璧な『ただの肉便器』に仕立て上げるとはね。君のその手腕には毎度感服させられるよ。……これほどの極上物、もし市場に出せば、星系が丸ごと買えるほどの値がつくぞ」
男のいやらしい視線と褒め言葉に、ディアスは優雅に微笑む。
黒い瞳の奥に冷酷な独占欲の炎をちらつかせ、こころもとなさそうに啼く愛犬の傍らへと歩み寄る。
「まさか。売り物にする気はないさ。これはオレの、可愛い愛犬だからね。誰にも渡すつもりはないよ」
ディアスは冷たく美しい指先で、鎖に繋がれたマイトの頬を愛おしそうに撫でた。
全身の鎖が微かに引っ張られ、マイトは快感と疼きに身体をビクリと跳ねさせながら、トロリと濁った蒼い瞳で主人の顔を見上げる。
「……くっ、ぁ……あ……っ」
口が開いたままのせいでまともな言葉すら紡げず、ただ甘ったるい嬌声を零すだけのマイト。
その無様な、しかしあまりにも美しい絶景を前に、来客であるマフィアの親玉はさらに興奮の色を濃くし、ディアスの歪んだ趣味と調教の成果を心底羨ましそうに見つめるのだった。
「ははは、実に惜しいな。だが、これほどの傑作を独り占めしたくなる気持ちも分からないではないよ」
マフィアの親玉は下卑た笑みを浮かべ、名残惜しそうにマイトから視線を外すと、ディアスに向き直った。
「さて、本題の商談に入ろうか。例の『商品』の流通ルートの件だが……」
二人がビジネスの話を始めようとソファの方へ歩き出したその時、ディアスはチラリとマイトに視線を投げる。
「マイト。客人の前だ。お利口に、声を抑えて美しい装飾品としてそこでおとなしくしていなさい」
その低い命令に、マイトは舌のピアスに繋がれた鎖を引っ張られる痛みに耐えながら、トロリと潤んだ瞳でうなずくことしかできない。
全身の急所を繋ぐ鎖がわずかに揺れるたび、言いようのない快感と疼きがマイトの脳髄を痺れさせた。
海賊としてのプライドなど粉々に砕けたまま、ただの「愛玩用の人形」として大理石の台の上に固定され続けるのだった。
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