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意図せぬ放置

翌日の朝。すっかり落ち着いたマイトは、心地よい気だるさを纏ったまま体を起こすと、ベッドの縁に腰掛けながら、昨日の件について不満そうにぶつぶつと文句を並べ始めた。 「まったく……いくら通信が途絶えたからって、次に絶対外れないような拘束の仕方したらいかんからな。しかも勝手に出ていくし……」 トロンとした名残の残る瞳でディアスを睨みつつも、マイトはふっと息をつき、どこか呆れたような、しかし仕方のなさそうな顔で言い聞かせる。 「まあ、次にそういう時があるなら、せめて『外れないフリ』くらいはできるようにしとくからさ。……とにかく、生きて戻ってきたときは、ちゃんと解除方法を教えてよね」 そう釘を刺しつつ、マイトはふっと肩の力を抜き、照れくさそうに目を逸らしながらぽつりと付け足した。 「……で、その、なんだ……。無事でよかったわ。……おかえり、ディアス」 ディアスは、不満を言いながらも素直に心配の言葉を口にしたマイトの頭を、愛おしそうに軽くポンと叩いた。 「ああ、心配をかけたね。次からはちゃんと対策をしておくさ」 ふっと穏やかに笑ったディアスは、ベッドの縁に腰掛けたままの無防備なマイトをそのまま引き寄せ、その唇に優しく、けれどしっかりと自分の存在を刻みつけるようなキスを落とした。 「さて、昨日は散々泣かされたんだ。今日は少し優しくしてあげるけれど……その代わり、エンジンは当分私専用のままにしておくからね、マイト」 甘い冗談交じりの言葉に、マイトは顔を少し赤らめながらも、心地よい温もりに身を委ねて小さく鼻を鳴らす。 「……はいはい、分かってらぁ。ほら、朝飯くらい自分で用意しろよな、船長さん」 口では軽口を叩きつつも、その表情にはかつての険しさは微塵もなく、すっかりディアスの腕の中に居場所を見出した雌の穏やかな幸福感が満ちていた。宇宙の荒波をゆく船の中で、二人は穏やかな朝の光に包まれながら、静かに次の航海へと身体を預けていくのだった。 不意を突かれたようなマイトの問い詰めに対し、ディアスはフッと余裕のある笑みを浮かべ、ベッドの縁に腰掛けたまま軽く首を振った。 「浮気なわけないだろう。……少しね、私の傘下にいた『スライ』って組織の愚か者が、裏で敵対勢力に機密情報を売り渡したみたいだからさ。少しばかりお灸を据えて、組織ごと綺麗に壊滅させてきただけだよ」 まるで庭の雑草を刈ってきたかのような涼しい顔でそう告げると、ディアスはマイトの頬を優しく指先で撫でる。 「私の可愛い愛犬を部屋に置いてまで片付けるべき仕事だったからね。……安心していい、君以外の雌に興味なんてないさ」 そう言って甘く囁くディアスの瞳の奥には、裏切り者に対する冷徹なまでの容赦なさと、マイトだけに向けられた絶対的な執着の色が深く揺らめいていた。 ディアスの説明を聞いたマイトは、裏切り者の壊滅という物騒な内容にもかかわらず、どこか肩の力を抜いたようにふっと不敵な笑みを浮かべた。 「へぇ……裏切り者の始末ね。まあ、それなら仕方ねぇか」 面倒くさそうに首を鳴らしながらも、マイトはディアスの言葉にすっかり安心した様子で、その胸元に再び軽く頭を預ける。 「浮気じゃねぇなら、なんでもいいよ。……で、そのスライだっけか? 綺麗に片付いたんだろ? なら、今日の仕事はさっさと終わらせて、また続きをたっぷり相手してくれよな、船長さん」 不敵で、けれどどこか甘えたようなその眼差しには、もう疑念のかけらもなく、ただディアスという存在に完全に依存しきった満足感だけが浮かんでいた。

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