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第37話 歓迎パーティー ⑤
お昼をごちそうになったので、夕食は僕とレオンが腕を振るって、ヘイワードさんたちに食べてもらうことにした。
それなのに、今こうして温かいかまどの前で、大鍋の味付けを甲斐甲斐しく行っているのはレオン。
僕はそのすぐそばで、美味しそうな香りに鼻をくすぐられながら、たまに味見をさせてもらうだけの『味見係』に任命されている。
今レオンが作っているのは、野菜をたっぷり使ったトマトベースのスープ。
ふわりと立ち上る湯気の中から、レオンが大きな木製のお玉でスープをすくい、小さな取り皿に分けて僕に差し出してくれた。
ただ香りを嗅いだだけで、僕のお腹がぐぅと小さく鳴ってしまい、レオンが可笑しそうに目元を和らげる。
「熱いぞ。少し待っていろ」
レオンはスープにふぅふぅと優しく息を吹きかけ、ある程度冷ましてから、改めて僕の手元に皿を握らせてくれた。
そっと一口、口に含む。
濃厚なトマトの心地よい酸味と、じっくり煮込まれた野菜たちの濃厚な甘みが、口いっぱいに優しく広がっていく。一緒に転がっているお豆も、驚くほど柔らかい。
あの懐かしいマルコさんの小屋で、みんなで囲んで食べたスープと全く同じ味がした。体の中に小さなお日様ができたみたいに、優しい温かさが染み渡っていく。
「レオンのスープはお日様みたい」
ぺろりと飲み干した小皿を、名残惜しそうにレオンに差し出す。
「まだ熱かったか?」
レオンは僕の言葉を『スープがお日様のように熱かった』と勘違いしたのか、おかわりを小皿に注ぎながら、今度はさっきよりも念入りに息を吹きかけて冷ましてくれた。
そういう意味で言ったのではなかったけれど、レオンの不器用な優しさがたまらなく愛おしい。
スープを飲む前だというのに、もう心がくすぐったくて、胸の奥がぽかぽかと温かくなっていた。
「ははは、こりゃまた甘い新婚さんだな」
いつの間にか台所にやってきていたベイカーさんが、冷やかすように笑いながら鍋の中を覗き込んできた。
「それにしてもいい香りじゃ。どうりで、家の外がにわかに騒がしくなってきたわけじゃわい」
ベイカーさんに言われて首を傾げ、窓の外を見ようとした、まさにその時。
窓枠のすぐ向こう側から、ひょこりと村の小さな男の子と女の子の顔が飛び出してきた。
「わぁっ!」
「「わぁっ!」」
室内にいた僕と、外にいた子供たちが同時に驚いて飛び上がってしまう。
「どうした、シリエル」
異変を察したレオンが、すぐに僕の隣へとやってきた。外の景色を見据えたレオンが、わずかに眉を上げる。
「これは……また、すごい人数だな」
レオンの視線の先、子供たちの背後には、いつの間にかたくさんの村人たちが集まってきていた。
「レオンさんの料理のいい香りに釣られて、みんな集まってきてしまったようですよ」
そこへ、切り分けたチーズやバター、大きなハムがぎっしり詰まったカゴを抱えたヘイワードさんが、にこやかにやってきた。
その後ろには、カノンちゃんも恥ずかしそうに隠れている。
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