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第90話 番
「ンッ……ンン……ッ」
レオンは壊れ物を扱うような慎重さと、二度と手放さない激しさが交ざった濃厚な口づけで応えてくれた。
そのままベッドへと押し倒される。
重ね合わさる身体。
レオンの手が僕のシャツを脱がせ、僕もまた、彼の服へ必死に手を伸ばして剥ぎ取った。
触れ合う肌と肌から、燃えるような熱が伝わってくる。
「シリエル……愛してる。俺の……俺の唯一の番だ……」
耳元で囁くレオンの声が震えている。
耳後から首筋、鎖骨へと、レオンの熱い唇が降ってきた。
啄むような口づけが落ちるたび、全身に甘い痺れが駆け巡る。
「あ……っ、レオン……っ」
部屋を満たしているのは、僕のフェロモンだけじゃない。
レオンの身体から溢れ出す、力強くあたたかなアルファの香りが、僕を優しく包み込んでいた。
「すごい……レオンの匂いがする……っ」
「ああ……。もう隠さない。俺のすべてで、お前を満たす」
耳の後ろに鼻を押し当てられ、深く息を吸い込まれる。
自分でもわかるほど、蜜壺から溢れる蜜の量が増えていく。
本能だけじゃない。
心が、レオンの存在を歓喜して受け入れている。
「甘い……最高の香りだ、シリエル」
そびえ立つレオンの楔が僕の腿や脇腹に擦りつけられるたび、頭の中が真っ白になりそうになる。
隠すことのなくなった彼の欲望の熱さに、お腹の奥が切なく疼いた。
「レオン……いじわる、しないで……早く、僕の……っ」
「ああ……だが、焦らなくてももう逃がさない」
胸の突起を指先で強く摘まれ、カリッと爪を立てられる。
「あぁぁっ……!」
背中が跳ね上がった。
そのまま片方の胸を口に含まれ、熱い舌で転がされる。
もう片方の乳首も指先で円を描くように弄られ、同時に襲いかかる快楽にシーツを固く掴みしめた。
「ぁぁっ……あっ、あ……ッ! レオン、レオン……っ!」
「シリエル……っ」
胸からお腹、そして股間へとレオンの顔が降りていく。
待ちきれずに腰を浮かせると、僕の楔が一気に彼の熱い口内に含まれた。
「んぁっ、ああ……ぁぁあっ……〜〜ッ!」
強い吸い上げと、裏筋を舐め上げる器用な舌の動き。
先から滲み出た愛液までジュルリと吸い尽くされ、あまりの快楽に喉が反り返る。
それと同時に、蜜で濡れそぼった蜜壺の中へ、ゴツゴツとしたレオンの太い指が一本、深く挿入された。
「やっ……あ、ああっ、ふぁ……ぁぁっ……!」
口内で僕の楔を扱きあげながら、内部の媚肉を激しく擦り上げられる。
指が二本に増やされ、不規則に広げられるたび、身体の奥から波のような絶頂が押し寄せてきた。
「ダメッ、……イくッ、イっちゃう……ぁぁあッ!」
レオンの口の中で、情けなく弾けるように達してしまう。
視界が白く眩むなかで、僕は熱い息を吐きながら、レオンの肩を強く引き寄せた。
「レオン……早く……番に、して……!」
切望する僕の言葉に、レオンのアンバーの瞳が激しい情熱と歓喜で揺れ、大きく頷く。
レオンの手が僕の脚を大きく開き、待ち望んでいた熱く巨大な楔が、蜜で濡れそぼった最奥へと一気に貫かれた。
「あぁぁぁぁツ……ッ!!」
身体の芯まで満たされる、圧倒的な充足感。
背中が跳ね上がり、視界に白い火花が散る。
呼吸を整える暇もなく、レオンは僕の身体を強引に抱きすくめ、うつ伏せへと反転させた。腰を持ち上げられ、さらに深々と最奥の壁を叩きつけられる。
「あ……あぁっ、レオン……っ、そこ……っ!」
媚肉を擦り上げられ、弱いところを楔の先端で押し潰される。
「シリエル……もう絶対に、誰にも渡さない……!」
獣のような低い唸り声を上げながら、レオンが激しく律動を刻む。
最奥へ打ちつけられるたび、頭の中が快楽で真っ白に弾け飛び、僕の口からは甘い喘ぎ声が漏れ続けた。
やがて、荒い吐息が僕の熱い首筋へと吹きかかる。
レオンの鋭い犬歯が皮膚をかすめ、ずっと欲しくてたまらなかった頸へ強く押し当てられた。
(あぁ……ついに、レオンと……!)
「シリエル……愛してる。俺の運命の番……っ!」
——ガリッ!——
「あぁぁぁぁっ……——ッ!?」
鋭い痛みが首筋を貫いた。
肉を噛み破られる激痛。
けれど次の瞬間、そこからレオンの濃厚なアルファのフェロモンが、僕の血管へと直接流れ込んできた。
その瞬間だった。
——ドクンッ!!
身体の奥底、子宮の最奥で何かが爆発した。
首筋からの刺激とレオンの精気に応えるように、全身の細胞が一斉に歓喜の悲鳴を上げる。
薬で無理やり抑え込まれ、歪められていた僕のフェロモンが弾けた。
内側から溢れ出す圧倒的な熱の波。
蜜壺から溢れ出る蜜は留まることを知らず、貫かれているレオンの楔をキュウキュウと締めつけ、離すまいと強く巻きついた。
「ッツ……! すごい締めつけだ……なんて熱なんだ……っ!」
「レオン……っ、もっと……もっと奥に来て……ッ!」
レオンのアルファの香りと僕のオメガの香りが完全に溶け合い、ひとつの甘い芳香となって部屋を満たしていく。
触れ合う境界線が消えていく。
どこまでも溶け合って、混ざり合っていく。
どこまでが僕で、どこからがレオンなのかすら分からない。
本能も、心も、魂も、すべてがひとつに溶け合っていく快感。
頸を噛むことが番になることだと思っていた。
でも本当は……。
噛み跡から違いの魂と細胞が重なり合い、溶け合い、混ざり、一つになる。
二人で一つになる。
離れられない。
離れてはいけない存在になるってこと……。
「シリエル、愛してる……」
僕の頸に口付けをしながら、レオンが最奥の壁を突き破るほどの勢いで腰を打ちつけ、
「ック……ッ!」
熱い精を僕の中に注ぎ込み、最奥で受け止めた。
「あぁぁぁぁぁッ……ー〜〜〜ッ!!」
今まで味わったことのない絶頂の波に呑み込まれ、全身を大きく痙攣させながら愛液を放った。
レオンの腕が壊れるほどの力で僕を強く抱きしめる。
激しい交わりの後も、熱は一向に引く気配を見せない。
番になったことで引き起こされた本気のヒートは、僕たちの身体をどこまでも溶かし続けていた。
「は……っ、は、ぁ……っ、レオン……好き……愛してる……」
「俺もだ……シリエル……愛してる……離さない……」
楔を繋げたまま、レオンがそっと僕の頬を撫で、何度も何度も密やかな口づけを落としてくれる。
繋がっている場所から、首筋の噛み痕から、溢れるほどの愛と快感が絶え間なく流れ込んでくる。
もう、恐怖も不安も何もない。
僕たちは本能を超え、自らの意思で結ばれたのだから。
二人の体温とフェロモンが心地よく溶け合う部屋の中で、僕たちは互いを強く抱きしめ合いながら、終わることのない甘い熱の海へと、どこまでも沈んでいった。
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