41 / 42
第41話 出逢い ①
「はは、まぁ、あれだけ派手に飲めば、誰だってひどい二日酔いになるさ」
熱を持った僕の頬に、レオンの大きな手がそっと触れる。
「僕……そんなに飲んでいたかな?」
確か、勧められるがままに一、二杯ほど口をつけただけのような気がするのだけれど。
「相当飲んでいたぞ。最後には果実酒のボトルを瓶ごとあおろうとしていたからな。慌てて俺が取り上げて、ここまで抱き上げて寝かしつけたんだ」
レオンはそう言いながら、僕の背中に優しく腕を滑り込ませると、ゆっくりと上半身を起こしてくれた。
そして、ベッドの縁に座る自分の広い胸へと、僕の無力な体をそっともたれかけさせてくれる。
傾いた拍子に、額に乗っていた布がシーツの上へと落ちた。
レオンの胸に預けられた贅沢な特等席から見上げると、そこには困ったように、けれどひどく甘やかに微笑むレオンの顔があった。
僕にはそんな、瓶ごと泥酔したなんて記憶はまるでない。でも、レオンが言うのなら絶対に本当のことだ。間違いなく、レオンにたくさん迷惑をかけてしまったに違いない。
「ごめんね……」
小さくなって謝ると、レオンは僕の体をさらに強く抱き寄せた。
「シリエルの面倒を見るのは好きだ。いくらでも手を焼かせてほしい。……でも」
そこで、レオンの言葉が少しだけ途切れた。
トクトクと響く彼の規則正しい鼓動の音が、急に少しだけ速くなったような気がする。
「これからお酒を飲むのは、俺の前だけにしてくれ」
「どうして……? やっぱり、そんなに迷惑をかけるような、変な絡み方をしてたの?」
記憶がないからこそ、なおさら申し訳なくて胸が痛む。
「いや」
レオンは僕の言葉を遮るように、低く、どこか酷く艶を帯びた声で囁いた。
「ただ、無防備で、ものすごく可愛かった。……だから、俺以外の男に、そんなシリエルの姿を絶対に一瞬だって見せたくないんだ」
レオンは僕の銀色の髪を愛おしそうにひと房すくい上げると、そこに熱いキスを落とした。
髪の毛に神経なんてないはずなのに、レオンの唇が触れた場所から、熱が頭皮を伝って全身へ広がっていく。
レオンの持つ熱に、そのまま跡形もなく溶かされてしまいそうだ。
「約束、できるか?」
耳元に、鼓膜を震わせるような低い声が降ってくる。そのあまりの破壊力に抗うことなんてできず、僕は反射的にコクコクと何度も頷いてしまっていた。
「いい子だ」
ちゅっと、微かな音を立てて、今度は僕の熱い頬にレオンの唇が押し当てられる。
この、体中が熱くてたまらないのは、まだ体の中に残っているお酒のせいなのか。
それとも、僕を抱きしめるレオンのせいなのか。
もう何もかも分からなかったけれど、僕はただ、レオンの胸の中でとろとろに溶かされていく幸福感に、じっと身を委ねることしかできなかった。
ともだちにシェアしよう!

