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第45話 出逢い ⑤
きっとレオンは、僕が何かを頑なに隠していることに気づいている。
以前のレオンなら、僕の顔を覗き込んで何度も優しく理由を聞き出そうとしてくれたのに、最近はそれをしなくなった。
(隠し事ばかりして、嘘をついてばかりの僕なんて……本当は、レオンの隣にいてもいいのだろうか……)
レオンに嘘をつくたび、いつも脳裏を掠める自己嫌悪の言葉が、体の奥底からせり上がってくる。
「ごめんね……」
(僕は今、何に対して謝ったんだろう)
何に許してほしいのか、自分でももう分からないまま、涙を堪えてただ謝罪を口にしていた。
「ごめんな、シリエル」
すると、僕の細い肩の上に、ポスンとレオンの重たい頭が乗せられた。
うなじのあたりに、彼特有のあの焦がれたようなタバコの濃い香りがひろがり、鼻腔をくすぐる。
「俺が……絶対に、シリエルのなかにある不安や心配を、全部きれいに消してやるから。だから、それまでもう少しだけ、俺を信じて待っていてくれ……」
その声は、いつもの自信に満ち溢れた頼もしい騎士のものではなかった。
どこかひどく苦しそうで、今にも張り裂けてしまいそうなほどに小刻みに震えている。
その声を聞いた瞬間、胸が突かれた。今にも壊れてしまいそうなのは、僕ではなくレオンのほうではないか。
今、レオンのなかにも、僕には見せない巨大な不安がいっぱい渦巻いているのだ。
僕はいたたまれなくなり、レオンの大きな腕に抱きしめられたままで、くるりと狭い隙間で体を反転させた。まっすぐにレオンの琥珀色の瞳を見つめる。
「待つだけなんて、嫌だ」
「え……?」
「僕だって、レオンの不安を取り除いてあげたい。だから……僕は、レオンの不安が全部消えてなくなるまで、ずっとレオンの側にいるよ」
そう。
これは僕がレオンを必要としているからではなく、傷だらけのレオンが僕を必要としなくなるその日まで、僕は彼の隣にいるという意味だ。
「じゃあ、俺はこれからも、ずっと不安なままでいたいな」
一瞬の静寂の後、ふっとレオンの周囲を覆っていた張り詰めた空気が、甘く和らいだ。
「そうしたら、シリエルは、一生俺の側から離れずにいてくれるだろ?」
愛おしそうに細められた瞳の奥には、まだ憂いが見え隠れしている。それでも、レオンは僕に何かを隠すように微笑む。
「シリエル。俺を絶対に離さないでくれ」
骨が軋むほどの強い力で、再び抱きしめられる。
(そんなこと……僕から離れるわけなんて、あるわけないじゃないか)
レオンを狂おしいほど愛しているというその本当の言葉を、僕はまた、いつものように胸の奥底へと深く押し込んだ。
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