66 / 74

展示

二人がソファに腰を下ろし、低く重苦しい声で銀河の裏社会の密談を始めた。 しかし、マイトにとっては、その「無視されている」という事実そのものが、最高にして最悪の責め苦だった。 「ーーッーー、ンンーーッ」 会話の合間に聞こえてくるディアスの落ち着いた声。それが耳に入るたびに、マイトの脳裏には先ほどの甘い命令が蘇る。 ——お利口に、声を抑えて美しい装飾品としてそこでおとなしくしていなさい。 声を漏らすな。美しく飾られた「人形」でいろ。 男の前で、あられもない姿で乱れているところなど見せたら、それこそどんな外道な要求をされるか分からない。 恐怖と羞恥心が、マイトの理性の残滓をかろうじて繋ぎ止めていた。 だが、身体は別の言語で喋っていた。 ディアスたちがビジネスの具体的な数値を話し始める中、マイトは特製の拘束スタンドの上で、微かに呼吸をするだけで全身の鎖を鳴らしていた。 大理石の花瓶台の上という冷たい感触と、全身の急所を繋ぐプラチナの鎖の重み。 少しでも見栄えよく立とうとすればするほど、舌のピアス、乳首、ペニス、そしてアナルを貫く金属が互いに引っ張り合い、内部の神経を容赦なくかき混ぜる。 っ……声が、出ちま、ッう。 喉の奥まで競り上がってきた甘い絶叫を、マイトは必死の形相で飲み込もうとした。 しかし、口内には冷たく固定された舌のピアスがあり、息をするだけでも口腔内の粘膜が擦れ、脳髄が痺れるような快感が電流のように駆け抜ける。 声を押し殺そうと奥歯を噛みしめようとすればするほど、舌の鎖がピンと張り詰め、性感の核心を直撃した。 「――それで、例の生体プラントの利権だが……」 「あちらの治安維持局の動きはどうする気だ?」 ソファのほうで、ディアスとマフィアの親玉が淡々と言葉を交わしている。 そのわずかな物音、男がグラスを置く乾いた音、ディアスがわずかにこちらへ向けた視線の気配。 それらすべてがマイトの過敏になった神経を刺激し、下半身の疼きを爆発的なものへと変えていく。 声を出してはならない。 その一念で、マイトは両手を頭上で吊るされたまま、自らの肉体を必死に硬直させた。 声帯から漏れ出そうになる甘い嬌声を、すべて歯を食いしばる音と、鼻から漏れる荒い息に変換する。 喉の奥で「んンッ…ッンぅ……!」と窒息しかけたような小さな音が鳴るだけで、綺麗な声は一切外に出さない。 だが、声に出さないぶん、すべての快感が逃げ場を失い、マイトの内部で凄まじい熱量となって蓄積していった。 限界を超えた快楽の奔流に、マイトの美しい蒼い瞳からプツリと理性の光が消え失せる。 全身の筋肉がガタガタと痙攣し、直立不動を保っていた足元から、制御しきれなくなった熱い液体がダラダラと流れ落ちた。 鎖に縛られた無様な肉体が、音もなく、しかし激しくビクンビクンと痙攣する。 声すら出せないまま、白目を剥き、よだれと涙を垂れ流しながら、マイトは何度も何度も静かな絶頂の底へと叩き落されていった。 「……ん?」 ビジネスの話し合いの最中、ディアスはふと、遠くを見るような冷ややかな目で視線を窓際に走らせた。 そこでは、マフィアの親玉がまだ気づかぬまま、完全にトランス状態に陥り、失禁しながら無音のままガクガクとイキ狂っているマイトの姿が晒されている。 無音の絶頂に何度も突き落とされ、マイトの意識は完全に白濁の彼方へと溶けかけていた。 痙攣する肉体から零れ落ちた熱い液体は、大理石の花瓶台の冷たい表面を伝い、ぽたぽたと音を立てて床の絨毯へと染み込んでいく。 声を出してはならないという命令だけが、かろうじて本能の底にこびりついていた。しかし、あまりの快感の余波に、もはやまともに呼吸をすることすらできない。 舌のピアスがわずかに動くだけで、口腔内は痺れたような熱に包まれ、胸、下半身、最奥のアナルへと繋がるプラチナの鎖が余韻の痙攣に合わせて細かく震える。その微小な揺れが再び新たな快感を呼び起こし、マイトの身体は終わりのない絶頂のループから抜け出せずにいた。 そんな愛犬の惨状など露知らず、ソファのほうでは重厚なビジネスの駆け引きが続けられている。 「――フッ、君の提示する条件はいつも魅力的だね、ディア殿。これなら我が輩の組織としても十分に旨味がある」 マフィアの親玉は葉巻の煙を燻らせながら、満足げにふくよかな笑みを浮かべた。 「お互いの利益のためだ。質の高い『商品』と『ルート』があれば、銀河の裏社会など我々の手のひらの上さ」 ディアスは優雅に足を組み替え、ワイングラスを傾ける。その隙間から、冷徹な黒い瞳がスッと窓際の花瓶台へと向けられた。 そこには、限界を超えてなお続く静かな絶頂のせいで、白目を剥き、美しい顔を涙とよだれでぐしゃぐしゃに歪ませたマイトが晒されていた。 失禁した液体が足伝いに滴り落ちるのを堪えるように、両足はガタガタと情けなく震え、拘束スタンドに預けられた細い肉体は、もう自力で支える力すら残っていない。 もう、無理……、これ以上見られたら……っ、頭がおかしくなっちまッ……っ! 主人の視線に気づいた瞬間、羞恥心とさらなる恐怖が、マイトの麻痺しかかった脳髄を無理やり引き戻した。 しかし、恐怖を感じれば感じるほど心拍数が跳ね上がり、それがプラチナの鎖を通じて全身のピアスへとダイレクトに伝わってしまう。 「ひぅっ……!? ん、ぐぅっ……!!」 再び押し寄せる快感の波に、マイトは喉の奥を詰まらせて必死に絶叫を飲み込んだ。声帯がピクピクと痙攣するだけで、外部には一切音漏れさせない。 その健気で無様な、完全に調教し尽くされた姿を、ディアスは最高級の酒を味わうかのような冷ややかな悦びを湛えて見つめていた。 「……どうかしたのかね、ディア殿? 視線の先が気になるようだが」 マフィアの親玉がふと怪訝な顔をして、ディアスの視線の先を追おうと上半身を向けたその時――。 ディアスはさっと立ち上がり、何食わぬ顔でグラスをテーブルに置いた。 「いや、少しね。我が家の『愛犬』が、どうやら客人の前で少し行儀が悪くなっているようでね。……少し、お灸を据えてやらなくてはならない」 ディアスは微笑を浮かべたまま、静かな足取りで窓際の大理石の花瓶台へと歩み寄っていった。

ともだちにシェアしよう!