14 / 42
編入生絡みの騒動 4
「…う、ううん…なんでもないよ…」
「なんでもなくないだろ…!泣いているじゃないか!」
「さ、サンちゃんがあの先輩のこと殴って怒らせちゃったの!」
リウムは何故かローラを指差している。
急に責任転嫁をされローラは、はぁ?と口を歪めた。
だけど殿下にはもちろん嘘だと見抜かれているらしく、彼は床に跪いてリウムの顎を上げさせている。
「…リウム、私に嘘をつくなと約束しただろう?」
「うぅ…嘘じゃないもん……」
先程は悪びれもなく上級生を煽り散らかしていたリウムは、エルメーザに睨まれて唇を噛んでいる。
彼が何故エルメーザに隠したいのか分からなかったが、ローラはため息を溢しながらエルメーザの肩に触れた。
「性被害者を執拗に問い詰めるのはセカンドレイプだぞ、エルたん」
「は…?」
エルメーザはポカンとローラを見上げたが、やがてどんどん顔を赤くしている。
「まぁ…未遂だったから安心しろ。
そうだな?リウム」
ローラがリウムを睨むと、彼はバツが悪そうな顔をして渋々頷いた。
エルメーザは何か言いたげな顔をしていたが、やがて引き下がり自分のジャケットを脱いでリウムにかけてやり立ち上がった。
「……すまなかったな、サンイヴン…」
エルメーザは目を逸らしながらも謝ってくるので、ローラは眉根を寄せながらも腕を組んだ。
「何故謝るんだ?」
「……いや…その……」
挙動不審に目を泳がせているエルメーザは、どうしたらいいのかわからないといった様子だった。
どれだけ不器用なのだろうと思いながらも、ローラは彼の胸を軽く叩いておいた。
「こういう時は、さすがローラくん!男の中の男!そこに痺れる憧れるゥ!って言うんだ」
「しび…?」
「或いは、ありがとう、だな」
ローラが口の端を吊り上げて笑うと、エルメーザはきょとんとした顔をしている。
「………ありがとう…」
言われた通りに素直にお礼を口に出す様は5歳児くらいのような純朴さがあって、ローラはどうにも彼を次期皇帝扱いしたくなくなってしまうのだ。
ともだちにシェアしよう!

