24 / 42
ルートの裏側 5
「ねえ…キスして」
「……エ?」
「お願い…安心したいんだ…」
鼻を啜りながら懇願され、エルメーザは訳もわからないままリウムの顔を見下ろした。
流石にキスという行為がどういうものかくらいは分かっていたが、どういう時にするものなのかまでは知らなかったし
そもそも誰彼構わずしていいことではないと認識していたのだ。
「エルメーザ……」
リウムはそっと目を閉じている。
泣いていて苦しんでいる彼を邪険には出来ず、エルメーザは仕方なく
薄い知識をなぞって彼の唇に自分の唇で、ちゅ、と軽く触れた。
なんだか、ぶにっとした何かが触ったなぁくらいの感想だったが何故か無駄に心臓がどきどきと騒いでいる。
「……こ、これでいいか…?」
エルメーザが聞くと、リウムは閉じていた目をそっと開いた。
薄暗闇でも輝く金色の瞳は、造形として単純に美しくて
あんまり泣き濡れて欲しくないものだと思ってしまうのだった。
「あは…ありがとう、エルメーザ…」
リウムはそれだけ言うと、再びぎゅうっとエルメーザの胴体を抱き締めてくる。
よく分からなかったが、落ち着いたらしいと思うとエルメーザは幾らかホッとして、だけど流石にあんまりくっついているのは良くないかと思いつき
もういいか…?と言ってしまうのだった。
ともだちにシェアしよう!

