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何かが起こる日 2
「はぁ……最悪だ……」
人が多い所はいろんな情報が一気に雪崩れ込んできて、しっかりと意識を保っておかねばあっという間におかしくなってしまう。
やっぱり眼鏡を置いて来たのは間違いだっただろうか、と若干後悔中である。
だけど“何か”を見ておかねばならないような予感がして。
ローラは両手で顔を覆って、小さく息を吐き出し少々自分を落ち着けると中庭の様子に目を向ける。
ベンチで仲睦まじく寄り添っているカップルや、端の方で難しい顔をして話し込んでいる紳士など各々の世界で過ごしているようだ。
ぼんやりとその様子を眺めていると、不意に視線を感じてしまいそちらに目を向けた。
二階の渡り廊下に誰かがいて、中庭を見下ろしているようだった。
そしてその誰かと目が合ってしまい、ローラは思わず立ち上がる。
薄暗闇の中でも輝いている紫色の瞳。
その人物は制服のフードを被り、冷たい表情のままローラをぎろりと睨むと廊下を歩いていってしまった。
「婚約者殿……?」
暗くてはっきりとは見えなかったが、あの紫色の瞳は次期皇帝の婚約者レンシアに違いない。
しかしそうなってくると妙である。
次期皇帝エルメーザはパーティの主役と言ってもいいくらいだ。
必然的に婚約者も隣にいる事になるだろう。
それなのにどうして制服のままあんなところから中庭を眺めていたというのだろう。
ローラは眉根を寄せながらも、妙な予感がして校舎へと早歩きで戻った。
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