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天使の誕生 2
天啓を受けてから約一年後、サンイヴン家に待望の赤子が爆誕した。
「天使が舞い降りた!!!」
「写真写真写真!!!」
と二人は大騒ぎし、目も当てられないほどの親バカになってしまう。
生まれた赤子は一度だけ産声を上げた後は大声を張り上げて泣くことのない非常に大人しい赤子だった。
しかし存在感だけは妙に放っており、
にやにや笑ってみたり憤慨して棚を蹴っ飛ばしてみたりするものの一切騒ぎ立てることなく、
いつも空中に視線を彷徨わせている不思議な子だった。
しかし親バカ二人は常に赤子を構い倒し、事あるごとに写真を撮りまくって
サンイヴン伯爵のデスクも家の壁一面も写真で埋め尽くすほどになる。
そして赤子は喋れるようになると妙な事ばかりを言うようになった。
例えば仕事の準備をしている伯爵の元へ這ってきては
「おい、ネクタイは赤にしろ」
だの
「ハンカチは二枚持っていくことだな」
だのと上司のように命令をし、夫人にも
「ご近所への挨拶は自分からだ」
だの
「玄関の花瓶に黄色の花を飾っておけ」
だのと小姑のように指摘してくるのだ。
その可愛らしさに親バカ二人はなるべく従うようにしていると、
サンイヴン伯爵はあれよあれよと出世していき、いつしか役場のトップに君臨し
伴侶の薬屋は謎の大流行りを引き起こして、支店が出るまでになっていた。
「絶対あの子のおかげでしかないよね…?」
「もしや天才預言者なのではないか?」
「幸運の糸が見えていたりして……」
「そういえば……夢であの子が出てきた気が……」
「天の使いと書いて天使なのでは!!?!?」
こうして、サンイヴン家では最早親バカを通り越して
信仰と言えるくらい嫡男を溺愛していくのだった…。
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