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第41話 出逢い ①

「はは、まぁ、あれだけ派手に飲めば、誰だってひどい二日酔いになるさ」  熱を持った僕の頬に、レオンの大きな手がそっと触れる。 「僕……そんなに飲んでいたかな?」  確か、勧められるがままに一、二杯ほど口をつけただけのような気がするのだけれど。 「相当飲んでいたぞ。最後には果実酒のボトルを瓶ごとあおろうとしていたからな。慌てて俺が取り上げて、ここまで抱き上げて寝かしつけたんだ」  レオンはそう言いながら、僕の背中に優しく腕を滑り込ませると、ゆっくりと上半身を起こしてくれた。  そして、ベッドの縁に座る自分の広い胸へと、僕の無力な体をそっともたれかけさせてくれる。  傾いた拍子に、額に乗っていた布がシーツの上へと落ちた。  レオンの胸に預けられた贅沢な特等席から見上げると、そこには困ったように、けれどひどく甘やかに微笑むレオンの顔があった。  僕にはそんな、瓶ごと泥酔したなんて記憶はまるでない。でも、レオンが言うのなら絶対に本当のことだ。間違いなく、レオンにたくさん迷惑をかけてしまったに違いない。 「ごめんね……」  小さくなって謝ると、レオンは僕の体をさらに強く抱き寄せた。 「シリエルの面倒を見るのは好きだ。いくらでも手を焼かせてほしい。……でも」  そこで、レオンの言葉が少しだけ途切れた。  トクトクと響く彼の規則正しい鼓動の音が、急に少しだけ速くなったような気がする。 「これからお酒を飲むのは、俺の前だけにしてくれ」 「どうして……? やっぱり、そんなに迷惑をかけるような、変な絡み方をしてたの?」  記憶がないからこそ、なおさら申し訳なくて胸が痛む。 「いや」  レオンは僕の言葉を遮るように、低く、どこか酷く艶を帯びた声で囁いた。 「ただ、無防備で、ものすごく可愛かった。……だから、俺以外の男に、そんなシリエルの姿を絶対に一瞬だって見せたくないんだ」  レオンは僕の銀色の髪を愛おしそうにひと房すくい上げると、そこに熱いキスを落とした。  髪の毛に神経なんてないはずなのに、レオンの唇が触れた場所から、熱が頭皮を伝って全身へ広がっていく。  レオンの持つ熱に、そのまま跡形もなく溶かされてしまいそうだ。 「約束、できるか?」  耳元に、鼓膜を震わせるような低い声が降ってくる。そのあまりの破壊力に抗うことなんてできず、僕は反射的にコクコクと何度も頷いてしまっていた。 「いい子だ」  ちゅっと、微かな音を立てて、今度は僕の熱い頬にレオンの唇が押し当てられる。  この、体中が熱くてたまらないのは、まだ体の中に残っているお酒のせいなのか。  それとも、僕を抱きしめるレオンのせいなのか。  もう何もかも分からなかったけれど、僕はただ、レオンの胸の中でとろとろに溶かされていく幸福感に、じっと身を委ねることしかできなかった。

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