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第34話 歓迎パーティー ②
みずみずしい野菜も、ジューシーなお肉も、すべてこの村の人たちが手塩にかけて育てた特製品なのだという。贅沢にはさまれた濃厚なチーズとまろやかなヨーグルトは、酪農を営むヘイワードさんの自信作。そしてそれらを包み込む香ばしい小麦のパンは、もちろんベイカーさんの焼き立てだ。
飲み物には、搾りたてのコクのあるミルクと、奥さんお手製のレモンをたっぷり使った、爽やかで甘酸っぱい特製ジュースが用意されていた。
王宮を飛び出して旅を始めてからは、味の薄い乾パンや塩辛い干し肉といった保存食ばかりだった。だから、このお昼ご飯は、とにかく涙が出そうになるほど美味しかった。
けれど、美味しいのは料理だけじゃない。
一口食べるたびに弾ける、全員の温かい笑い声。ただそれだけで、冷え切っていた僕の気持ちまでが、内側からじんわりと火を灯されたように暖かくなっていく。
誰かと顔を見合わせ、食事をしながら楽しくお喋りをするなんて、一体何年ぶりのことだろう。
(ずっと、この幸せな時間が続けばいいのに)
そんなことを願いながら夢中で頬張っているうちに、気がつけば僕は、お腹がはち切れそうになるまで平らげてしまっていた。
「うぅ……もう、ひとくちも食べられない……」
椅子の背もたれに体を預け、ぱんぱんに膨れ上がったお腹を両手でさすっていると、不意に背後から大きな影が僕を覆った。
「シリエルは、もっと食べた方がいい」
低く穏やかな声が鼓膜を揺らした直後、僕の脇の下にレオンの逞しい両手が容赦なく滑り込んできた。
「えっ、レオン!?」
驚く間もなく、僕の体は一瞬にして椅子の座面から軽々と吊り上げられた。
レオンは僕の体を胸の高さまで持ち上げると、じっと目を細め、その腕にかかる質量を確かめるように量ってから、またストンと静かに床へと下ろした。
「な……っ!? な、何をするんだよ……!」
突然のことに、ヘイワードさんたちの前だというのに顔が真っ赤に熱くなる。
「少しは肉がついたかと思ったが、相変わらず羽毛みたいに軽い。旅の荷物より軽いぞ。これからは俺の分の肉も、お前の皿に分けてやるからな」
何でもないことのように言いながら、レオンは僕の頭をぽんぽんと叩き、自分の席へと戻っていった。周りを見れば、ヘイワードさんもベイカーさん夫妻も、カノンちゃんまでもが、ニヤニヤと温かい目を僕たちに向けている。
食事で満たされたはずのお腹の奥が、レオンの手の感触を思い出して、また頬が熱くなった。
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