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第15話 旅路 ④
「それは……さすがに刺激が強すぎる」
天を仰いだまま、彼が掠れた声で呟く。
(そんなに刺激の強いこと言ったかな?)
僕はただ、火の起こし方の話をしただけなのに。変なことは言っていないはず。
「レオン?」
名前を呼んでも、彼は振り向いてすらおろか、ぴくりとも動かない。
もう、こうなったら……。
「レオン、聞いてる?」
僕は彼の膝に体重をかけ、耳元でそっと囁いた。途端に、レオンの耳朶が見る見るうちに真っ赤に染まっていく。
これほど分かりやすく僕を意識してくれているのだと思うと、少しだけ意地悪をしてみたくなった。
僕は彼の無防備な耳たぶに、小さく不器用な歯を立てて、軽く噛んでみた。
「っ……!?」
レオンの大きな体がビクッと激しく跳ね上がった。
そう思った次の瞬間には、僕の頭の後ろに大きな手が添えられ、世界が反転する。
凄まじい力で、僕はそのまま草生した地面へと押し倒されていた。
「レオ……ン?」
見上げるレオンの瞳は、いつも僕に向ける優しいものとは完全に異なっていた。
漆黒の瞳の奥にギラついた鋭い獣の光が宿り、今にも僕のすべてを貪り尽くしそうなほどだ。
けれど、怖くはなかった。
もしレオンが僕のすべてを喰い尽くしたいと願うなら、この身を喜んで委ねよう。そう思い、僕は瞳をぎゅっと閉じた。
上空で、レオンが激しく息を飲む気配がした。
「……シリエル」
耳元に寄せられたレオンの声は、どこまでも僕を溶かしてしまいそうなほど低く、深く響いた。
出来損ないのオメガなはずなのに、なぜかお腹の奥が熱く疼く。
レオンはそのまま僕の体に覆い被さると、僕の白い首筋へと顔を埋め、柔らかな皮膚を強く吸い上げた。
チクリとした、痺れるような甘い痛みが体を駆け巡る。
「ァッ……、ん……」
声が漏れた。恐怖で強張っていた体の力が、甘美な痺れによって解けていく。
(これから、僕たちはどうなっていくんだろう……)
不安と、それを上回る淡い期待に胸を焦がしていると、突如として僕を包んでいた重みが消えた。
ふわりと体が宙に浮き、気がつけば僕は、レオンの逞しい膝の上に、対面で抱き上げられる形で座らされていた。
「シリエルの初めては、全部俺が貰う。だから……そんな風に、俺を弄ぶな」
レオンは自分の額を僕の額にこつんと預け、荒い熱を含んだ息を吐き出す。
「俺は、シリエルを大切にしたい。お前の初めてを、誰よりも守りたいんだ。だから……ここでは、絶対にしない」
「しないって……こういうこと?」
彼がどれほど自制しようとしても、僕のお尻の下で、驚くほど硬く熱くなったレオンの楔が自己主張をしていた。
僕はわざと、お尻を擦りつけるようにしてそれを促す。
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